新感覚！解決しないミステリー小説ロンドの旅 Part2ソナタの旅 Chap4アンカッシュの事件

2.切羽

　あなたはサッカーブロガーの妹さんですね？

　…たしかに姉はブログを書いていますけど、あなたは？

　私は事件コンサルタントの鍛鋸（かのこ）ソナタです。お姉さんの事件の調査に来ました。

　コンサルタント？調査？警察も私たちも毎日必死に姉を探していますが全く手掛かりがないんです。あなたはあなた姉のファンか何かですか？それとも誰かに頼まれて？冷やかしならご遠慮ください。私は本当に疲れているんです。

　…私も家族を探しているから良く分かります。正直に言いますと、自分の家族と会うためにあなたのお姉さんの事件を調査する必要があるんです。どうか私に依頼していただけませんか？もちろんお金は要りません。

　…訳ありな感じね。姉が見つかるなら何でもいいわ。ただし、邪魔だけはしないでね。必要な情報があればできるだけ出すから言ってちょうだい。

ソナタはアンカッシュに到着して早々、SNSなどから得た情報を元に姉妹が住む自宅へ直行した。ちょうど妹は在宅しており玄関先で話をしていたのだが、ソナタのまっすぐな姿勢により誠意が伝わり、何とか調査を開始できそうだ。"上"の影響力が使えない以上、関係者から直接情報を得るしかない。今回はキーパーソンである妹の協力を得るのがベターだろう。ソナタは家の中に通してもらうと早速捜索を始める。すでに警察が隅々まで調べており、スマホやPCなど手掛かりが得られそうな物は彼らの手元だ。少し調べたところで妹がコーヒーを淹れてくれたため一度手を止めることにした。

　警察からも確認があったと思いますが、事件前のお姉さんに、いつもと違うようなことはありましたか？

　それは何度も思い返したけど何もないのよ。毎朝の山登りが姉さんの日課だけどその日も何も変わりなく山へ行ったわ。

　そうですか。それでは妹さん、あなたに何か変わったことは？

　わ、私？ん〜…私も特にはないわね。私のことが何か？

　いいえ。いまは少しでも情報が欲しいので。何か思い出しましたら教えてください。私は引き続き家の中を調べさせていただきますね。

ソナタはコーヒーに少し口をつけ短い会話を交わすと調査に戻った。正直まだこの事件の先に何が待っているのか…明らかな物はなかったが、藁にも縋る思いで捜査に没頭していった。たとえ国際指名手配犯の身になっても、自分の身の安全ではなく、ロンドや娘たち、旧友…そして最愛の息子との再会を願って。

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