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新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
26.辯論
受講者10人は円の形に座っていて、それぞれの目の前にはタブレットが置かれたデスクが設置されていた。まもなく2つ目の競技が始まろうとしている。各々が配布されたスマホでルールを確認してから自由な時間は十分にあったため徒党を組むことは容易にできる状況だった。個人戦とは言え、最終的にはメンバーが持つポイントの合計点で勝敗が決まる以上、勝利を目指すなら協力してチームの誰かを勝たせるのが定石だろうか。
それではスタート!
責任者の掛け声で唐突に2つ目の競技"王様ゲーム"が始まった。唐突と言っても決められた時間きっかりなのだが、特に説明もなく開始されたので突如として競技が始まった感覚に陥る者もいるだろう。プレイヤー本人にしか見えないタブレットには各々の役割が5秒間表示され消えた。まずは57分間誰を国王にするかを決める会議の時間だ。
お約束のとおり"王子"を発表します。"王子"はAチームの方です。
責任者はそう言い放つと無言でその場を後にした。相変わらず壁際は休めの格好をした黒服でビッシリと埋め尽くされている。その数や彼らの体格から、ロンドの身体能力を持ってしても抗えないことは一目瞭然であった。
事務局からは2つ目の競技だけは個人戦と説明を受けたけど、3つの競技が終わった時点で最もポイントを多く持つチームが勝利するのだから、この競技に至っても本質的にはチーム戦だね。
市販のヘアカラーを使っているような肩まであるパッサパサの金髪の男が議論の口火を切った。1つ目の競技を棄権したCチームの1人だ。
そうね。投票をして国王を決めるというルールの性質上、同じチームの誰かに票を集めるのが得策でしょうね。
ソナタは雄弁に、そして余裕綽々に語る。まるでこの場を支配しているかのように。それもそのはず、彼女は最も多いプレイヤーを擁するDチームの一員なのだ。
そんなこと言わなくても分かっているわ。さっさと誰がSか特定して、誰を国王にするか決めてしまいましょう。時間がないわ。
これまたCチームのメンバーからの発言だ。1つ目の競技は棄権したが、どういうわけかこの競技はやる気に満ち溢れているように見える。どうやら彼女はソナタの態度が鼻についた様子でややトゲがある口調で返した。
なあ、みんな、最初の国王は俺にしてくれないかな?
突然の提案に一同は一斉に巨漢のほうを向いた。
何でかって言うと、俺は王子だからSではない。俺に投票すれば、最も愚策であるSに投票して国王にしてしまうなくなるってワケさ。
彼は1つ目の競技の敗北からすっかり立ち直った様子で爛々と目を輝かせて笑顔を浮かべている。自分の役割が"王子"だったことがそんなに嬉しかったのだろうか。
Sでないことは明白だが、だからと言って君を選ぶ理由にはならないな。話は戻るがこれはチーム戦だ。チームで4票持ってるDチーム、次に3票の俺たちCチーム以外に勝ち目はないさ。
う〜ん…そうとは限らないねぇ。"王子"と"国王"は"騎士"に守られているし、同じチームであってもお互いの役割は把握できていないからねぇ。たとえばうちのチームの誰かが"国王"になってAチームの彼をデリートしても、うちの別の誰かが"騎士A"ならうちのチームは3人になっちゃうからなぁ。ルール上、内緒話は禁止されてるしねぇ…。
旧友はこれまでの会話の本質を見抜き見事にまとめたが、この先何を基準に国王に決めるのが得策なのか?いや、この競技の目的は何か?多くのプレイヤーは悩んでいた。
私がSよ。
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