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水商売の人間にね、期待しちゃダメなの。 〜コロナ禍と、お酒と、若者と。


「水商売の人間に、期待しちゃダメなの」

 それは水商売“なんか“、ではなく、水商売“だから”

 こういった言い回しは、飲み屋で働く同業者との仲間内でのディスり合いでも、あるいはゲイバーのカウンターの中に立っていた頃にも自虐として聞いた言葉だけれど、今このウィズコロナの時代に、お酒を飲む文化や、飲み屋で遊ぶ生活に憧れを持つ人たちに向けて、改めてこの言葉を伝えておきたい。

 なぜ水商売の人間に期待しちゃダメなのか。


 簡潔に言うとそれは、水商売で働く人間は、昼に寝て、夜に起きる人間だからだ。




 初の緊急事態宣言が、もうかなり昔のことのように感じる。

 コロナ禍になって、クラスター対策のためにいろんな規制や自粛が行われた。イベント会場や事業所など一堂に会する場所が次々に休業し、学校も休校になった。業種によっては完全リモート業務に移行するものもあった。

 飲食店でも営業自粛やアルコール類の提供規制が行われ、全ての生活様式が一変した。

 たった2、3年ほど前のことなのに、こう書いてみるとなんだか懐かしい。


 あの頃、ほとんどの飲食店が午後8時になると店を閉めてしまったので、夜の街には異様な光景が広がっていた。普段は人でごった返す都心部でも、人っこ一人も歩いておらず、まるでゴーストタウンのようだった。

 閑散としたスクランブル交差点を見下ろすモニターには、自粛を呼びかける都知事、小池百合子さんの姿が映っていた。暗い街に浮かび上がる百合子。誰もいない街に声をかける百合子。押しかけるメディアに対して「密です」と諌める百合子。家に引きこもり続けてやることがなく、暇すぎたので自分の尻を揉みしだき、蚊の鳴くような声で「ケツです」と言うあたい。

 なんだかディストピアの世界みたいだった。

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ここはあなたの宿であり、別荘であり、療養地。 あたいが毎月4本以上の文章を温泉のようにドバドバと湧かせて、かけながす。 内容はさまざまな思…

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