新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.1ルンビニの事件
9.檀那
周辺の調査を進めている最中、1台の車が近づいてきた。目の前に止まりドライバーが後部座席のドアを開けると、紺色のスーツを着た初老の男性の姿が現れ、ソナタの元へ歩み寄る。キレイなシルバーの髪はきっちり7:3に分けられ、同じくシルバーの口髭がよく似合う人物だ。背筋がピンとして堂々としている様からは、まさに"紳士"という印象を受ける。簡単に挨拶を済ますと早速事件の話を始めた。
この事件、ソナタさんの見解は?
…まだなんとも言えませんが、おっしゃるとおり偶然にしてはでき過ぎていますね。
ええ。必ず真犯人を見つけて、先生の無念を晴らしてください。
捜査に全力を尽くします。ここの調査は終わりました。次の目的地へ向かいましょう。
お互いの車に乗り込んだ。現場には特に不審な点は見当たらない。発生から時間が経っているし、警察では事故として処理されているため、血痕や破片なども片付けられていた。まだまだ情報が足りない。次はクライアントが疑っている張本人である、事故を起こした妻の夫と直接会う手筈だ。本来、本人と直接対面することは難しいのだが、"上"のネットワークが働けば、いまのところ不可能はない。程なくして、本人の自宅前に到着する。"家"というよりは"屋敷"という表現が相応しい。2台の車が入口の前で停まると、屋敷の扉が開き使用人の老人が姿を見せた。
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