外部講師の言葉で気付けたこと
一人ひとり、
その子のためだけの保育をしよう。
そう思っていても、
日々の保育の忙しさに追われていると
意図せず正反対の行動をしてしまっていることがあります。
つい先日、
こなんことがありました。
その日は外部講師に保育を見てもらい、
一人ひとりの子どもへのかかわりに
アドバイスをいただく研修をすることになっていました。
研修を始める前には毎回、
子どもたち全員分のかかわりについて課題に思っていることを
書きだした資料を用意します。
ところが今回、
在園しているひとりの子が
その資料に載っていなかったのです。
その子は月末に退園が決まっていて、
研修の日からほんの数日でいなくなってしまうことが
決まっていたのです。
資料のひな型は来月のちがう書類の作成にも用いるもののため、
あと数日しかいない子のぶんの枠をつけたす手間を省いたのでしょう。
合理的に考えるなら、
毎日とても忙しい中でのその判断は
まあ、わからなくもない…とも思いました。
研修の最後、
外部講師の先生は力を込めて
こう言われたのです。
「たとえ園にいるのがあと1週間でもあと1日でも、
絶対にちゃんと資料に載せて渡して。
たった1日だとしても、
その子のためにしてあげられることがあるんだから。」
一言一句、先生のおっしゃるとおりすぎて、
あらためて襟を正さねばと強く思いました。
壮大で美しい理想をかかげていても、
人は楽する方向に流れたり、
慣れたりする生き物です。
直接子どもとかかわるところではありませんが、
こういう書類作業ひとつとっても、
どういう心持ちで子どもたちに向き合っているのか
というところが立ち現れてくるのだなと思います。
むしろそういったところにこそ、
本質のところの深さや真剣さといったものが
反映されるのかもしれません。
こうして日々の慣れや気のゆるみを
真正面から指摘してくださる存在があることを
とてもありがたく思うと同時に、
自分たちのなかでも原点に立ち戻る機会を
定期的にもっていくことの大切さに
あらためて気付けた機会となりました。
とてもむずかしいことではありますが、
自分たちのすべての行動に
「一人ひとりその子のためだけの丁寧な保育をする」
という哲学が反映されるように
努力を重ねていきたいと思います。