地球に優しいWebデザインを。
おはようございます。
先日、「地球に優しいWebデザインを」というサイトを作成いたしました。
この考え方は、SDGs達成のために、微力ではあるがWebデザイナーとして何かできることはないか考え、作成した次第でした。私のような影響力のない者にとってできることは限られていますが、すぐにアウトプットしてみようと思ったことが一番の理由です。
海外では広く議論されている、「Sustainable Web Design」という考え方で、ロンドンのWHOLEGRAINdigital、シカゴのMightybytesというデザイン会社をはじめとする、多くの企業がその知見をシェアしています。
日本にはそうした議論、そもそもの知見が足りていません。まずは知る事からはじめよう、というのが主な目的です。
きっかけ
私がこのSDGsに真の意味で関心を寄せたきっかけは、日本のデザインコンサルティング会社Takramの佐々木康裕さん、武蔵野美術大学のクリエイティブイノベーション学科にて教授を務める岩嵜博論さんの共著である『PURPOSE 「意義化」する経済とその先』という本を読んだ事がきっかけです。
本著者である佐々木康裕さんは、2年前に『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』という書を出版しており、テクノロジーの変化が寄与し誰でもブランドを作れるようになり、また、消費者の価値観の変化により我々消費者はブランドとの直接的な関わりや、購買に値するストーリーを求め始めている、という側面から、今後の企業がすべきことがまとめられていました。
本著でも今後の企業がすべきことがまとめられていますが、2019年~現在の世界情勢の変化の種を拾い、深く考察され、2年前のD2Cから大きなアップデートを感じました。
2019~2021年の世界の流れ
例えば、リーバイスというデニム会社が、アメリカの銃規制に賛同することを発表し、銃を所持した者の入店を許さない姿勢を取りました。また、Amazonは銃商品を取り扱わないことを、Salesforceは銃を取り扱う関係企業にサービスを利用させない、ということを発表しました。こられは、直接的に売り上げを下げる原因となりえるディシジョンです。
またコロナと同時期にBlack Lives Matterという活動がありましたが、こうした人種差別問題に対して一部ブランドは、「自分たちは人権問題に対峙する」という声明を出す動きが生まれ、逆に何も声明を出さず静観を決め込んだ企業は消費者からバッシングを受けるまでに至りました。
こうした事実から、我々消費者の価値観は2019年頃からさらに変化し、「企業に社会課題の取り組みを期待する」ということが考えられるようになったということです。
企業がすべきこと
これらのことから、企業がすべきことが明確に変化しました。それは、一言であえて言うのであれば、「利益を超えたパーパスを実現する」ということです。ここでいうパーパスとは、私は「社会的意義」という意味で捉えました。このパーパスとは、ミッション・ビジョンのような高尚な理念のような物ではなく、社会に対して、よりアクティビスト的で、その企業 が信じて止まないことです。
更に企業のスタンスは
に変化し、結果的にこれらのスタンスを貫く企業に消費者はお金を払うようになるだろうと述べられています。
ビジネスのあり方
その結果、企業が作る製品、サービス、組織、あらゆることに変化が求められていると感じました。
IKEAという家具ブランドは、少し前なら安くて壊れやすいというイメージを持っているかもしれません。しかし、IKEAが現在取り組んでいるのは家具のレンタル、サブスク、リペアサービスなどです。利益のみを追求するのであれば新しい物を買わせた方が良いのですが、IKEAは利益を超えた「パーパス」を実現しようとしています。
このように、ループするビジネスモデル(サーキュラーエコノミー)を企業は求められています。今までは、作って「売る」というフェーズに着目しビジネスをデザインしていましたが、購入→利用→利用後までを考慮したものづくりが必須となるでしょう。
そしてそうしたプロセスを多くのステークホルダーを巻き込み、共に取り組むことが重要だと述べられています。今までは一つの企業ができることを行う、というスタンスでしたが、従業員、サプライヤー、顧客、コミュニティ、株主といった多くの人を巻き込んで行う必要がある、筆者はこれを小舟ではなく大船であるべきと表現していました。
また、今までのように誰でもブランドが作れ、消費者と直接関われるようになった今、SNSでは虚偽的(映えを意識した)なバズを狙ったプロモーションが散見されるようになってしまいました。今後はより、正真性(すっぴんであること)が求められ、花火のような一瞬のバズではなく、着実な「波」を作るべきだと述べられています。
デザイナーとしてできること
そうした社会のあり方、企業のあり方が変化する未来を想像し、私はどんなことができるだろうと考えるようになりました。
私はデザインは、企業の目標を達成するための課題解決方法のいち手段だと考えています。つまりデザインは、地球や社会問題を解決するための一手段だということです。そうであるべきです。
クライアントワークでは「パーパス」の下、提案やクリエイティブを作成しなければなりませんし、納品する物が地球にとって「破壊的」では本末転倒です。
食品やアパレル産業は、広くサステイナブルなものづくりを謳っていますが、デザインやIT業界は、どこか他人事のように感じました。サイトひとつとっても、多大な電力を消費しているという現状を知るだけでも大きな一歩だと感じました。
近い未来、「デザイナー」がSDGsの達成に大きな貢献ができるよう、一歩づつ前進していきたいと、強く感じています。
2021.9.9
覺心元康