新感覚！解決しないミステリー小説ロンドの旅 Part2ソナタの旅 Chap4アンカッシュの事件

13.溌剌

　え、今から？急な話ね。貴女は私の居場所を知らないでしょう？

　いえ。知ってますよ。

　うわっ！びっくりした。

ソナタは突如として現れた。ワイン畑を歩きながら電話をしていたオーナーは横から急に出てきた人間に驚き腰を抜かし、思わず大声で叫んだ。地べたに尻餅をつきながらソナタを見上げて呟く。

　ど、どうやってここを？

　ん〜女の勘ってやつですかね！そんなことより、時間もないので教えてください。

ソナタは手を差し伸べながら会話を続ける。オーナーはその手を掴まず自力で立ち上がりスボンと手に付いた土を払った。

　貴女は何を知りたいって言うの？

　貴女は誰からこの"プラン"を授かったのですか？

　"プラン"？何のことかしら。

　すみません。本当に時間がないんです。もうすぐ追ってが来ます。相手は何と名乗ったか、見た目の特徴や連絡手段等、何でもいいんです。

　わ、私は何も知らないわ！

　そうですか…残念です。貴女にはお世話になったので手荒なことはしたくないのですが…。

　一体どうする気？

　もし何も話していただけないなら私は"上"へ事件の顛末を伝えます。ご存知ないかも知れませんが、誰かが"プラン"の全貌を解き明かしたことが分かれば、"上"は解き明かした本人だけではなく、"出演者"全員を消します。つまり、今回の場合、貴女も含まれるわけです。

　…貴女は何者なの？何を知っているの？

　聞いてるいるのは私ですよ。"上"は"プラン"を1つの作品として捉えています。完璧な作品は永久保存、ですが微塵でも綻びがあれば…。さあどうしましょう？

　ん〜よく分からないけど、どうやら貴女を信じた方が良さそうね。それこそ女の勘で。

　あ、すみません♫さっきのは冗談で、最新のテクノロジーとか心強い協力者とか、たくさん使って何とかココに辿り着いたので私のは全然勘じゃないです！

　あはは。不思議な人ね。結構シリアスな状況だけどそんなに生き生きとして、明るく振る舞えるなんて。

　…貴女のしたことは許されることではないですし、このあと自首することを強くお勧めします。もちろん犯罪者を擁護する気も仲良くする気もありませんが、無闇にピリピリした雰囲気を作ることは意味のないことです。

　時間がないようだから手短に話すけど、"何も知らない"というのは本当よ。相手の顔も名前も、年齢、性別、身長、その他情報は何も持っていないの。ある日突然、貴女が言う"プラン"が書かれた紙がレストランの勝手口に挟まっていたの。どういうわけかその紙は私が読んだ直後に勝手に燃え尽きてしまったけどね。

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