2024年の兵庫県知事選挙がこうなったのは自民党のせい(正論)
どうもこんにちは!大阪の隣人ぶたおです!
兵庫県知事選挙の結果が出ましたね。選挙前の分析としては上のリンクの記事にあるように、稲村氏か斎藤氏と思ってましたので、概ね予想通の範囲内ではありましたが、基本は複数政党に支持される稲村氏が有利かな?とは思ってましたので、現職というか元職の有利以上の結果になったのは少し意外な部分ではありました。なにしろスキャンダルで失職しての選挙だったので、「禊は済んだ」という言われ方をしても、しょうがない感じになってしまいました!せっかくなんで選挙の分析をしたいと思います!
斎藤氏勝利の勝因をさぐる
・斎藤元彦が知事になった経緯を知らないと
そもそも斎藤氏が知事に選ばれた2021年選挙まで遡らないと、いまいち分からないことが多いと思いますね。前回知事選は5期20年続いた井戸敏三知事政権の後継者争いでした。それで自民vs自民対決になったときに、中央の自民と維新の支援を受けて競り勝って知事に就任したのが斎藤氏です。このときの投票率は41%ほどで、県民もどっちを推せばよく分からなかったみたいですが、それでも有権者の支持を18.9%集めて勝利しました。
5期20年の長期政権になった井戸敏三知事の公用車センチュリー乗り換え問題が叩かれたのちの任期満了の選挙だったことをみなさん覚えていますかね?長期政権で澱みまくった自民系井戸政権の後継者として、井戸氏に直接応援された金沢氏の印象が、一部の県民にとっては印象が悪かったのは間違いないです。
一方の斎藤氏は自民本部と維新の支援もありましたし、多少は新しい風として期待された部分はあると思います。とはいえ投票率や得票をみても消極的な選択だったと思います。なんせ井戸敏三は、4期目を決めた2013年の選挙では、168.4万票以上を集めていますので、斎藤氏の85.8万票というのは井戸全盛期の半分くらいのもんです。2位の金沢氏と、もともとの井戸票を分け合った形の勝利なのが、なんとなくわかります。
・どっちを向いても自民
今回の選挙に関しては、斎藤氏のスキャンダルに端を発しているわけですから、自民党としては全力で新候補を押し立てて、斎藤氏は支援しない形にすれば話は早かったと思います。それで斎藤氏の目は完全に摘まれてしまったはずです。けれど、自民党内部でも斎藤氏支持の勢力はなんか残ったまま。さらに、もともと斎藤氏を推していた維新も割れたみたいで、その一部は清水候補という別の新たな駒を立てるに至りました。再び自民vs自民の対決の図式に至ったわけですが、そんなわけで今回は三つに割れてしまい、立憲や国民も呼び込むという混迷状態になってしまいました。
そもそものバックボーンである自民や維新が、斎藤氏に対して完全にNOと言い切れない以上は、斎藤氏のスキャンダルは機能しなくなるのは分かります。斎藤氏の信任投票的な選挙テーマになっていっちゃったにも関わらず、不信任決議を出した側の自公維新自体の意見が割れてるんですから(そもそも斎藤氏を担ぎ出したのも自民と維新なのに)、斎藤氏の疑惑が一気にグレーな雰囲気になっていきますし、元職vs尼崎市長vs新人で自民票を争うみたいな図式も何か嫌な予感がしますよね。
・自民が悪いと言ったらあかんルール?
端的にいうと、自民(+維新)が三つに割れたことが、斎藤氏の勝因ですね。選挙前の記事にも仮に兵庫県民としても誰に入れたら良いのか分からんと書きましたけど、アンチ斎藤票というテーマしかないなら、宿命的に候補が多いほど票が割れるしかないですもんね。N国?カルト的なネット活動?そんなんオマケやん!
数字から見えることを探してみる
・簡単な足し算してみる
ここから具体的な数字の分析にうつりたいです。とはいえそんな複雑なものじゃなくて、表に出てるデータを元にした大雑把な数字の足し算引き算だけです。これだけでも言えることは沢山あると思いますので。内部的なことは私も一切分かりませんからね。複雑なことはそもそもわかりません!
いつものこちらのサイトから引用されて貰います。ほんと便利です。
こちらが割れた自民党票が柱になっている御三方になります。これを単純に足してみます。
1113911票+976637票+250388票=2340936票!!!
この三者の得票だけで井戸敏三の全盛期の160万票を大幅に超えてますし、なんなら前回選挙の有効票1830915票すら超えてしまってます。これは自公維の支持層がもつ票数だけでは説明がつきませんので、国民や立憲が本格参戦した効果で、稲村氏に票がかなり上乗せされたと考えても良さそうです。かつて90万票以上を獲得して兵庫県知事選を取れなかった人はいませんが、稲村氏が初めての人になってしまいました。
有権者数における斎藤氏の支持率は、前回は18.9%程度のものですが、今回は24.9%まで上昇しております。稲村氏も21.8%なのでなかなかですし、前回の斎藤氏になら勝てたのですが、投票率があがったぶん及びませんでした。投票率のアップ(41%→55.6%)による伸び率(およそ1.36倍)を考えれば、斎藤氏も素直に伸ばしてきたとは言い難いのですが、それでも有権者の25%近い得票があればかなり安泰だったといえます。
・自民が割れなければ…
仮に自民や維新が三つに割れなかったとして、清水氏に入った票がすべて稲村氏に入ったとすれば、合計で1227025票なのでせり勝っていたことになります。まあ、これはかなり都合の良い仮定ではありますが、やっぱり三つ巴でなければ、票の行き先はもっと明確だったと思いますし、さらに言えば自民や維新の一部が斎藤氏支援に回るという、わけのわからない図式がなければ話は早かったのです。つくづく自民に振り回されただけの選挙だったと言うしか無いですな。結局どうあれ勝つのが自民なのは、斎藤氏であっても稲村氏であっても同じだし!
・ひっそりと横たわる共産党
これは結果には一切関わらないので、どうでも良いことではありますが、2021年の前回選挙ではいちおう18.4万票を取っていた共産が、今回は7.3万票という大惨事になっておりました。もうダメですね。毎回なんで出てくるんだろ…。
ネット言説に惑わされないために
・有権者はアホでは無い
ネットでは兵庫県民がアホだなんだと騒いでいる人たち(主に立憲民主や共産などそっち界隈の人なのだろうか?よく分からないけど)がいます。あと斎藤氏周辺の謎のカルトな人たち(N国の立花氏の斎藤支援立候補とか謎すぎますよね)によるインターネット戦略に、ものを知らない若年層が惑わされてるだのなんだのと眉をひそめるように語る声が大きいように思います。
しかしそれっていうのは本質を突いてる批判なのでしょうか?
兵庫県民がアホだというなら、日本国の選挙区はどこを切り出したってアホになると思います。実際は大阪府民もさんざんアホと言われてきましたので分かります。こういう人たちは、自分たちの思い通りの選挙にならないと、有権者を見下して自分を納得させることしかしません。エリート意識を高める行為は、仲間内で勝手にやってればよろしいのですが、はっきりいって付き合いきれないですし迷惑ですね。住民だったら腹立つと思うし…。
・若者は選挙に行ったらダメなの?じゃあ老人もダメじゃ無い?
インターネット戦略と若年層の支持についての関係も、これも年齢層に対しての見下しの一環なのだと思います。人口比率を考えても若年層の絶対的投票数は限られてますし、投票率も高年齢層と比較して異常に高いなんてデータは無いはずです。というか低いのではないですか。インターネットを情報源として活用するのは、若年層ではなく高年齢層だって同じです。YouTube視聴による高年齢層のネトウヨ化なんてことが叫ばれて、いったい何年が経つんでしょうか。みなさんのの手に持ってるスマホはただの電話する板ですか?
インターネット=若者のメディアというイメージのまま、頭が20年止まってるとしか思えないですよ。みんな使ってますやん。斎藤氏がインターネットで露出戦略を展開していたころに、稲村氏は出遅れてしまったというただそれだけの話ではないかと。私の周りでは稲村氏の話題とかほとんど無かったです。というか新聞やテレビですらも、稲村氏より斎藤氏の露出の方が多くなかったですか?そのへんどうなんです?
こういう状況が起きると、なんですぐに「あいつは上手いこと若者を騙して勢力を拡大した」という色のついた話にしたがるのでしょうか。メディア戦略で取り込まれるのは老人も同じなわけです。カルトも同じです。年寄りの候補には年寄りが好意を持ちやすく、若い候補には若者が親近感を持ちやすいとか、そんな単純な話だったりしませんか?
「選挙に若者も行くべきだ!」という話をしたかと思えば、「バカな若者がネットで騙されて〇〇を支持した」と言いたがる。なんなんですかねえ…。新聞やテレビは騙さないのでしょうか。そんなこと言ってたら大本営発表の歴史を繰り返しますよ。
・新聞やテレビが終わっていってるのが分かっただけ
今の時代に新聞・テレビを情報源の上位に置く理由はないわけです。一部の層はどうしたって旧メディアにしがみつきたい気持ちが捨てれないぽくて、こういう思考になるようです。いくら騒いだり格がなんだと言ったところで、機能的に優れているインターネットに対して、新聞・テレビが優位性をもつ時代には戻りようがありません。ならばなんでインターネット上に、よりよい情報源を構築しようと努力はせずに、他人を見下すような後ろ向きな努力ばかりするのでしょうか?しかしそういう人たちを尻目に、頑張ってる人は頑張ってるので、日々インターネットの情報源は豊かになっていっております。
新聞テレビ大好きっ子の人たちは、マスメディアが情報を独占していて、大衆がつき従う時代ならば、稲村氏が勝ってたと言いたいのでしょうかね?それも仮定でしかないので分からないと思います。斎藤氏が社会から封殺されなかった一番の本質は、何と言っても自民勢力が三つに割れて後ろ盾を得たせいですので。稲村氏を押した側にしたって、「自民公明国民立憲共闘ってそれは良いの?」という声は当然あるはずですよ。
・兵庫県知事選挙の雑感まとめ
念の為ですが、僕は斎藤氏が勝って良かったとかは一ミリも思ってませんからね。ここまで読んでそう勘違いする人がいるとは思いたくはないですけど、いちおう明確にしておきます。斎藤氏も無いけど稲村氏も無いなと、それだけです。結果を見てもなお…というか余計に…誰に入れるのが正解か分からない選挙でした。
これからの斎藤氏の振る舞い次第で、また評価が変わってくるんじゃないでしょうか。
斎藤氏も自民から完全に見放される時代もくるかもしれんし、自民以外の有力な候補が生まれる可能性も…そんなのいつになるんやろ?
実は栃木県知事選挙の方が重要では?
同日に栃木県知事選挙がありました。こちらはほとんどの人が話題にしてませんが、これこそ日本の典型的な知事選挙のあり方なんですよ。そちらを話題にしない方が、意識としては低すぎないかと、声を大にして言いたい気持ちです。また選挙ドットコム貼りますね。
2004年の知事選挙から始まり、自民系の福田富一氏が脅威の6選ですよ!!斎藤氏の前の兵庫県知事の井戸敏の5期20年の超長期政権超え6期24年になる見込みなのです。
デビュー戦こそ競りましたが、今回の選挙も含めて残りの5選挙は、共産党の対立候補しか出てきませんので、ほぼ無投票当選みたいなもんです。栃木県が異常というわけでもなく、これが多くの県で起きている典型的な知事選といえるのです。
実質無投票選挙で、多くの知事や市長が決定されていうという現実の方が、斎藤氏の再選よりよほど日本の闇じゃないの?これを今までの新聞やテレビが大っぴらに問題化したことがあったでしょうか?
何度も言いますが、栃木県だけではありませんよ。あなたの住んでる県は大丈夫ですか?選挙がどんな感じか調べてみても良いのでは?