新感覚！解決しないミステリー小説ロンドの旅 Part2ソナタの旅 Chap4アンカッシュの事件

7.違和
　
　知ってのとおりよ。私より何倍も上手くて体力もある。スタジアムでの彼女は何か違うオーラがあって、試合でのパフォーマンスは特に凄かったわ。

　練習のときとそんなに違うんですか？

　違うというか、日によってコンディションにムラがあるタイプだったわ。全然動けない日もあった。でも試合では間違いなく力を出し切れる、本当に本番に強い選手ね。

　確かに映像でも明らかに分かります。試合での動きはとんでもないですね。繊細だけどとても力強い。…それでは最後の質問になります。これは私が捜査で会った方すべてに聞いることですが、彼女が失踪した日、あなたはどこで何を？

ちょうどその日はワインの仕入れのために海外に行っていたわ。

　そうなんですね。仕入れはすべてあなたが？

　いいえ。さっきのワインみたいにリストに載ってるものはソムリエに任せてる。私が直接仕入れるのはVIP向けだけね。私自ら接待するようなお客様用にたまに仕入れに行くのよ。

　それは嘸かし美味しいワインなんでしょうね。私もいつか飲んでみたいです♫

　ははは！あなたが私のVIP顧客になったら思う存分に飲ましてあげるわよ。

ソナタのご機嫌な様子を見るとどうやら得たかった情報を得られたようだ。店を後にしたあとはすぐさまオマーンのサッカー協会へ足を向け、そこでソナタの仮説はより確かなものとなった。

　なぜ…？

事件の手掛かりを得るためソナタはブログを細かく頻繁にチェックしていたが、姉の失踪後初めての更新があったのだ。最初はあり得ないことだと思ったが、これまでと変わらない内容であることから、失踪前に指定の日時に自動で投稿されるタイマー設定をしていたものとソナタは考えた。だが直後にその考えは誤りであり、これは彼女からのメッセージであることに気付く。彼女がまだ無事であることを示唆したが、同時に危険な状態にいることも分かった。

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