新感覚！解決しないミステリー小説ロンドの旅 Part2ソナタの旅 Chap4アンカッシュの事件

12.率爾

　もしもし。先日レストランでお世話になった鍛鋸（かのこ）ソナタです。今少しお話しできますか？

　ああ！あなたね。どうして私の電話番号を？

　どうしても話したいことがあって店主の方に貴女の電話番号を聞きました。

　へぇ。アイツも偉くなったわねぇ。

　私が頼み込んで渋々OKしてもらったことで、あの方は悪くないので怒らないでくださいね。

　初対面の人に上司の電話番号を教えちゃうなんてマネージャーとして危機管理能力が疑われるわねぇ。ま、それはいいとして、どうしたの？そこまでして私に電話なんて。

翌朝ソナタは早速行動を起こした。店主に聞いた番号に電話したところオーナーに繋がったため早速気になることを確認するところだ。オーナーの様子に変わりはなく、レストランで食事を共にした時と同じ応対であった。

　忙しいところすみません。捜査をする中で気になることがあったので聞かせていただけますか？

　ええ。私が答えられることなら何でも答えるわよ。

　ありがとうございます。それでは早速ですが、彼女が失踪した日のことです。貴女はワインの仕入れのため海外にお出かけだったようですが、いつもとは違ってVIP向けではなくいつもお客さんに提供しているワインの仕入れとお聞きしました。その理由を教えて欲しいんです。

　ははは。なんだ、そんなこと？またアイツがペラペラと細かいことを喋ったようね。もう聞いてるかも知れないけど、あの日は仕入れ先の近くに住む友人を訪ねるのが目的で、仕入れはそのついでね。仕事だからポケットマネーから出さなくていいし、会社の経費削減のためにも私1人で行ったってわけよ。

　そうでしたか。明確な理由があったんですね。それと、今回の渡航はいつもより長くなると聞いたんですが、何かあったんですか？

　どうやら私は立派な容疑者の1人のようね。理由は簡単よ。いつもの変わらない生活に少し飽き飽きしてきたのと、少し長い休みが欲しくなっただけ。

　なるほど。レストラン経営の仕事はきっと大変ですよね。ただ貴女に直接会って話したいことがあって、良ければ今からそちらに直接伺ってもよろしいですか？

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