ヒーロー面接

○作戦司令室

壁と床は白いタイルで出来た部屋。

四角いブロックが点滅しており、大きいモニターやキーパッドがある。

そんな近未来の空間に並べられた二六のテーブルに座る、レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンクの戦隊ヒーロー。

グリーン、手元の資料を見ながら。

グリーン「はい、次の方どうぞ」

コンコンとノックの音。

瀬尾大(22)が外から。

瀬尾の声「失礼しまーす」

リクルートスーツを着た、瀬尾が入って来る。

そして、部屋中央の椅子の横に立つ。

グリーン「どうぞ、おかけください」

瀬尾「……あ、失礼します」

と、座る。

グリーン「えー、じゃあ、お名前を」

瀬尾「はい、明立大学4年の、せお・まさる、です」

グリーン「大学聞いてないですよ」

ピンク、手元の資料にメモを取る。

瀬尾「すいません」

グリーン「我が社を志望した理由は?」

瀬尾「はい。僕は大学時代、ボランティアをしてたんですが、そこで人助けをすることに魅力を感じ、日々、地球・つまり人類を救っている御社なら、僕も心血を注げるのではないかと思い、志望しました」

グリーン「今まで何社受けました?」

瀬尾「えっと、15社ぐらいは」

グリーン「そのうちの全部、こういう系?」

瀬尾「いや、全部では正直ないんですけど」

グリーン「あー、人材派遣じゃない?」

瀬尾「人材派遣?」

グリーン「業種で言うとうち、人材派遣だから」

瀬尾「あ」

グリーン「え、知らないで来たの?まさか」

瀬尾「いえ、もちろん、知ってました」

グリーン「好きな色は?」

瀬尾「色?えっと、青です」

ブルーの方を一瞥する一同。

グリーン「じゃあ、入社したら、ブルーやりたい?」

瀬尾「あ、まあ、別段そういう訳では」

グリーン「変わるなら誰がいいとかある?左からレッド、ブルー、で俺グリーン、イエロー、ピンク」

瀬尾「そうですね、まあ、レッドですかね」

グリーン「なんでブルーじゃないの?」

瀬尾「あ、いや、まあ」

グリーン「さっきブルーつったのに。そういうのめっちゃ気にするよ、ブルー」

瀬尾「あ、すいません……まぁでも、目指すならリーダーのレッドかなと」

グリーン「リーダー俺ね」

瀬尾「え?」

グリーン「いや、中央にいるし、察するでしょ」

瀬尾「でも、色がグリーン」

グリーン「何色でもいいでしょ?別に。レッドだけがリーダーって、それ凄い偏見だよ?何色でもやりたい人がやる。うちはそういう会社だから」

瀬尾「すいません」

グリーン「じゃあ、以上です。結果は後日メールでお伝えします」

瀬尾「……分かりました」

と、立ち上がる瀬尾、出口に向かい振り返って。

瀬尾「失礼します」

と、部屋を出る。

グリーン、レッドに向かって。

グリーン「どうでした?」

レッド、無反応。マスクで表情は見えない。

グリーン「レッドさん?レッドさん!」

ピクッと動くレッド。

レッド「ん?」

グリーン「寝てました?」

レッド「あ、え?いや?」

グリーン「これこのまま僕ここいて平気ですか?」

レッド「いいよ。あと4組ぐらいやったら代わろう」

グリーン「分かりました」

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