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物語の重要性
"There's nothing more powerful in the world than a good story." -Tyrion Lannister in the final episode of Game of Thrones
要約すると、良いストーリーよりも力のあるものはこの世に存在しない。
世界的に大ヒットしたゲームオブスローンズのシーズン8(最終シーズン)最終回でティリオンが放った言葉だ。
シーズン1から主人公級のキャラクターが次々といとも簡単に殺されてしまうゲームオブスローンズの世界においてティリオンは特別な存在だ。
初回からほぼ毎回登場している彼は小人病であるが故に人々からはドワーフと罵られながら生きる。
そんな彼を生き延びさせたのは彼の頭脳。
彼の頭脳と人々への愛のために血みどろの世界で最後まで人々から必要とされたのだ。
最終シーズンの最終回にこの言葉が私を突き刺した。
何故ならばこれこそ私が子供の頃から実感していることだからだ。
なぜ人々はアップルの製品を買うのか
なぜ人々はニッカのウィスキーを飲むのか
その裏には良いストーリーがある。
社会的に成功していない私が大切にしている判断基準や価値観など何も参考にならないのは百も千も承知だが、それでも自分の中で確信していることがある。
製品やサービスを提供している企業が掲げる理念の重要性だ。
いや、彼らが掲げる理念がいかに実現されているかの重要性だ。
私は企業だけでなく、人を信用するかしないか判断する際、言葉を信じるのではなく行動を見て判断する。
言葉だけを聞いて判断するのは簡単である。
簡単であるがために完全な判断基準ではない。
完全ではないだけでなく、むしろ危うい部類に入るほど信用ならない。
「行けたら行く」という回答をして10回中10回不参加
「行けたら行く」という言葉と
10回中10回不参加という行動
言葉と行動を横に並べて比べてその人の真意はなんなのか判断するようにしている。
※わかっていながら私も「行けたら行く」という言葉を使うことがある。
信用できない人間だ。笑
横道に逸れたが、
ここで書きたいのは美しい物語が持つ力についてだ。
長期間で壮大な成功を修めるにはロジックや価格やマーケティングよりも、美しいストーリーが必要だと確信を持っている。
いかにして自分の信念を貫いて自分のやりたいことを自分しかやらない形でやるか、これを頑張る人はやがて信用されるし、良いものを適正価格で作る。そして美しい物語が出来上がる。
だから、企業の理念を見て実際にそれに沿った行動を社員さんたちが行なっているか、すなわち、企業が良いストーリーを作っているかが、私の良い企業かそうでないかを判断する基準である。
幼少期から夢想家で常に頭の中に独自の物語を描いている私はティリオンの言葉に救われた気がした。
判断基準の話だけでなく、良い物語は人々を魅了し、夢を見させ、力強く生きる力をくれる。
人類史上ずっと良い物語が人々を支えてきたのだ。
マーケティング先行で、でっち上げられたストーリーに溢れた世の中にあって、論理や計算を排除してとにかく心を揺さぶる本物の物語がこれからもより一層人々の心を支えていくものになる。
ゲームオブスローンズ最終シーズンは世界的に大ブーイングを受けているが、少なくともティリオンの発した一言には大きな意味がある。
これもまた良い物語の力だ。生きるのがより楽しくなった。