見出し画像

インドでの新しいモノづくりに挑んだ開発秘話。ERIKO YAMAGUCHIの撥水アウターができるまで。

皆さん、こんにちは!マザーハウス オンラインストア 担当の大井です。

先日発売になり、ご好評いただいているウィンドブレーカー。
ERIKO YAMAGUCHIでも初の撥水アイテムは、生産国インドにおいても新たなチャレンジの連続でした。

そんなチャレンジをパタンナー後藤とともに乗り越えてきたのが、第1弾の記事でも登場したインド工房のメンバー・モフィズルをはじめとしたインドスタッフでした。

第2弾の記事となる今回は、後藤とモフィズルをはじめとしたインドスタッフの挑戦から生まれたウィンドブレーカーの開発秘話やモノづくりへの想いをご紹介します!


「俺がやる!」と先陣きって手を上げて挑んだサンプル開発。
会話のキャッチボールをして取り組んだ、インドスタッフの愛着が湧いたモノづくり。

後藤:今回ERIKO YAMAGUCHIで撥水性のアウターを制作することに新たな挑戦で楽しそうだと思う反面、新しい商材でアウターを作れるのだろうかと不安な気持ちがありました。
そんな私の不安の一方で、インドチームでウィンドブレーカーが作れるとなった時は、ウキウキなスタッフが多かったんです。

大井:ウキウキなスタッフが多かったんですね...!それは何か理由があったんですか?

後藤:インドの雨季はすごくて、道が川になるくらい。でもレインコートはすごく高いか、すぐ破れちゃうからみんなあまり使わないんです。
だからこそ、今回自分たちがウィンドブレーカーをつくれるってなった時にすごい乗り気なスタッフが多くいました。

その中で、インドのテーラーであるモフィズルが「俺がやる!」と先陣きってファーストのサンプル開発に手を上げてくれましたことは驚きでした。普段はインドチームのリーダーが担当を決めているので、スタッフから自分がこれをやりたい!という強い希望が出るのは珍しかったんです。

ファーストのサンプル開発に手を上げてくれたインドのテーラーのモフィズル

大井:モフィズルさんを筆頭に、インドチーム皆の熱意がいつも以上に伝わりますね。
今回のサンプル開発にはモフィズルさんが「俺がやる」と一番に手を上げて制作が進んでいったとおもうのですが、モフィズルさんとの開発はどのように進んだんですか?

後藤:開発サンプルの制作に手をあげてくれたモフィズルが、一回目のパターンのサンプルをつくった際、できあがったサンプルの仕様について、袖口のテープの止める向きやポケットのフラップなどこうしたほうがいいんじゃないか?とお客様視点で凄くアイデアをくれました。

モフィズルのアイデアを聞いた後、実際に着てみて!とモフィズルや現地のスタッフにもサンプルを着てもらって丈感どう?ここの仕様はどう?と会話のコミュニケーションをたくさんとり、パターンの仕様にモフィズルをはじめとしたインドスタッフのアイデアをたくさんとりいれてパターンを作り直したりしました。

インド工房の生産リーダーのラビがマトウアウターを着用して一緒に仕様を話しているところ

モフィズルは、「レインコート(インド工房では分かりやすいようにレインコートと呼んでいました)は、たくさんのパーツをつなぎあわせて作る工程が楽しかったです。ファーストサンプルの出来が良かったので、セカンドサンプルも自分が作りたいと思って手を挙げました。レインコートの制作は、自分自身にとっていいプロジェクトに参加できたと思います。」と言っていました。

大井:モフィズルさんのウィンドブレーカーへの愛着、挑戦心がすごいですね。

後藤:その意気込みは私自身嬉しかったです。他のインドチームスタッフたちもいつにも増してやる気がすごく、そんな姿を見て新しいチャレンジを一緒にできて良かったなあと思います。
普段のERIKO YAMAGUCHIの洋服は実際に自分たちが着るという機会が少ないのですが、ウィンドブレーカーは着用イメージが湧いてより愛着のあるアイテムになったのかなあと思います。

今回仕上げたウィンドブレーカーはモフィズルの意見をたくさん反映したり. お互いここの仕様どう?というコミュニケーションも多かったので、モフィズルをはじめ工房のみんなと作ったと感じられるアイテムでした。

ファーストのサンプル開発に手を上げてくれたインドのテーラーのモフィズル

リアルな経験やお客様の声があったからこそ生まれた、随所にちりばめられたパタンナー一押しのディティール。

大井:今回アウターを作った際に、こだわったポイントがあれば教えて欲しいです。

後藤:仕様のポイントなんですが、私自身普段自転車で通勤をしていて、雨の日の自転車通勤時に感じたこうしたほうがいいかも?と思ったアイデアを取り入れています。

また、今回撥水性のアウターをつくる前提でお客様のお声であった「レザーバックをカバーできるもの」という仕様が大事なポイントだったので、実際にマザーハウスのカゼマトウバッグパックLを制作時に背負って、ここはこうした方が良いかも?と思ったアイデアも、もりもりいれました(笑)前立ての部分どちらからも雨がはいらないようにとか、袖口から雨が入らないようにしたりなど。

デザインのベースは、チームの皆で話合いの時に「ERIKO YAMAGUCHIのブランドスタートから人気の"Matou"シリーズがいいね」と意見がまとまり、ドルマン型のデザインで作っています。

ERIKO YAMAGUCHIのブランドスタートから人気の"Matou"シリーズのドルマン型のデザイン

アイデアがたくさん詰まっている中で、私自身ERIKO YAMAGUCHIのお洋服で守り続けているのが裾の紐がたれさがらないようにタブをつけること。ERIKO YAMAGUCHIとしてルール化したいくらい大事なポイントです。

裾の紐がたれさがらないようにタブを仕立てた仕様

また、フラップポケットですかね。フラップを大きくしているのは中に入れたものが濡れないのはもちろんなのですが、フラップの端にボタンをつけることでボタンを閉めたままフラップをあけたりしなくても手が入り、手の出し入れをしても雨や風がはいりにくい仕様にこだわっています。

フラップを大きくしたポケットの仕様

もともとは口布のパーツがついていたのですが、ポケットに手をすぐ入れることができず口布をとって今の形になっています。ポケットの幅も手の出し入れがしやすいようこだわりました。

実際に自分がもっていたカッパを参考にして改善できるところがないかなというところを今回のアウターの機能としてとりいれています。

インドスタッフと寄りそう、意志のつよいモノづくり。

大井:インドのスタッフとモノづくりを一緒にする上で大事にしていることや大変なこと、お洋服を作る際に大事にしていることがあれば教えてください。

後藤:インド工房のスタッフが「俺がこれを作ったんだ」と言えるサンプルにしたいという想いがあります。誰だって自分が作ったものが褒められたらうれしいし、それが上手く出来たら楽しい。そんな気持ちを常に持って縫製してもらえたらいいなと思っています。
なので、現地に居る時は縫製担当してくれるスタッフに気になる点は無いか、縫いにくかった場所は無いか聞くようにしていて、また着用できるモノは着用してもらって話合うことを意識しています。

自分自身で大事にしていることは、仕立てたサンプルやお洋服が次に送り出せる仕上がりであるか。自分が解釈したデザインがこれで正解なのか、もっと良くするにはどうしたらいいのか、いつもマネキンに着せたサンプルと話し込みます。

どうにか修正できるなら出荷が遅れても直してから出すか、必ず次の自分へコメントを残して改善できるようにして、意志と責任を持って次へパスするようにしています。

インドと日本を行き来しながらモノづくりをするパタンナー後藤

インド現地スタッフとの新しいことにチャレンジしたモノづくりや、実際に商品を生産する作り手の想いや商品のこだわりなどの開発秘話をお伺いしました。

普段はなかなかご紹介ができない、新商品が生まれるまでの開発エピソード、モノづくりの裏側話はいかがでしたでしょうか?インタビューにお答えくださった後藤さんとモフィズルさん、ありがとうございました!

このnote記事を通して、インドでのモノづくりの裏側や、今回のウィンドブレーカーに込められた後藤さんやモフィズルさんたちの想いをお届けできていましたら嬉しいです。
ご紹介したウィンドブレーカーのこだわりのポイントなど、ぜひお店でもご覧ください。