【絵本紹介】 オットー 戦火をくぐったテディベア 高学年への読み聞かせ
おはなし会では、必ず社会問題や戦争などを扱った本を年齢に合わせて入れています。「オットー 戦火をくぐったテディベア」は、もう10年以上前に各小学校で読み聞かせをしたこの本ですが、良い本なので久しぶりに高学年に読みました。
テディベア「オットー」の目線で悲しみや困難を淡々と語った物語です。
あらすじ
ドイツで作られた、本物のテディベアのオットー。なかよしの少年デビッドとオスカーと三人で、楽しい日々をすごしていた。
家族は引き裂かれバラバラに
しかし、ユダヤ人であるデビッドの運命は暗転します。ある日デビッドは、両親と強制収容所に送られてしまいます。
”ぼくからすれば、人はだれもが同じ『人間』なんですけどね…”
というオットーの言葉が印象的です。
本物のテディベア
オットーも戦火をくぐり、さまざまな人手に渡りながらドイツからニューヨークへ辿り着きます。ボロボロで汚れていたけど、本物のテディベアだからオットーは、その後骨董品屋のショーウィンドウに置かれることになります。そして何年も経ちました。
奇跡の再会
ニューヨークの一角 偶然骨董品で、見覚えのあるぬいぐるみがオスカーの目に飛び込んできました。インクのついたその顔は、かつてイタズラでデビッドとオスカーがつけた、まさしくオットーの目印でした。
友情と平和な時間
そしてその奇跡的の物語は報道され、生き延びていたデビットと再会します。2人は驚きと喜びに包まれ、再び3人の物語が始まります。
この本は、ぼくたち三人の物語を伝える、ぼくの自伝です。
ウンゲラーの半生を基に創った自伝的絵本ということになっています。戦争を全面に出さずに、じわじわと戦争によって運命を変えられる人々を淡々と描き出し、運命の巡り合わせのパズルに感動する本です。
おしゃれで洗練された絵、シニカルな要素の入ったユーモア ウンゲラーさんって素敵だな!❤️
トミー・ウンゲラー「すてきなさんにんぐみ」でおなじみの作家さんです。辛口な話も多くありますが、それがどぎつい感じにならないのは、ウンゲラーさんの持つ独自のユーモア感覚を織り交ぜているから、作品に小気味よい感覚が生まれるのだと思います。