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「怒りの練習」なんて、恵まれた環境の人しかできねぇのか。



「いいよねぇ、あの子は、ワガママ言っても許されて。恵まれた環境で育って、充分に甘やかされてきたんだろうね」


 誰かに向かって積極的に悪口を言ったりせず、あんまり愚痴をこぼさず、ほとんど怒りを見せない知り合いがいる。あたいが知る限り、その人がちゃんと怒りを表明しているところは見たことない。おバカな他人や物事に呆れることはあっても、声を荒らげる姿なんて想像もできない。

 そんな人が、おそらく皮肉ではなく純然な羨望というか、まるでキレイな景色を見て感想をこぼすように、他人に対して、ふとそんなことを言ったことがある。

 そういう羨望の言葉を聞いて、あたいは少し思うところがあった。

人に対して怒らないようにする」が美徳で善いことだと教わる社会だけれど、その実、怒らない人たちにとって、あるいは普段は怒りをひた隠しする人にとって、存分に怒りを表す行為や、目一杯怒りをぶちまけられる人というのは、案外羨ましく見えているのかもしれない。




 「アンガーマネジメント」って考え方が普及し始めとるね。なんか必殺技みたいでカッコいい横文字だけど、要するに怒りやストレスに向かい合うための効果的な感情管理手段のことらしいわ。

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ここはあなたの宿であり、別荘であり、療養地。 あたいが毎月4本以上の文章を温泉のようにドバドバと湧かせて、かけながす。 内容はさまざまな思…

今ならあたいの投げキッス付きよ👄