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新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件

13.異様

背筋をピンと伸ばした従業員が四方の壁際に配置されている。まっすぐ前を向き、まるでロボットのように指一本動かさない。中央には長いテーブルにつく受講者たち。まるで監視されているような気分で食事をとっていた。

 未成年の方以外はお酒も用意してます。料理も飲み物もたくさんありますので心ゆくまで楽しんでください。

一見親切とも取れる責任者の気遣いはむしろ不気味であった。受講者の中にはほとんど手をつけず遠くを見つめている者もいる。一方、ロンドたち3人はムシャムシャと一心不乱に食べ物を口に運び、時には談笑しながら食事を楽しんでいるようだ。大きな声で話しているわけではないが、この静かな空間の中ではやや目立つ振る舞いであった。責任者はフォークとナイフを使い丁寧に食べつつ、赤ワインを嗜む。時に、ゆっくりとしたこの動作でさえ、恐怖感を煽る一因となるのだ。時間が経つにつれ目の前の料理を平らげた者もチラホラ出てきたが席を立とうとはしない。指示が出るまで余計な動きをしないのはもはや暗黙の了解なのだろうか。

 みなさん、食事は楽しんでいただけましたか?お済みの方もいらっしゃいますのでお好きなタイミングでお部屋にお戻りください。係員がご案内いたします。

一刻も早くこの場を立ち去りたいと思っているのが明らかな数名の受講者たちはアイコンタクトを送り合い共に席を立った。係員が彼らに近づき、部屋まで送り届けるため先導する。ロンドたち3人は食べて飲んで喋ってと、相変わらずの様子だ。そうして10人いた受講者は半分になった。

 まだまだ料理も飲み物もありますからゆっくり楽しんでくださいね。

ロンドたちを除く2人の受講者は各々無言で食事を続けている。1人は20歳前後と見られる中東系の背が高い女性だ。華奢な体にも関わらず、次から次へと平らげては追加の料理を要求している。もう1人は同じく女性だが中学生くらいだろうか。静かにゆっくりと咀嚼しながらキレイに目の前の皿を片付けていく。

 ごちそうさまでした。

中学生くらいの女性はナプキンで口を拭き、か細い声で呟く。席を立つと係員に案内され部屋を出た。程なくしてロンドたち3人も食事を終え自身の部屋へ向かったが、背の高い女性はまだ食事を続けている。彼らは薄暗い廊下を歩き応接室まで戻ると、係員はその入口の横のドアを開けた。すると地下へと続く階段が目の前に現れたが、その先は闇に包まれている。一歩ずつ下りていくとやがて視覚からの情報は得られなくなったが、特に動じることもなく確実に足を進めていった。食事中は談笑していた彼らだが部屋を出てからは一言も声を発していない。ただ誘導に従い前に進むだけであった。数分歩き続けたところで踊り場に着くと係員は脇にあるドアを開け、3人を中へと案内する。光が差し込み長い廊下と左右にはいくつものドアが見えた。

 ロンド様にお使いいただく部屋の名前は"DARK"です。右側3つ目にございます。ソナタ様は"LIGHT"です。左側3つ目に、…様のお部屋は"SHADOW"です。右側5つ目にございます。ドアノブに手をかけていただれば開錠されます。それぞれの部屋には名前が刻印されたプレートが貼ってありますのでご確認ください。

 俺の名前がよく聞こえなかったねぇ。まぁ消去法で分かるからいいけどぉ。

 失礼いたしました。明日は7時にお迎えに上がります。お部屋には一通りの物は揃っていますが何かあれば室内にある通信機からいつでもご連絡ください。それではごゆっくり。

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