弄ばれる女たち　チョロいアラサー女4

佐藤さんが会社を辞めてからもたまに連絡を取っていた。お茶くらいは1、2回行った。

佐藤さんは会社を辞めてすぐ、他のアパレルショップにアルバイトとして入ったが、すぐに辞めて他の仕事に就いた。

元々、仕事を転々としており、正社員として働いたのはあの会社が初めてだったという。

私も会社を一年で辞めた。

佐藤さんとは連絡もとらなくなり疎遠になっていった。

私が新しく就職したのは大手のエステサロンだった。全国に何店舗もあり、各県の都心部に集中して出店していた。

アパレルよりも断然やりがいのある仕事で、毎日仕事が楽しかった。

ある日、仕事帰りに最寄りの駅にあるビルの中のとある雑貨屋へ立ち寄った。広いフロアをふらふら歩きながらお目当ての物を手に取りレジへ行った。

「いらっしゃいませー」

聞き覚えのある声に顔を上げると佐藤さんが目の前にいた。

「佐藤さん！！」

「久しぶりだねー！」

「ここで働いていたんですか！？」

「そ、先週からだよー」

あれから2年くらい経っていた。

「すごい偶然ですね！元気でしたか！？」

「元気元気。この辺で働いているのー？」

と佐藤さんは話し始めた。

私の後ろに並んでいる人がいたが、違うスタッフが隣のレジをあけて対応していた。

少しやりとりをしたが、佐藤さんの後ろに居る他のスタッフがジッとこちらを見ていたので

「い、いいんですか？喋ってて…」

と小声で聞いたが

「いいのいいの。今暇だし。」

一週間前から入った新人のくせに相変わらずすごいな…と思った。

結局私の方が気まずくて、「また連絡します」と言い店を後にした。

「月水土日はだいたいいるからまた来てねー！」と明るく手を振られた。

その後LINEしたが、佐藤さんは相変わらず独身で合コン三昧だと言っていた。

数週間後また同じ雑貨屋に行ったが、佐藤さんの姿はなかった。そのまた後日、今度はおそらく出勤であろう土曜日に行ったが居なかった。

何回行っても佐藤さんの姿を見ることはなく、それ以来会ってもいないしやり取りも今日までしていない。

佐藤さんのLINEの連絡先は残っていて、たまにプロフィール写真やホーム写真が変わるがいつも飼っている犬との自撮り写真だ。

結婚願望が強かったのに、あの一件で色々と狂ってしまったのか、元々結婚に向いていない人だったのか。

今、あなたの付き合っている彼について、誰かがやめた方がいいと助言をしてくるのであれば、ぜひ一度冷静になってみてほしい。

人の幸せを邪魔しようとなんて人はあなたがよっぽど性格が悪いか、みんなが羨むようなスーパーハイスペックな人でも捕まえた時くらいで、だいたいはみんな良心で言っている。