呼び出しボタン

○居酒屋・店内(夜)

   凪ひかる(26)と井出大成(28)がお酒を飲んで盛り上がっている。
ひかる「すごい、なんか初めて会った気がしないね!」
井出「分かるわ〜!え、てかさ、彼氏?いないの?」
ひかる「いないでしょ!いたら来てないし、つーかマッチングアプリやってねーし」
井出「うわ、初対面なのに『つーか』引き出しちゃったよ」
ひかる「大成くん?でいいの?」
井出「いいよ、28で年上だけど」
ひかる「大成くんは、いないの?」
井出「いないさ〜」
ひかる「えー!いそうなのに、しかも大手広告代理店なんでしょ?」
井出「え、なんで知ってんの?」
   ひかる、スマホを取り出して、井出に見せる。
ひかる「だって、プロフィールに書いてんじゃん!しかもここだけ太字にしてるし」
井出「あーバレちったか」
ひかる「バレたいんでしょ?」
井出「まぁまぁ大したことないよ」
ひかる「人生大成してるよ、大成くん!」
井出「いやいや。そんなことよりそろそろ」
ひかる「あ、ごめーんそろそろ終電だ」
井出「え、逃さないの?」
ひかる「え、逃させるつもりだったの?」
井出「そりゃね、逃して脱がしてってイメージだったから」
ひかる「今日はダメ!でも、2回目は、いいかもしれない〜」
井出「おいドリカムみたいに言うなよ」
ひかる「明日は用事あんの!ごめんね!また!」
大成「家着いたら連絡してね!」
   席を立ち店を出るひかる。

○品川・水族館・外

   ひかる、石田丈(28)と手を組んで出てくる。
   手にはショップで買ったぬいぐるみを持っている。

○品川駅・全景

○同・改札外

   石田と改札に向かうひかる、立ち止まって
ひかる「あ、じょー!チャージしていい?」
石田「もちろん、チャージしよう!」

○同・券売機
   ICカードと1000円札を入れ、液晶をタップするが、認識されない。
ひかる「あれ…」
石田「ん?」
ひかる「反応しなーい」
   石田、呼び出しボタンが目に入り
石田「押す?」
   ひかる、頷いて押す。
   横の小窓から、井出が出てくる。
井出「どうしました……え?」
ひかる「あ、大成」
石田「え、大成?」
ひかる「え、知り合い?」
石田「久しぶり!元気だった?」
ひかる「え、どういう関係?」
石田「高校の同級生なんだよ、いや〜まさかこんなところで、昔、お前ん家よく遊び行ったよな、wiiのスキーゲームで鬼ごっこしてさ、あれまだ持ってんの?」
ひかる「あんまここで昔話に花咲かせない方がいいんじゃないかな?大成顔しか出てないし」
石田「え、こことここも知り合いなの?」
ひかる「……いーや?あんまり」
石田「あんまり?いや大成って言ったよ」
井出「つーかバリバリ彼氏いるじゃん!」
石田「え?」
ひかる「いや、違う、違くない、いや違う、違くない!」
井出「花占いかよ」
石田「え、ちょっと待ってどういうこと?知り合いなの?」
井出「お前、こいつやめた方がいいぞ、2回目は何度でもいいかもしれない女だぞ」
ひかる「はぁ?あんたもこれのどこが広告代理店なんだよ?」
石田「え?知り合い?」
二人「い〜や」
石田「嘘つけよ」

#シナリオ





   

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