見出し画像

自己と自己実現 ヒプノセラピー episode🥀12

今回は、ユング心理学の核心とも言える『自己』と自己実現について考えてみたいと思います。

自己実現という言葉は一般化しているので、ご存じの方も多いのではと思います。けれども、初めにその概念を提唱したユングの言うところの『自己実現』の意味をよく知っている方は案外少ないかもしれません。ユングの言う『自己』が、日常生活の中で私たちが使う自己という言葉と少し違っているからです。

ユングは、心には意識と無意識があり、さらに、無意識には層があるとし、個人的無意識と、その奥には集合的無意識(もしくは普遍的無意識)があるとしました。そして、意識の中心を自我(エゴ)と呼び、意識と無意識を含んだ心全体の中心を自己(セルフ)と呼びました。

普段の生活では私たちの意識は自我を中心として、私という人間、私らしさなどを成長させています。けれどもユングは、自我を超えた、より全体的な統合を目指す傾向が、私たちの中にはあるとしました。

そのような意味で、自己は意識と無意識の統合の中心であり、さらに、心の中に存在する相対するもの、例えば男性性と女性性、思考と感情などを統合する中心とされました。その自己へと向かう私たちの心の働きを『個性化の過程』『自己実現』と呼び、心理療法の目的もそこに置きました。

ですから自己(セルフ)は、無意識も含めた心全体の中心、私たちが目指している本来の自分らしさ、私という人間の核、等と言い換えられると思います。このように聞くと、自己という言葉のイメージも少し変わるのではないでしょうか。

特に注目したいのが、ユングが、人は本来自然と心の中心、自己へと向かう傾向があると言うこと、より高度な統合の状態を目指す指向があるということを、指摘したことです。これは、私自身、ヒプノセラピーを学んでゆく中で、非常に強く感じていることだからです。

次回、この、自己実現とヒプノセラピーを絡めてお話ししてみたいと思います。

セラピールーム アウロラ
渡邊真理乃
https://marinomothermariam.wixsite.com/my-site