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外資ITテクニカルサポートのリソースバリエーション

外資ITテクニカルサポートの仕事は大体次の5つのリソースでカバーされる

  • デジタル

  • AI

  • パートナーとの協業

  • アウトソース

  • 社員

順番に説明すると、まずデジタルというのは、製品の使い方、インプリ方法、トラブルシューティング方法について記載したものを、最近では製本せずPDF、Web Trainingなどの動画で提供すること。
また、特定顧客から寄せられたSupport Caseを通して得られた解決策や知見を技術文書に落とし込み公開するようなものも含まれる。

要は、顧客が問題に直面された際、わざわざSupport Caseを使って問い合わせることなく、ググって回答を見つけてもらうような取り組みだ。これは顧客にとっても問い合わせの手間が省けるしベンダーのサポートにとっても問い合わせが減るので、どの会社でも取り組みを強化している

2番目のAIは1番目のデジタルと似てるがあえて分けたいと思う。
理由はChat GPTをはじめとする生成AIが登場して以降、だいぶ流行りの取り組みとなってきているからだ。
1番目のデジタルの欠点は、ユーザがサーチウインドウで適切なキーワードを与えて見つけたい情報を見つけ、その情報と自分が直面している問題の、例えばサーバーのログなどを比較/検討して、問題に対する解決策を自ら見つけないといけないのだが、AIの場合、そのログもAIに読み込ませた上で関連情報を探すように指示し、顧客の癖もインプットした上で回答文案を作ってくれとお願いするようなことができる。
つまり自分のアシスタントがいるようなイメージだ。
これは、ユーザもサポートも大幅な作業負荷の軽減が期待できる。

下手すると今のように沢山人は要らないということでクビになる可能性があるが、物事には順番があるだろう(後述)。

3番目のパートナーとの協業は外資ITあるあるだが我々外資ITが日本でビジネスを立ち上げる際、ほぼ例外なくディストリビューターやリセラーと組む必要がある。
何故なら日本の顧客はパートナーにベンダー選定含めてお任せのところが多いし、そもそも知名度がないのでどこかのパートナーに推奨してもらわないと製品選定の候補にさえならない。
そして販売でパートナリングが成功すると次は保守も協業しようということになり、彼らが一次保守を担うようになる。
つまり俗に言うTier1やTier2といった簡単な問い合わせはパートナーが解決し、彼らが解決できないTier3以上のケースがパートナーからベンダーにEscalationされるというものだ。

この場合、パートナーは製品のList Priceから非常にDeepなDiscountで製品を購入する権利を有し、一方で正規料金で製品を顧客に売ればその差額を自分達の儲けとすることができるし、この中からエンジニアを雇うお金を捻出しトレーニングを施し一次サポートにあたらせることができる。

4番目はアウトソースだが、これはパートナーのディスカウントモデルとは違い、アウトソースベンダーにお金を支払ってサポート業務を委託するようなモデルだ。
そして日本の外資系でたまに起きるのが、日本のベンダーではなく海外、例えばインドや中国の大連(こちらは地政学的なリスクもあり若干下火)で一次サポートを提供といった話が出てくる

5番目は社員だが、難しい問題を理解しタイムリーに解決しないといけないので優秀でないと務まらない印象だ。
会社の業績が伸び盛りの時は間違えて変な人が入社したりするが段々会社のステージが変わりベンチャーから大企業に変わると会社のオペレーションも洗練されてくるし優秀な人が入社するようになるので、変な人はいなくなる(居られなくなる)印象だ。

で、AIの話に戻るが、AIは業務効率を劇的にあげるので人は減ると思う。
しかし最初に減るのはおそらく3番目のパートナーと4番目のアウトソースだ。
なぜかというと、簡単な問い合わせ対応ほどAIの得意なことはないので、Customer Co-Pilotを開始した途端彼らの存在意義はだいぶ薄れてくるような気がする。

社員も安穏とはしてられない。
プロンプエンジニアリングを理解し、AIをマルチで使いこなす(別の言い方をするとAIというアシスタントを複数使いこなす)ことのできない社員は会社を去ることになるのではないかと思う。


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