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【危険区域】10th Planet JiuJitsuに出稽古しに行った話


1. "10th Planet Jiu Jitsu"との出会い

私が10th Planetの存在を知ったのは、ハワイの友人の家に短期滞在していた時だ。その友人は、アメリカのカリフォルニア州(CA)に留学していた際に初めてできた友人で、付き合いはかれこれ3年になる。彼は現在、ハワイでビジネスをしており、ハワイに行った際には必ず彼の家に泊めてもらっている。俺たちは格闘技仲間で、俺がハワイでもトレーニングしたいと言ったところ、「近くにUFCのジムがあるから一緒に行こう」と言ってくれた。

ジムに入ると、MMAのリング、サンドバッグ専用エリア、柔術用のマット、トレーニング施設など、かなり充実していた。その日は俺と友人が柔術の練習をする予定だったが、柔術のマットエリアは閉まっていて、サンドバッグエリアの空いているスペースで練習していた。すると、外から「お前たち、マットの鍵開けてやるからそんなところでやらずに、俺たちと一緒に練習しないか?」と声をかけてきた。その際、5人くらいが練習していたのだが、その中の1人が面白いラッシュガードを着ていた。

友人はそのラッシュガードを見て、「10th Planetのラッシュガード持ってるのか?もしかしてあそこの出身?」と聞いた。俺はその時、「10th Planet?(笑) それって映画かなんかのコラボラッシュガードじゃないの?」くらいにしか思っていなかった。

10th Planetのラッシュガード

そこから約3ヶ月後、アメリカのロサンゼルスに旅行に行くことが決まった。せっかくだから、アメリカでも柔術を学びたいと思い、Google Mapで「BJJ」と検索したところ、「10th Planet BJJ」という表示が出てきた。そこで、ようやく思い出した。「あのラッシュガードを着ていたジムだ!」と。そこから10th Planetのジムに興味を持ち、さらに調べるうちにその魅力に引き込まれていった。

2. 10th Planetとは?

10th Planet Jiujitsuとは柔術のジムであるが、伝統派のジムとは毛色が全く異なる。このジムは元々エディ・ブラボ(Eddie Bravo)によって創設されたものである。彼は高校時代にレスリング選手であったが、ブラジリアン柔術に出会い、その魅力に気づき柔術の世界に飛び込むことになった。

エディは、世界的に有名なブラジリアン柔術チャンピオンであるジャン・ジャック・マシャード(Jean Jacques Machado)の元で学び始め、伝統的なアプローチに反するユニークなスタイルでABU DHABI Combat Club(アブダビ・コンバット・クラブ、通称ADCC)でロイラー・グレイシーを三角絞めでサブミットし、黒帯を取得した。

彼は伝統的な柔術の道着(海外では道着をGiと呼ぶ)を使わない「ノーギ柔術」の大きな支持者だった。ノーギ柔術は、従来の道着を使わずに行う柔術で、特にMMA(総合格闘技)の試合で役立つと考えられていた。このアプローチは、従来のスタイルに反するコンセプトであり、伝統主義者達からは多くの批判を浴びたが、それに動じることなく前進し現在の10th Planet jiujitsuを創設するに至る。

3. 10th Planetの名前の由来

先進的なジムということは理解した。しかしなぜ名前が10th Planetなんだ(笑) 10番目の惑星?ってなんだよと…

海外の超有名ポッドキャスト"Joe Rogan Experience"を運営するジョー・ローガン(Joe Rogan)とエディーは友人であり、10th Planetと名前を名付けた経緯をこの動画の中で語っている。

エディと俺は葉っ○を吸いながらあるドキュメンタリーを観ていたんだ。それはゼカリア・シッチン(Zecharia Sitchin)が説いた古代宇宙飛行士説の理論だったんだよ。
彼の理論は ”太陽系の外側にあるとされる10番目の惑星にあるニビルには、人間よりも遥に優れているアムナキという生命体が存在していて、人類が知る地球上のすべての物事を創造した”というものなんだ。そしてこの説を反映したシュメール神話(Sumerian Myth)"にインスパイアされたエディーは「俺のジムの名前は"スメリアンSumerian Jiujitsu"にする!」と言ったんだ。
でも俺は「流石にそれじゃあ皆んなに意味が伝わんないだろう(笑)」と言って10th Planet(10番目の惑星)と名付けたんだ。

10th Planet Jiu Jitsu 10 years in orbit

つまりエディーは「アムナキ」と呼ばれる存在がもし地球上で柔術を行うなら、10th Planet Jiu Jitsuのようなものになるだろうと考えてこの名前を付けたのだ。そして10th planetの本当の名付け親はジョーローガンだったということ。エディーじゃないんかい(笑)

まあそんなことは置いておいて、彼らが柔術界において異端児でもあり先進的な存在であるということが分かった。

4. 10th Planetでの体験

ロスのダウンタウンに滞在する予定だっため、10th planetの本部に出稽古に行くことに。なるべくジムの近くにホテルを取ろうと思ったのだが、付近のホテルの口コミが危なすぎて断念(殺人事件があっただの何だの…)。またHello Talkという海外の人と意見交換ができるアプリで「LAのダウンタウンって歩き回っても大丈夫ですか?」と聞いたところ「絶対に歩くな」との意見がたくさん集まったので、少し遠くても安全なダウンタウンの右に位置するリトルトーキョーのMiyakoホテルに滞在することに。

Hello Talkでダウンダウンを歩いていいか聞いた結果

リトルトーキョーは基本は安全なのだが(とは言っても夜出歩く際は注意が必要…)、2ブロック先まで歩くだけで超危険区域"Skid Row"に入ってしまうので要注意。またSkid Rowでなくても1人で歩く場合は人が少ない場所にも注意をしていきたい。

Little TokyoとSkid Rowは近いため注意が必要

話は戻り、10:30amにホテルに到着。11時からの練習に参加するため、荷物をレセプションに預けUberでジムへ直行。所要時間は10分程度。現地に到着するとかなり危ない雰囲気が漂っていた。🌱の匂いが強烈で治安上の懸念からなのか、ほとんどの店のエントランスはドアと鉄格子の2重構造になっている。人の雰囲気もまあまあ危なかった様子。

10分程前に現地に到着し、ジムに入ろうとするもドアが空かない(笑)
おかしいじゃないか。スケジュールでは11時からと書いてあるのに…。
たまたま後ろから僕のことを見ていたデカいおっちゃんが「兄ちゃんそこは開かねーよ、裏のドアから入りな。」と教えてくれ、急いで裏に周り開けてみるも鍵がかかっている様子。

昼間の10th Planet JiuJitsu LA Downtown

ジムに連絡しても返答が無いので泣く泣く断念し、一旦ホテルに戻る。結局、夕方の18:30のクラスに参加することになった。夕方にあんな危なっかしいところに行くのは少し腰が重かったが、せっかく来たんだからと、再度行くことを決意。18時になったため再びUberに乗りジムに到着。中のドアから光が差し込んでおり、今度は確実に空いていると確信。

夜の10th Planet Jiujitsu LA Downtown

ジムに入るとラテン系のお姉さんが受付をしており、Waiver(「このジムで怪我しても知らんからね〜」っていうのに同意する契約書)を書き入館。

*出稽古の方法
このジムは他のジムのシステムとは異なっている。

以下が出稽古の手続き。↓

①10th Planetのホームページにいき、自分の行く地域のジムのホームページをクリック。
②Storeに行くとDrop-in Passという項目があるのでそこでいきたい日数を入力して購入。
③購入手続きへ
この購入証明書を持ってジムへGo(スケジュールは変更可能性があるのでスタッフに聞くと良い)

しかしそこでまた非常事態が起きる。まさかの練習着(ハーフパンツ)を忘れてしまったのだ。面倒くせ〜... 貸し出しの服があるか確認するも無いとのこと。
たまたまその話を聞いていたジムの選手の1人が、「近くにターゲット(Target)があるからそこでハーフパンツを買ってこい」と。Google mapで歩くと20分程かかるので急いでUberを手配する事に。

しかしまたここでやらかす。ダウンタウン付近には複数ターゲットがあったのだが、1番遠い方のターゲットを選択してしまった。行き先を変えてもらうためドライバーに話しかけるも「No English」とのこと。泣く泣くそのターゲットに向かうことに。

ターゲットに着いたらダッシュで服売り場へ駆け込む。しかしまたも不運なことにチャック付きのハーフパンツしかないじゃないか。通常、柔術はコンタクトスポーツであるため、チャックは練習パートナーを怪我させるリスクがあるとして禁止されている。店員にチャックの付いていないサーフパンツは無いか?と聞くも。「夏じゃねーから無いわ」。とのこと。
藁にもすがる気持ちで走り回っていたところ灰色のショートパンツを発見。よっしゃと思い手にとったところ見た事が無い位にデカいユニバーシティ用のショートパンツ"3XL"だった。もうこれしか無いと決心しセルフチェックアウトへ。これで間に合うと安心して外に出てUberを呼び、ふとレシートを見るとシステム上のミスで値段がトリプルカウントされていた。

またかよ…もうトラブルしかないじゃないか…

インフォメーションデスクで過払い分は何とか払い戻してもらい再びジムに向かう。
参加する予定だった18:30のクラスには間に合わなかったが、幸いにも19:30にも参加可能なクラスがあったためそこに参加させてもらうことになった。

5. 19:30~ 練習開始

クラスがスタートすると選手が各自でウォームアップを10分間行う。その後コーチがマットに上がり指導を始める。今日のテーマはタートルポジションからマウント、バックテイクへ移行するテクニック。状況別に使えるテクニックを4種類教わった。それぞれのテクニックがなぜ有効になるのかという"Why"の部分も詳細に説明されており、同時にディフェンスの知識も容易に得ることができる。

その後、パートナーを組み40分程テクニックの打ち込み。その後、タートルからの攻防を行うシチュエーショナルスパーリング(あるポジションからスパーリングを開始するもの)を行う。ボトムはガードに戻し、トップはマウントかバックをとりにいく。

練習後にコーチと話したところ、スタンディングからのフルスパーリングはやらないとのこと(Fundamental classにおいては)。とにかくこのクラスではテクニックを染み込ませるプログラムを何度も行うらしい。
テクニックの打ち込みでは相手の抵抗が無い分うまく行くことがほとんどだが、実践練習においては相手の抵抗も加味しなければいけないため技術の再現度が落ちやすい。しかし相手に攻防を行わせることで、相手の抵抗の中でどのテクニックを使うを瞬間的に考えなければいけない状況を作ることができる。実際問題、テクニックを打ち込みをしてもスパーではうまく機能しないことが多いことを考えると、このプログラムはより実践向きのプログラムとして非常に理に適っているように思える。

6. 最後に


外装的には危なそうなジムではあるが、コーチ、選手達も勉強熱心で真面目な人が多い印象だった。

当日はエディーは不在ではあったが、それ以上に素晴らしい経験ができたと思う。

今回の出稽古をサポートしてくれたAnthony,、Dannyには本当に感謝をしたい。

ありがとう

10th Planetのマット(コーチのダニー)
ジム内の雰囲気
ジム内の雰囲気
ジム内の雰囲気


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