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常に先を見せてくれたモヒニへの感謝。

こんにちは、ネパール事業マネージャーの牛留です。

いつもネパールのモノづくりを応援してくださっている皆さまにご報告があり、noteを更新しました。

ネパール事業が始まり、今年で16年目になります。

その始まりから、私たちとずっと共に歩み続けてきてくれたシルクハウス経営者のモヒニが、先月持病のため60歳で逝去しました。

モヒニ:写真右 パートナーのギタと桑の葉を育てる地域で撮影

ここ2〜3年、少し体調を崩す日が増えている中、春にはかなり復調して私たちも安心していた矢先でした。

モヒニをご存知いただいていたお客さまにとっては、突然のお知らせとなり大変驚かせてしまったかと思います。

今回は少しだけ、モヒニのことをお話しさせてください。

モヒニは元々、モノづくりとは全く畑違いの弁護士でした。

ネパールの当時の一般家庭では、男性が出稼ぎに行き、女性は子育てをしながら家を守ることを求められるため、女性が外で仕事をして経済的に自立することは難しい環境でした。

弁護士にもほとんど女性がいない中、「ネパールの人々、特に立場の弱い女性が、生き生きと働ける環境を作っていきたい」という想いを原動力に活動をしていましたが、法律という国が定めた枠組みの中だけでは、実現することは難しいと感じていました。

女性が自立して、働き、お金を稼げる仕組みを模索する中で出会ったのが、繭を使ったビジネスです。

初期からシルクハウスで生産しているロウシルクの草木染ストール Mayu Mix Yarn Stole

4000〜5000mにもなる険しい山岳部で、繭を集め、糸を紡ぎ、カタンカタンと織り、染める。

そんな時間のかかるモノづくりの背景には、
「繭を育てる」
「繭を使って糸を仕上げる」
「糸を使って生地を織る」など、
その工程ごとに地域に根付いたコミュニティが存在します。

そのコミュニティの中に身を置きながらモノづくりを行えるこの仕組みは、女性たちが家庭を守りながら、自分たちの手でお金を稼ぎ、自立できる、大きな光になりえるものでした。

モヒニは、それぞれのコミュニティを繋ぎ、よりよい循環を生み出していくことを目指し、2009年にコミュニティトレードリンクという組織を立ち上げました。

彼女は、常に必要なことを把握し、先を見据え、その時に自分たちができるベストを尽くす人でした。

立ち上げ当初、一番最初に作ったシルクの糸と生地を販売する先がないという壁にぶつかった時に出会ったのが、私たちマザーハウスです。

モヒニが常に私に言い続けていたことがあります。

「ただ、モノをつくるだけでは意味がないんだ。
 それを、どうやって届けるかが、
 一番大事なんだ」

モヒニは、誰よりも届けることの重要性を感じ、日本でのお客さまとのイベントに参加したり、プロダクトを実際に届ける日本の販売スタッフをネパールで受け入れ長時間にわたり熱いディスカッションをしてくれました。

私たちが作るプロダクトに対して、誰よりも厳しく「このストールは、日本のお客様にとって良いものなのか」と問い続けてくれたのもモヒニです。

新しい挑戦や品質の改善をお願いした時も、常に「やってみる」とまずは一緒に手を動かしてくれる。

そんなモヒニの姿勢は、彼女が関わってきた女性たちの中で強く息づいています。

モヒニ:右端 2018年日本スタッフをむかえたファクトリービジット

実はモヒニが亡くなった直後、日本のお店スタッフがファクトリービジットという研修制度でネパールに来ていました。

シルクハウスへの訪問は控える予定だったのですが、モヒニのパートナー経営者のギタから急に「明日なら少し時間作れるから、ぜひ来てほしい。」と、強いメッセージを受けてみんなで向かいました。

ギタが「来てほしい」と声をかけてくれたのはきっと、モヒニの意思を引き継いで、彼女たちが前に進んでいく上で、今できる彼女たちのベストを考えた上でだったのではないかと思います。

日本のスタッフからお客さまの声や写真を共有してもらって、久しぶりに笑顔があふれる時間でした。

どんなに大変なことがあっても、一緒に前に進める仲間がいること、私たちを応援してくださるお客さまが日本にはたくさんいらっしゃること。

そんな深い繋がりを感じられるのは、私たちの原動力になり、とても幸せなことで、モヒニがいたからこそできた縁なのだな、と強く感じました。

パワフルに周りをぶんぶん巻き込みながら、前に前に進んでいく。

そんなモヒニは、私にとってモノづくりの道しるべのような、本当に大きな存在でした。

モノづくりをする私たちが、何を見るべきなのか、何を考えるべきなのか、常に自分自身の行動や言葉で伝えてくれたモヒニ。

悔しすぎる別れだけれど、モヒニのことを思うと、いつまでもいじいじするな、前を向いてネパールやお客様のために進み続けろ、と、おしりをたたかれるような気もしています。

今年の冬も、シルクハウスのみんなと新しい挑戦をした新作が登場します。

この新作をモヒニに胸を張って報告できるよう、今日もまたネパールのみんなと頑張っていきます。

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マザーハウス 公式note
読んでいただいてありがとうございました!マザーハウスをもっといろいろな角度から楽しんでいただける毎日の出来事を、生産地やお店からお届けしていきます!