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Harley-Davidson(ハーレーダビッドソン)の今年を振り返る

オートバイに興味の薄い方にも知られるHarley-Davidson。今年は生誕120周年のメモリアルイヤーだそうです。3月に開催された東京モーターサイクルショーに行ったときにも、そのブースはかなりの盛況であったと記憶しています。記念すべき年だから、という訳ではありませんが、国内トップレベルの販売を誇る輸入車メーカーの今年を国内統計データーを元に振り返ってみようと思います。

上記グラフは日本における2022年の月毎の新車登録台数を0とした場合の今年の増減を%を示したものです。前年実績を10%以上、上回ったのは2月、7月、11月のみ。12月のデータは1月初旬の発表を待ちますが、通年では前年並みの実績といったところになりそうです。一見ぱっとしない印象(注)ではありますが、年末にかけては10月後半に発売した新型のエントリーモデルX350(699,800円)、 X500(839,800円)のデリバリーが始まっているようで、来年に向けて弾みがつきそうな予感です。
(注 : 昨年はニューモデルの投入効果やコロナ下のバイクブームもあり、10000台/年の大台を回復していましたので、昨年比でいうと今年はハードル高めな一年であることに留意する必要があります)

Harley-Davidsonといえば、コンスタントに年間10000台以上売るメーカーという印象でしたが、10年程前から調子を崩し始め、2018年に1万台割れしてからは暫く低迷が続いてきたといわれます(とはいえ、ラインナップの殆どが数百万円の大型バイクで年間約7000台~8000台の登録台数はすごい数字…)。

マーケット規模の大きい新興国向けの廉価モデルをエントリーユーザ向けとして日本にも導入するのは国内・海外メーカ問わず、今やトレンドとなっています。Harley-Davidsonが新たに導入したエントリーモデル2機種は、Ⅴ型の大排気量エンジンというHarley-Davidsonのアイデンティティーとはほど遠い仕様ではありますが、野暮なことは申すまい…です。

日本でのHarley-Davidsonの躍進を築き上げた奥井元社長(1990年~19年間)は「モノではなくコトを売る」といってHarley-Davidsonのある生活、体験も併せてお客様に提供することで顧客満足度を上げ、販売台数を伸ばしたそうです。日本でのHarley-Davidsonの成長は奥井元社長の施策、それにコミットした専売ディーラーの努力なくして語ることはできず、当時オートバイ自体の商品力を向上させて、販売台数を稼ぐことに注力していた日本のメーカーや販売店にとっては衝撃的であったと記憶しています。奥井元社長のDNAは現在のHarley-Davidson Japanにも脈々と受け継がれているように見えますし、また国内外の他メーカーもこぞって追従しているのは周知の事実です。しかし、Harley-Davidsonの持つ、そもそものブランド力の高さとの相乗効果は他メーカーが容易にまねのできるものではなかったようにも思われます。

話を戻しますと、X350に関しては普通二輪免許(400㏄までの二輪免許)でも乗れる初のHarley-Davidsonです。今までも比較的廉価なモデル(例えば、XG750ストリート=大型二輪)の設定はありましたが、今年さらに敷居を下げてきたと言えそうです。
新たにエントリーしてくれたHarley-Davidsonユーザーが、メーカー・ディーラー一体となって提供する様々な体験を通じ、近い将来コアな「Harley-Davidson」乗りに育っていくのでしょうか。しばらく興味深く見続けていきたいなと思いました。


(余談です。 Harley-Davidsonというメーカーはお客様を育てるだけでなくて、整備士の養成にも熱心。日本のある自動車大学校(整備士の養成学校)ではHarley-Davidsonの整備士になるために特化したクラスがあるんですよね。トヨタとかホンダとか四輪の世界ではメーカー系の自動車整備専門学校は有名ですが、二輪でははHarley-Davidsonくらい。授業、実習で使用する教材はもちろんHarley-Davidson!ここの卒業生達は全国のHarley-Davidsonディーラーに就職していくという訳です。ブランド力がなければできないことで、こういうところにもHarley-Davidsonの優位性が感じられます。日本メーカーも負けずにがんばってほしい!)

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