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飼い犬に〇された住人

12月になって男だらけの消防署も雰囲気が変わってきた。

仕事はいつも通りだけど、クリスマス、忘年会、そして年末年始が控えていて、やっぱり明るい雰囲気になる。

そんな中、一年を振り返ったとき思い出されるのが、時季外れの台風が襲来したときのことだ。


夏の終わり、台風が直撃してから数日後の事案だった。

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その台風は夕方から暴風域に入り、翌朝には通過していった。

みんなが寝ている間に直撃する台風は総じて出動が少ない。(みんな寝てるもんね)

しかし台風通過後、人々の活動が再開されると被害が発見されて119番通報が鳴る。

今回は台風から数日たった日の出来事である。

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出動指令「独居男性、安否確認」

出動先 ○市〇町 3-4-5



出動途中に追加情報が入った。

【近所の住人からの通報、台風の後から姿が見えない】とのこと。


隊長「台風って3日前だよな?」

「はい」

嫌な予感を感じながら現場に到着した。

この第6感みたいな、いやな予感って大体当たるんだな。


通報者である近所の老女から話を聞くと、

「3日前から姿が見えなくて、男性住人の飼っている犬ずっと吠えてるので。。。」


視線を家に向けたら人の気配がない。

ガチャガチャ

呼びかけても返答のないし、玄関も施錠されている。


外周を確認しながら犬の吠えている裏庭に回った。

台風後の片付けをした様子がない。犬小屋も飛ばされたまま転がっているし。。。


!!!!!


犬小屋の横に、確実に人の足がみえた。

急ぎで確認に行ったのだが、社会死状態だった。

※社会死とは:医師の診断を仰ぐまでもなく、体の状態からだれが見ても判断できる死。(ミイラ化、体幹や首の離脱、激しい損傷など)


傷病者が明らかに死亡しているケースでは、いたずらに現場に触れず警察へ引き継ぐことになっている。


ヤバすぎて詳しい状況は書けないけど、餌のないまま数日を過ごした動物の本能がそうさせてのだろう。生き残るために。


さて、なぜ飼い主は犬小屋の横で倒れていたのか。

ここからは完全に個人的な妄想の世界なのだが、台風直撃の日に飼い犬を心配した男性は屋外に出て何らかの理由で倒れ、そのまま亡くなられたのだろう。


倒れていた姿は無惨に見えたが、天国の男性は飼い犬が生き残れたことに対して安堵したのではないだろうか。

男性が亡くなったことは不幸だが、幸せな最後だったのかもしれない。

いや、そうだったにして自分の気持ちを整理した。

その後、犬がどうなったかは分かりません。(知らない方がいい)

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