10/10(日) 2年越しのハプバーへ/"重要な他者"のパートナー
「ずいぶん前に行こうって言ってたハプバーってどこだったっけ?」
週末、真面目にモノガミー交際をしているはずの友人から珍しい連絡がきた。
たしかに2年前、友人にモノガミーの恋人ができる前の時期、ハプバーに一緒に行ってみよう、という話をしていた。ハプバー界隈に慣れている知人がちょうど遊びに来ていたので、ガイドしてもらう予定だったのだ。その時は忌まわしき仕事のせいで全くあがれず、予定も流れてしまったのだけど。
お店を伝えつつ、「恋人は大丈夫なの?」と確認した。「説得して、1回だけならOKって許可をもらった」という軽やかで抜け目のない回答。私が知る彼は、モノガミー規範から逸脱する行為を恋人に"説得"するような人ではなかったから、少し意外にも感じる。数年単位で人付き合いを続けていると、人間のダイナミズムを不意に感じるものだ。
「今晩行こうと思っているのだけど、良かったら一緒に行かないか」と続けて誘いがあった。習い事のスケジュールが入っていたが、休んでも差し支えのない回だったのもあり、友人からの珍しい誘いに乗らない手はないだろうと一緒に行くことにした。
結局、当初行こうとしていた店には入れず、ハプバーの中でも多種多様な性癖やフェチの人が集まるような(常連客や店員が言うには"ハプバー界隈の中でもちょっと異質な")、濃い空間にお邪魔することとなった。代わる代わる聞かれる「2人はどんな性癖があるの?」という質問に、「すみません、わからなくて…」と2人で答える。にわか丸出しで恥ずかしい。
深夜に向けて盛り上がりが加速して肌色が増えていくお店の中で、気圧されてしまって終電前に店を出た。友人と「自分たちには、本当に何の性癖もないのかもしれない…」と茫然とする。2人とも「掘ればいつか出てくるだろう」となんとなく、自分のポテンシャルに期待していたところがあったが甘い考えだと突きつけられた。性癖の才能はないかもしれない。
明日、別の友人の恋人の演奏会を一緒に見に行くというほのぼのイベントがあるのに今日ハプバーに来てしまって、温度差がすごい。そうこぼすと、彼はまた軽やかに笑った。
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「ハプバーも行くし、クワロマンティック文脈で言う"重要な他者"の恋人の演奏会にも行くし、イベント盛りだくさんだよ」
早めに待ち合わせをしていたので、会場に向かう前に軽く近況報告を済ませた。クワロマンティック(自分が他者にいだく好意が恋愛感情か友情か判断できない/しない)の話を知っている友人は、「私を"重要な他者"に入れてくれるの嬉しい」と素直に言ってくれて、若干キャッキャした。
10年以上の付き合いの、あなたは"重要な他者"。私の人生のダイナミズムを見守る人。
友人の恋人の演奏会は無事に終了して、恋人がわざわざ席まで来てくれて挨拶をした。「いつもお世話になってます」と、こちらが演者に差し入れするはずが、逆にお菓子をもらってしまう。紙袋の中には直筆のメッセージまで入っていた。
正直ずっと、「友人をモノガミー恋人に"奪われてしまった"」という寂しさが無いでもなかったが、その隅まで行き届いた心遣いに感服してしまった。私の"重要な他者"に素敵なパートナーがいて良かった。
混じり気なしのコンパージョンに変化できて嬉しい。
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週末はイベントが多くて2本立てになってしまった。という日記を、また別の友人の家に遊びに行ったら予想以上の汚さに心が折れてしまって、協議して今日は帰ることにした。その帰路の電車の中でこれを書いている。