【短編声劇台本】怪しいお医者さん(男1:女2:不問1)
登場人物
・幽(ユウ)/不問
性別、年齢不詳のマッドな医者。
・ナース/女
注射が得意の元気なサイコパス看護師。
・患者/男
幽の病院で目が覚めた男。
・少女/女
幽の病院内に現れた不思議な少女。
サブキャラクター(兼ね役推奨)
・放送/不問
【時間】約20分
【ジャンル】ホラーコメディ
【本編】
(ナレーション風な入り)
患者「ここは、どこだ…。記憶が曖昧で身体中が酷い痛みに襲われた事により気を失った筈だ…俺は一体…。ふと、目が覚めた……ここは…」
幽「病院の〜!」
ナース「診察室で〜す!」
患者「うわぁ!?」
幽「やぁやぁ目が覚めたようで良かったよ!やっぱり新しく仕入れた着付け薬は一味違うね〜」
ナース「まぁ、今回初めて使ってましたけど」
幽「問題なさそうだし、今後も使えるね〜」
ナース「また仕入れときます〜!」
患者「……え?」
幽「やぁ患者さん。体は大丈夫?目立った外傷は僕の手腕でもう綺麗さっぱり……うん!綺麗さっぱり治ったよ」
患者「今の間は何!?」
幽「………」
ナース「ちょっと解剖…解体…えっと……なんて言えばいいですかね?」
患者「もう言ってる!?は?解剖!?」
幽「…別に、ちょっと中開いて異常がないか見ただけだよ…チッ、残念ながら何もなかったけど」
患者「あからさまにがっかりすんな!」
ナース「新しい薬試したかったです…」
患者「おい!ここは病院だろ!?なんでそんな怖い話ばっかしてんだ!白衣着てるあんたが医者か?そっちの女はナース?」
幽「せいかーい。僕はここ、てんごく病院。ひらがなで書いててんごくね。ここの院長をしてる幽という名のお医者さんだよ」
ナース「私は幽先生の優秀なナースです!注射を打つのが得意ですよ!」
患者「いや、…え!?てんごく病院!?どんな名前付けてんだ!つかそのナースが持ってる注射…ギャグ漫画でしか見ねぇサイズなんだが!」
ナース「何か言いましたー?」
患者「な、なんでも…ないです。……というか、何で俺が病院に…つか、ここは何処の病院だよ…窓から見える景色…森っぽいんだが」
幽「ここは人里離れてる所でね〜。ま、まずは君は体を休めなさい」
患者「…あの、俺。やっぱり何でここにいるのか分からないんだが、俺、自分が怪我したってのも覚えてないし、何でこんな病院にいるのか分からねぇよ!…俺は…俺…あれ、俺は一体……」
幽「…どうも記憶が混乱してるね。事故のせいかな」
患者「事故…?」
ナース「どうします?幽先生」
幽「うーん。あの麻酔試すかー。ナースちゃん注射器持ってきて〜!」
ナース「はーーい!先生〜」
患者「うわぁ!また馬鹿でかい注射器ー!?」
幽「大丈夫だよ〜これを打てば一発だよー」
患者「一発!?何が!?一発で死ぬて!」
ナース「ちょ〜っとチクッ♡としますよ〜」
患者「チクッと所じゃねー!いやーーー」
深夜
患者「うぅ……体がまだ痺れてるみてぇだ…。なんだよあのマッド医者とサイコナースは…。つか俺は何でこんな所にいるんだ?医者のくせに何も説明しねぇし………事故、とか言ってたな」
間
患者「いや、考えててもどうにもならねぇ…こんなやべぇ病院に入院してたらすぐに殺されちまう…!どうにか逃げ出して警察にでも助けを求めねぇと…運が良ければこの病院の現状を暴いて賠償だか慰謝料だかを望めるかも知れねぇ…!早いとこ逃げるか」
病院廊下
幽「こっちは問題ないねー…えーと、次は〜」
患者「…くそ、巡回してんのかよ…下手に動けねぇなぁ…どうするか…」
少女「ねぇ」
患者「え?」
少女「おじさん…?」
患者「は?…女の子…?何でこんなところに」
幽「そこに誰かいるのかーい?」
患者「ひっ!?」
幽「誰かベッドから抜け出した悪い子がいるのかなー?」
患者「やべぇ、見つかる!くそっ、こっちこい!」
少女「わっ」
幽「あれれ?気のせいだったかなー?」
患者「はぁはぁ…危ねぇ、まけたか…?おい、ガキ、お前はここの患者か?」
少女「…分かんない」
患者「わかんない?何でだよ。どの部屋から来た?俺はやる事があるからさっさと部屋に連れて行ってやるよ」
少女「………」
患者「おい、行くぞ」
少女「おじさん…体、痛い…」
患者「痛い?何処か怪我してんのか?」
少女「身体中痛い…熱い。怖い。私、どうなっちゃうの…?」
患者「は?お、おい大丈夫か!?…っ!!?あっ…頭がいてぇ…ぐっ……うぅ……」
少女「おじさん…おじさん…!」
患者「ぐぁぁああ!!?」
間
患者「はっ……え?……今の頭痛は一体…」
幽「わお!患者さんみーっけ!」
患者「!?マッド医者!?何でお前がここに?…あれ?ガキは?」
幽「…ガキ?何を言ってるんだい?まだ記憶が混乱してるようだね」
ナース「あー!患者さん見つけましたー!今度は朝まで目覚めさせない様にしてあげますよー……ってあれ?患者さん、体透けてますね」
患者「え?」
幽「そうだね…そろそろ時間切れだ」
患者「え?え?…体が…お、俺の体どうなって…」
幽「落ち着いて聞いてね。単刀直入に言うと君は生きた人間じゃない。死者だ。つまり…幽霊?」
患者「幽霊…俺が?何馬鹿な事を…」
幽「君は今、さっきまでいた所からテレポートして来たんだ。僕が目の前に現れたんじゃなくて、君が僕の前に現れた。ほら、幽霊って急に消えたり現れたりするだろ?」
患者「何言って…」
幽「まだ思い出せない?君が生きてた直前の記憶…」
患者「俺は…俺は」
幽「ナースちゃん。カルテ」
ナース「はい、こちらの患者さんは交通事故により死亡。酒気帯び運転により彼が乗った車が歩道に突っ込み幼児が巻き込まれ、患者さんは車が壁に激突した事により即死したとあります」
幽「うん、ありがとう」
患者「……え?あ、……へ!?お、俺…あの、女の子…」
幽「ここはあの世とこの世の丁度真ん中…そして天国と地獄のどちらにでも行ける場所。…患者さん。ここはね死んだショックで記憶が曖昧になったり、死にそうな人間がやってくる病院。ひらがなでてんごく病院と言うんだけど、本当の名前は…天国の天と地獄の獄と書いて天獄病院と言うんだ…君は、もう分かってるね?」
患者「あ、…そんな俺…」
ナース「悪い事をして死んでしまった者の運命は貴方にも分かってる筈です」
幽「記憶が戻ったら後は閻魔様に任せるだけ。これが最後の注射だよ…おやすみ」
患者「いやだ…いやだぁぁぁあ!!!」
患者、消える
幽「さようなら」
ナース「4時44分。ご愁傷様です」
幽「さてと…次は…」
少女がトボトボと歩いて来る
少女「痛い…痛いよぉ」
幽「……痛いね。怖かったね。でもね、君はここに来てはいけないよ…もう帰りなさい。きっと痛みも時期に無くなるから…」
少女「本当…?」
幽「約束する。僕はお医者さんだからね」
少女「…うん!」
少女、消える
幽「後は向こうの医者に任せよう」
翌日
ナース「昨晩はお疲れ様です、先生。…でも昨日の患者さんは悪い人だったんですね」
幽「うーん…どうでもいいよ。記憶が戻ったら後はあっちの仕事だ…ま、どんな処罰になるかなんて…想像がつくけど」
ナース「そういえば、先生って元獄卒ですっけ?獄卒って地獄で働いてるって言う…」
幽「そーだよ。でも、前の職場なんて良い思い出がないんだから…それに比べてここは天職だよ〜」
ナース「私もここでのお仕事楽しいです!」
放送『急患です。幽先生、至急第四診察室へ来て下さいーーーー』
幽「おっと、今日も忙しくなりそうだね」
ナース「はーい!お仕事頑張りまーす!」
幽「ふふっ、今日の患者は何処へ逝く運命なのかな……行くよ、ナースちゃん」
ナース「はい!幽先生!!」
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