ネコを助けに行っただけなのに
管理者からのお知らせ「この物件ではペットを飼ってはいけません。」
こんな当たり前のことが某県営住宅の掲示板に貼られている。
そのきっかけになったと思われる事案を紹介しよう。
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出動指令「動物救助、ネコが高所から降りられない。」
出動先 ○市〇町 △県営住宅
5階建ての県営住宅の3階に住む住人からの通報だった。
「猫がベランダから見える高木に飛び移り、降りられくなった。」とのことだ。
119番の指令員も、役所の担当課と調整したが、高所で活動ができないとのことで消防の出番になったらしい。
動物救助は消防のメインの仕事ではないが、市民サービスの一環で行うことがあるのだ。消防は市民の財産を守ることが仕事(ペットも財産)
現場にて状況を聞くと、3階の室内で飼っていたネコがベランダ正面の木に飛び移って戻れなくなったそうだ。
通報者は飼いネコのことを、さぞかし心配している。僕はペット飼ったことないのでわかりませんが、ペットは家族と同じというのがよく分かる感じだった。
大木を見上げると、高さ8m付近で白猫が小さくなって身動きが取れなくなっているのが見えた。
始めは、長い棒などで軽く振動を与えたが全く動く気配がない。
隊長はハシゴをの伸ばすよう指示した。
このハシゴは、消防では定番の道具で、最大高さ約9mに到達する3段式のはしごである。
そのうち野次馬が集まってきて周囲に人だかりができ始めた。どこから情報を得たのか、ローカルのテレビカメラも来ている。
市街地に動物が出て、大捕り物になっているニュースで、関係者やマスコミ、野次馬が集まって騒ぎになっている映像のような、まさにそんな状況だった。
ガラガラガラ
ハシゴが音と上げて伸び、先輩隊員が登っていく。
活動はマスコミのカメラで撮影されてるので何とも仕事がやりにくい。
先輩隊員がネコまで数mの距離に到達したとき、逃げ場を失ったネコがパニックを起こし落っこちた。
「あっ」と言う野次馬の声とともにネコが枯葉クッションに落下した。
そして、直ぐにネコはどこかに走り去ってしまった。
隊員などにケガはなかったが、何とも変な雰囲気で活動終了となってしまった。
数時間後、消防署の電話が鳴った。
飼い主からネコの帰宅と丁寧なお礼の電話だった。
問題は次の日起きた。
翌朝の朝ニュース番組、め〇ましテレビで活動の様子が放送されたのである。キャスターが爽やかな笑顔で「猫の救出劇」がハッピーエンドとして締めくくられていた。
その日、始業開始とともに消防署には苦情の電話鳴った。トータルで数10件あったそうだ。
電話:あのやり方はマズかったのでは?
電話:動物愛護団体ですが、、、
電話:ネコの気持ちがわかってない、、、
事の発端を知らず、ネコが落ちていくシーンだけを見た人が勘違いを起こすのは仕方ないのだろう。
「そもそもペット禁止じゃないの?」とか「ネコなんてほっとけ」という声もあった。
でも悪いのはネコじゃないんだよな...と思いながらも、人間の勝手さを感じた出来事だった。
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