新感覚！解決しないミステリー小説ロンドの旅 Part3ロンドとソナタの旅 Chap1東京の事件-再捜査

6.陰伏

　で？マスカットの事件の何を参考にすればいいの？

　マリオネット（実行犯）の行動。

　ほぉ。興味深いねぇ。

　今回のマリオネットはターゲット（被害者）の妻。夫婦関係は冷え切っていたとはいえ、例の一件後、妻は夫と子供達が住む家に戻った。事件の日、子供達は祖父母の家に泊まっていていなかった。妻は夫に遅効性の毒を飲ませた後で外出し、毒を飲まされたことなど露も知らない夫は自身で鍵と内鍵を閉めた。その後、夫は1人自宅で息を引き取ったのだけど、一見外部の人間の犯行に見えて、最初は私も騙されたわ。彼らが住んでいたのはタワーマンションの最上階で、窓ガラス清掃に使うゴンドラを使った形跡を態と残し、室内から窓を開けて、丸で誰かが侵入して夫を殺害し同じ経路で逃走したように妻が細工をしたの。

　ふーん。東京の事件でもそれと似たような方法が使われた可能性が高い…ってことね。

　うん。ビルの最上階で毒殺されたという点は東京の事件も全く同じ。もし犯人像や細工がマスカットの事件と似ているのなら、外部の犯行に見せかけておいて、実はマリオネットは先生の身近な人物ってことになるわね。

　なるほどなぁ。東京の事件の粗増しは、先生の生徒が大学の自室で倒れているのを発見したけどぉ、鍵がかかっていて入れなかったから警備員を呼んでドアを破壊して中に入り、後から駆けつけた救急隊が処置したけど間に合わなかったぁ…ってとこだねぇ。

シンプルなワンピースを着た少女2人は、全身をまっさらな白色で揃えている。さらに、肩まであるストレートの金髪と金色の瞳はこの3人…いや2人に共通していささか異彩を放っていた。ベッドの縁にちょこんと腰掛け、姉は時には足をブラブラさせながら雄弁に語り、妹はいつもどおり寡黙である。ソナタは
白のTシャツとジーンズ姿で、クルクルの黒髪ベリーショートを右手の人差し指で巻きながら思考を巡らせるのがお決まりのスタイルである。常に体を動かしていたいタイプのソナタは、室内を行ったり来たりしながら会話をしていた。赤髪坊主の旧友は派手なデザインのアロハシャツにハーフパンツ、ビーチサンダルで、知り合いでなければ近寄り難い風貌である。テレビの前に設置されているソファでダラっとしながら議論に加わっていた。

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