見出し画像

夏休みとかわいいもの

夏休み六日目。夏休みは子どものもので、就職を経て社会的に大人になった今夏休みはもう二度と手に入らないと思っていたが、会社が九日間の夏休みをくれた。その六日目。初めてだからか、自分だけ夏休みだと勘違いしていて、他の人たちは出勤しているのではないか、という恐怖がうっすらとあって、存分に満喫できているのかは分からないが休みは休み(のはず)なので心地は良い。軽やかだ。
といっても初日に友だちと飲む以外予定はなく、どうしよーかなーと思っている内に突入し、もう六日目だ。過ごし方が大学生の頃とまるで変わっていない。大学の夏休みも部屋で本を読んだり、気付いたら昼寝になっていたり、思いつきで映画を見に行ったり、隙だらけの格好で近所の本屋をふらふらしたりとなんだかまぬけに過ごしていた覚えしかなく、ひょっとするとこれからの自分の休みは同じように過ぎていくのではないかと思うとヒャッとする。でもこんな過ごし方はいろいろと余裕があるときにしかできないと思うので満喫できるときに満喫しておきたいと思う。逆にみんなはどう過ごしているんだろう。休み明けにインタビューして回りたいな。

今日は高崎にお出かけ。電車で行って昼からお酒を飲もうと思っていたけれど、最寄りの駅まで歩いて、電車は涼しいが、高崎駅からまた歩いて、、、と想像したらそれだけで出かける気が失せたので車で行くことにした。ばあちゃんに高崎の喫茶店に行ってくると伝えたら、家で飲めば良いのに、、、と言われて面白かった。

しかし車は街中を走っている!走っている!停めたい駐車場が満車で、「夏休みがよぉ泣」。引き返して遠めの駐車場に駐車したら、結局炎天下の中を歩くことになり結局電車と一緒だった。軽やかな服が買えて良かった。
丁度本屋さんが開いて、新書を買った。ブルーハーツはパンクロックは優しいから好き、と歌っていたけど、ちくまプリマー新書も優しくて好きだ。読むと気持ちを軽くしてくれる。『友だち幻想』とか『悪口って何だろう』とか、タイトルだけでなんだかスッとした気持ちになれるからすごい。大きめの本屋でちくまプリマー新書が並ぶ棚の前に立ち、優しいタイトルたちを見ていると軽くなる心が気持ちよくて動けなくなるのでオススメです。やってみてください。
『従順さのどこがいけないのか』を買った。優しいだけでなくこういう反抗的な本があるのも良い。既に読んだらしい店主さんに「めちゃくちゃ良かったですよ」と言われ胸いっぱい。早く読みたい。


ずっと行きたかった、本屋の向かいにある喫茶店に行く。いつからかひとりで個人店に入るのが怖くなくなった。それは今まで通ったお店の方々が優しくて、嫌な思いをしていないからだと思うのでラッキーだし、感謝しています。平日はお酒も飲めるブックカフェの営業らしく、車で来たことをものすごく後悔した。唇まで出掛かった「ビールをください」という言葉をぐぐぐぐぐぐぐっと堪えてジンジャーエールを注文した。偉いぞ。あとあんみつ。スイカが入っていてあんこと一緒に食べたら案外美味しくて驚いた。なんかスイカって塩しか友だちがいないと思っていたけど、割と交友関係広かったっぽいです。平日しかやっていないと思っていたけど土日も同じように営業しているらしくて今度こそは電車で来るのが楽しみになった。
喫茶店を出るとなんかいい風が吹いていて、服の隙間から風が入って抜けていくのがとても心地よくて踊ってしまいそうだった。夏はただ暑いだけではない。

愛おしすぎてぎゅっと抱きしめたくなるものがある。『ぞうのマメパオ』、『たまこまーけっと』、『かわいすぎる人よ!』などたくさんあるが、中でもInstant Cytronの『Change This World』はジャケットのかわいらしさもあって、聴いていると愛おしいという感情で心身が満たされて思わず笑ってしまう。

最高!

先月池袋のレコード屋でジャケ買いをしたのが出会いで、それから折に触れて聴いている最高のアルバムである。ボーカルの片岡知子さんのキュートで繊細の中に芯のある歌声とポップな曲が重なってこのアルバムにしかない愛おしさが溢れている。全曲最高。
後から知ったのだが片岡さんはたまこまーけっとの劇伴を担当しており、自分の好きなもの同士が繋がってなんだかめちゃくちゃ嬉しかった。

改まるが「かわいい」という感情はあらゆる感情の中であらがえないという点で最強だと思う。だって、一度かわいい!って思ったことは消せないから!だからどんなに小さなことでも「かわいい」って言われるとすごく嬉しいし、自分もあらゆることに「かわいい」って言いたいし、伝えたくなる。子どものときは親などからかわいいって言われることが大嫌いだったのだけど、めっきり言われなくなった今、私はかわいいって言われたくて、言いたくてしょうがないのです。
真の「かわいい」はあざとさ的な人工物には決して表せない自然な淡いで、手が触れて笑い合う瞬間とか些細な日常にこそ表れると思う。なのでその瞬間を見逃さないようにして、すかさずかわいい!愛おしい!って言いたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?