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瑞牆山で山の応急処理を体現 ~山梨トレイルラン合宿2019夏 二日目~

山梨トレイル合宿2019夏の続編、今回の核心部分です。結論から言うと、下山中に足を捻って怪我をしてしまい、その後の対応含めた顛末を恥を忍んで書いておきます。

二日目は前日夜の予報を基に計画変更して瑞牆山へ。時間もちょっと後倒ししてスタートする想定としました。
朝7時に起きたら雨あがってるし。夜は結構本降りだったみたいですが、早朝出発して鳳凰三山行けたかなとちょっと後悔。ちょっと高速乗って須玉ICから瑞牆山荘へ。
以下かなり長文になるので、目次つけます。
ちなみに初日の様子はこちら↓ 

1. 山行計画

 ルートはこんな感じです。(距離:11k、累積標高1110m、最高標高:2175m、時間:約4h(時間の読みはちょっと甘かったかも))

瑞牆山荘から瑞牆山へは急な登り、途中から大きな岩が多い岩場の登りが続きます。ピークからは長い下り基調の楽しそうなトレイル、下りきった自然公園から富士見平小屋まで少しだけ登り返してスタート地点まで戻ります。

道がまのマツイさんが以前にMMAのブログで楽しそうな記事を書いてたのでこれを参考にしました。

2. スタート~瑞牆山山頂まで

車で移動してる間に雨が降ってきて、結局スタート時は雨模様でまたもやレインウェアを着てのスタートとなりました。
(前日の二日酔い影響ある人もいて少々テンション低めな後ろ姿のご一行様)

が最初の分岐 富士見平小屋あたりでは雨も上がってくれました。(富士見平小屋では手前に天然の水場あり)
ここからは岩場の登りや沢渡等もあり、ちょっとアスレチック気分で楽しく進みます。時間もずらして雨模様だったので、登山者も少なく快適です。
(こう見るとかなり調子に乗ってる人がいますねw)

そうこうしてる間に瑞牆山山頂(2230m)に到着。山頂には登山の方1名のみでした。早速勇気を振り絞ったり、ちょっと気取ったりして記念撮影タイム。

3. 山頂から楽しく下山開始

ここからは来た道ではなく、北西に向かって周回するイメージでみずかき山自然公園の方へ下りていきます。こちらは快適な下りを期待したもののそんなはずもなく、岩場ではないものの、まあまあ傾斜があり、木々に囲まれて根っこが入り組んだ細い下りが続きます。今回は10人組で女性4人なので、下りは自分を先頭に、女性は前方についてきてもらう形で進み、途中の大きな岩などで写真を撮ったりして少しづつ進んでいきました。巨大な岩がいくつもあって撮影ポイントには事欠きません。

上の写真は夫婦岩。ここから下った沢の手前で事件が起きるとは...。

4. 痛恨の怪我~応急処置

 夫婦岩から先のトレイルをゆるゆると下っていたなんでもない所、沢の近くで足を捻って怪我をしてしまいました。
特に飛ばしてた訳ではなく、後続を意識しながらゆっくり進んでたつもりだったけど、トレイルの真ん中の木の根が薄く縦に地表に出ている所に乗ってしまい、その隣に同じ位の大きさの石がある場所の間に挟まる感じで左足をグネった形。その瞬間『パキッ』と音がしたような。途端に激痛が走り、尋常ではない怪我だと感じました。すぐに靴と靴下を脱ぐと、くるぶし外側あたりがかなりの大きさで腫れてどんどん膨らんでいくきます。ちなみに時刻は12:40頃。

なお怪我した以降の写真を不謹慎に撮っている人は残念ながらおらず、以後の写真はありませんので悪しからずw
以後仲間のアドバイスも聞いて以下の応急処置を実施しました。こういう時の基本は「RICE」ですね。

◆R: Rest (は省略)

◆I:Ice (冷やす)
 10mほど下に沢渡り地点があったのですぐに冷やすのには最適地でした。そこまでは肩を貸してもらってケンケンで移動。冷却時間はたぶん5-10分位。川の水はとても冷たくて身体が震える位でした。これで腫れが大きくなるのは多少収まった気がします。
(ただ後で調べたら15-20分位、感覚がなくなるまでってあったので、もう少し長くやってもよかったかも)
※この際、仲間がエマージェンシーシートを出してくれて、自分のレインウェアを着させて、下にエマージェンシーシートを巻く事で、冷却中の身体の寒さも何とか我慢できました。
(その他みんなが心配してあれやこれや提案してくれたけど、同時にみんなに色々言われても処理が追いつかずw)

◆C:Compression (圧迫)
 ニューハレのような伸縮テープではなく、固定用の非伸縮性のもので。この日はロールで持ってきてたのは幸運でした。(TW彩の国のマーシャルボラで返却し忘れたやつかなww)
以下3種類でがっちり目に固定。
①スターアップ(足裏からくるぶし)
②ホースシュー(踵)
③フィギュアエイト(足の甲から8の字)
昨年度、ハセツネ安走会で体得したテーピング手法が役に立ちました。そういえば昨年の安走会最終回でもグネって自分でテーピングしたなあ。
※今回は怪我状態なので可動域の考慮はあまり不要との理解です。
※ちなみにテーピングする事で足の血流が悪くなり、結果的に患部の炎症を抑える(ICE)効果もあるって、ニューハレ芥田さんが以前言ってました。
※テーピング後、靴下・靴はちゃんと履けたのはホント良かった。たぶんそのままだったら靴は履けないほど腫れてたような気が。そして靴履けなかったら3kの山道を両足をついて歩くのは無理でしたね。

復習の意味でテーピングの巻き方を検索してみました。このカンペキなテーピング動画とか見てると、自分のはまだまだ甘かったかなあって感じます。今後のイメージトレーニングとして是非チェックしておいてください。

◆E:Elevation (挙上)
 は車に乗った後ですが、前後のシートを繋げて足を伸ばして多少足を高くするようにしてもらいました。

テーピング後に足をついてみるも力を入れるのは厳しそう。ただ不幸中の幸いで今回はポールを持ってたので、これを使って何とか進めるかなと。

5. 決死の下山

応急処理しても車が入れる地点はまだかなり先です。現場は以下の地図の青丸の地点(全体行程の4/10k地点)、下山後に車に乗れたのが【G】の地点(みずがき山自然公園上の林道の途中)でした。車までは3k以上、標高差(下り)300mの走るとテクニカルな下りのトレイル。元気だったら30分位で下りられそうだけどねえ。
※予定ルートでは残り6k以上あったものの、仲間が駐車場まで走って車を手前の林道まで移動してくれて半分にできたのは幸いでした。

再スタートは13:00頃(なので怪我から応急処置で約20分)。最初の難関 沢渡りが悩み所で、背負って渡ると言ってくれた男子もいたが、足元が不安定な中、背負って渡るのはちょっと危険そうなのもあり、みんなに見守ってもらいつつ、ポール&ケンケンで何とか自力でクリア。その後50m程その形で進むも、大きめの段差を超える所で足が引っかかり早速転倒。その後は左足も慎重につけて両足(段差の所は両手も)を使って進む事にしました。左足は捻ったり、石や枝につま先がぶつかったりすると痛いけど、静かにまっすぐ足をつく分には何とか大丈夫な感じ。トレイルはずっと細いシングルトラックで大小の段差もちょいちょいあったので、仲間に肩を借りたり、4人位で搬送したりするのはちょっと難しかったかな。とはいえ前後でフォローしてくれる仲間を頼って、段差の所はポールを預けて腕を使って進んだり、上に上がる時には前から腕を引っ張ってもらったり(これ効果あり)して、この状況だと難関の段差を超スローペースでクリアしていきます。3人に残ってもらい、残りメンバーは先行して車移動、風呂・病院等の調査/確認をしてくれていました。自分の方はフォローしてくれる仲間に、痛み止めがないのかとか、まだかまだか等と悪態をつきつつw、公園から更に上の林道の悪路まで車を進めてくれた地点まで何とか到着したのが15:25。約3kを2.5時間かかってみんなのおかげで何とかたどり着く事ができました。

6. 近くの病院での診察結果

その後は仲間が入浴場所と病院を調べてくれてたので、その情報を頼りに車に乗って麓の増富温泉へ。
(本来は病院に急ぐべきですが、病院に行くとすぐにギプス固定されてお風呂入れないとの事でちょっとシャワーだけ ... いや35度程度の低温の源泉があったので足を上げた状態でちょっとだけ入浴)

病院はそこから30分程のIC近くの市立病院。ちょうど整形外科の先生がいてくれたので助かりました。お風呂前後では痛みが小さくなってる気がしたので骨折じゃなくて捻挫で済むかなと思っていたものの、レントゲン撮影後の診断はあっさりと『折れてますね』との診察。足の画像に小さな亀裂を確認する事ができました。全治期間を聞いてみると「ちゃんと検査しないと分からないけど1.5か月位かな」との事。すぐにギプスで固定して治療終了。レントゲン写真と紹介状をいただいて秘密基地へ戻りました。ふ~。

という訳で楽しみにしていた翌日の鳳凰三山は今回は保留となりました。同行の皆さんにはご迷惑をおかけしゴメンナサイ。とはいえ今回自分の身体を張って緊急事態の対応をできたのは何よりみんなにとっても貴重な経験という事にしておいてください。

ちょうどこの週末に開催されていたトレイルランや縦走の大会では、悪天候で途中リタイアを余儀なくされたり、想定外の事故が起きたりしたケースもあったようです。大会・プライベートに限らず、『自分の身は自分で守る』、『仲間の身は仲間同士で守る』事ができるよう、色んな備えが必要だと思い知らされたこの週末でした。今後の装備も少し見直さないとね。

7.まとめ【追記】

 今回はかなりの不幸中の幸いの山盛りだったので、それをまとめてみます。(多少自画自賛w)

①仲間と一緒だった (単独行ではなかった)
②応急処置の知識・経験が(多少なりとも)あった
③テーピング(非伸縮性/ロール)を持参してた
④ルートをスマホGPSで把握し、適切なルート変更ができた
⑤ポール(ストック)を持ってた
⑥レインウェア上下(+エマージェンシーシート)を持ってた
⑦休日/近隣の病院に整形外科の先生がいた

>①仲間と一緒だった (単独行ではなかった)
 のはホント重要。あの状況で一人だったらと思うと絶望しそう。応急処置も冷静にできていなかったと思います。

> ②応急処置の知識・経験が(多少なりとも)あった
 ハセツネ安走会での講習+昨年よく自分でやってたグネり状態でのテーピングによる実地経験が生かされました。あと以前にニューハレ:芥田さんのテーピング講習を受けたのも勉強になってます。(最近よくショップとかでやってるのでオススメ)
 また今回メンバー中、安走会メンバーが3人+勉強中2人がいたのも心強かったです。今回は自分がリーダでその本人が怪我してしまいましたが、リーダ以外が「ついていくだけの人」だと、こういう事態では冷静な対応が難しかったと思います。(各自が自分で(できれば仲間も)身を守る意識が重要)

> ③テーピング(非伸縮性/ロール)を持参してた
 いつもは大会の必携装備で指定される1m程度のニューハレのテープ+非伸縮性のテープもカードに巻き付けて数m程度しか持参してないのですが、今回はそれが見つからず、ロールのテープを持参してたのが幸いしました。今後もロールで準備しておこうと思います。

> ④エスケープルートがあった
 今回のルートは瑞牆山荘からの岩場往復ではなく、北へ抜けるルートで、途中から自然公園に一度下りるルートなのは自分でも把握してました。それに加え、ヤマレコ/ヤマプラで山行計画を作成し、作成したGPXデータを同行者に共有、スマホGPS(Geographica等)への事前ダウンロードをお願いしていたので、怪我発生時に仲間が残りのルート確認と変更を自ら対応してくれました。その結果、残り6k→3kになり、怪我人の移動が最小限にできました。
また結果的に帰りのルートが岩場の方じゃなくてラッキーでした。片足がほぼ使えない状態であの岩場を下らなければいけなかったとすると卒倒します。

> ⑤ポール(ストック)を持ってた
 今回は鳳凰三山に行く予定だったので久々に持参してて、せっかくなので練習をと持ってきてたのが幸いしました。片足に力を入れられない状態で段差部分を進むのに非常に有用で、もしなかったら頻繁に転んだり、地面に手をついて対処する場面も増えたりして、更に時間がかかっていた事と思います。(今後は不要な場面でも非常用として持つだけ持っておこうかな)
なおポールくんはその後、家に帰った後~地元の病院にたどり着くまでも、当面の杖として役に立ってくれました。(松葉杖は山梨の病院で貸してくれるって言ってたけど、返すのも大変なので遠慮しておきました)

> ⑥レインウェア上下(+エマージェンシーシート)を持ってた
 まあこれは基本ですね。この季節だったので優先度は低いかもですが、「行動できなくなった場合」を考えた装備が必要ですね。今回は気温も低めで、特に川でアイシングしてた時に体が震える位だったし、以後の行動もゆっくりだったので、保温ができて助かりました。(エマージェンシーシートはレイン等の「アウターの下に巻く」方が保温効果がありますよ)

あと本当に行動できない状態で、仲間が複数名いたら、厚手のシートを持っていたら複数名での搬送とかできたかな?これあったから持っていっておけば使えたかも。これ頑丈で色々使えます。

> ⑦休日/近隣の病院に整形外科の先生がいた
 仲間が近隣の休日診療をしてくれる病院を探してくれ、運良く整形外科の先生がいたので、当日の対処を適切にしていただきました。

さて、この足はこの後どうなる事やら。帰宅後、翌々日の本診察編に続きます。(このシリーズ続編、長くなりそうですww)

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