初心者でもわかる株式投資術 第14回 相場の未来予想図Ⅱ

諸君、元気か?日本株も下げに下げて、メディアがショッキングな見出しを並べて大喜びなのは滑稽だが、まさか諸君は動揺したりしていないよな?少しぐらいの動揺は人間的にまともな証拠だが、さっき保有する株を全部売りましたというのであれば、それはいただけないぞ。

今日はこんな荒れ相場の中でどのように今の自分のポジションを考えたらよいのかについて話そう。未来予想図Ⅱというサブタイトルではあるが、ブレーキランプを5回点滅させる話とは関係ないことは事前に言っておく。

話はそれるが、俺は株式投資だけでなく、モテる技術も紹介しているので、興味がある諸君はぜひ読んでみて欲しい(自己紹介も第2回にある)。

日本株は今日までで結構下がっている。今日の終値は31,458円だ。これは最高値が42,426円だから、最高値から25.8%の下落で、金曜日からの2日間の下げだけで見ると2日(金)の始値が37,444円だとして、5,986円の下げで率で言うとこの2日で約16%下げたことになる。

日経平均株価が31,458円というのは、2023年10月末もしくは11月初めの株価水準だ。日本株の年初からの上昇分は全て吹っ飛んだことになる。

ところで、これまでも俺が過去の暴落について語っているんだが、思い出して欲しい。第6回でこんな感じで記載している。

<下げ相場での下落率(株価は全て米国ダウジョーンズ)>
・911(2000年9月-*2002年9月)
 $10,650 → $7,591  下落率 約28.7%
・リーマンショック(**2007年10月-2009年3月)
 $13,930 → $7,608 下落率 約45.4% 
・コロナ(2019年12月-2020年3月)
 $28,538 → $21,917  下落率 約23.2% 
・***米国リセッション危機(2021年12月-2022年9月)
 $36,338 → $28,725 下落率 約21.0%
*期間の終わりは最も株価が下がった時期
**リーマンショック自体は2008年だが、その前の最高値から算出
***こういう言葉は一般的ではないが近年で最も株価が下がった時期

全て著者調べ(データはYahooファイナンス)

これは過去米国で目立った下落のデータだが、米国市場は必ず復活してそれ以上の相場が訪れる。日本市場は別だろ?という声も聞こえるが、今の日本市場はほとんど米国市場と連動しているので、米国市場が上昇すれば、日本市場も上昇するはずだ(逆もあっての今だが)。円高の影響もあるが、正直その辺りは投資家のマインドの問題であって、具体的な懸念材料にはならないと思っている。輸出系の売上げは下がるが、仕入れは安くなるわけだし、3年前はこんなに円安でなくても株は上昇してきたわけだからな。

では、本題に入るぞ。まず、どういうポジションを持っているのか、投資スタイルを持っているのかで分けよう。諸君がこの連載を読んで、書いてある通りに実践している場合、こんなポジションや買い方のはずだ(過去の連載を参考にしてくれ、こういう下げ相場になる前にちゃんと書いてある)。

・給料から投資信託やETFに毎月積み立て
・貯金はこの先何年か手を付けない分を何分割かで投資信託やETFを購入
・失っても良いお金はオールインで何かに投資

長期投資なので基本的に売却は無しとして、このパターンの投資家諸君は、このまま同じスタイルを貫き通して欲しい。どうしても不安なら相場が安定するまで1か月から数か月は購入を見送る方法もある。が、何しろ今の相場がどこまで続くのかは誰にもわからない。実際、経済が完璧に止まってしまったコロナですら、米国は3ヶ月で株価が戻っている。先週米国で発表された雇用統計の数字の悪さだけですべてを判断するのは誰にとっても難しいはずだ。しかも、下がり相場で株式を安く買うというのは、この連載でも何度も言っている通りなので、相場を気にせず買い続ける勇気も必要だろう。

一方で別の立ち位置の投資家もいるはずだ。個別株の投資家が代表的だろうか。

・個別株を積み立て投資
・個別株を買って持ち続けている状態

個別株の場合、株価が下がった後で元の株価まで戻ってくる保証がない。分散投資(マーケット全体に投資する銘柄)の場合は多くの場合、保証はなくても歴史的には実証されているから、考え方も大きく違ってくる。

もちろん、売りたくない、もっと買う、こういう投資家が居ても良いのでそれは止めない。が、不安になっている諸君に1つ良いアイデアを与えよう。

それは「半分売る」だ。

この方法は単純だが、心理的メリットは非常に大きい。売ろうか売らないでおこうかの一番の迷いは「その売りの決定が後で見て正しかったかどうか?」だろ?売った株が後で上がったり、株を売らなかったらかえって下がったりする。こういう状況への恐れから売ることができないわけだ。

だったら、半分売ればいい。それだけでその後の上昇と下落相場の両方に対して理由が立つ。嫌な思いをしなくていいのだ。相場がどっちに転んでも「あー、とりあえず半分売っといてよかった」となるはずだ。

もちろん、これからもっと株価が下がるかもしれない。その場合には残りの半分も売ることになる可能性が高い。その場合、最初に全部売っておけばよかったと思うかもしれないが、それは考えても始まらない。何度も言うが、未来は誰にもわからないのだから。

ただ、仮に株を売った時点でマイナスになっても悲観することはない。売却で得たお金(買った時より減っていたとしても)は、次の投資に利用できる。良いタイミングで投資を開始できれば、マイナス分をカバーするリターンが期待できるはずだ。

例えば、損切りで30%損してしまったとする。100万円で株を買ったら70万円になってしまったわけだ。が、この70万円を投資信託やETFに分散投資をすれば、10~15年後には2倍の140 万円になっていることは十分に考えられる。今回の下げ相場で個別株で増やそうと思っていた向きには、もう少し安全性を高めて分散投資と長期保有のポートフォリオを増やすというのも良い考えの1つだ。

いずれにしても、売ってしまってそのまま投資を止めることは、ある意味損失を確定させることになる。確かに投資し続ければお金が増えるという保証はない。しかし、資金を十分に分散された投資先へ向ければ、リターンが期待できることはこれまでの相場が実証している。一方で、銀行に預けておけば安心というのは幻想で、物価上昇と貨幣価値の減少で必ずマイナスになる。

この下落相場はいつ終わるのか?を気にしている向きも多いだろう。少なくとも今日明日わかる話でもなさそうだが、株価が下がり切ったら買いたいとか再び投資に参入したいという投資家もいるだろうから、考え方のヒントを教えて終わりにしよう。

一つやってはいけないのが、ニュースを聞いて「そろそろかな?」だ。なぜダメかと言うと、ニュースと言うのは自分の好みのモノだけが目に留まりやすく、前にも言ったがニュースはセンセーショナルで悪いことを書いた方がよく読まれるので、公平性が足りない。なので、なかなかポジティブなニュースには巡り合えないだろう。ニュースを無視しろとは言わないが、自分で到達できる感触というものも一つ身に着けて欲しい。そう思えば、この暴落は良い機会になるはずだ。

具体的にはテクニカルチャートを使う。値動き以外の統計的なチャートを使うということだ。詳しくはどこかで説明するが、今日は簡単に済ませるぞ。

1つ目は前回も説明したRSIだ。買われ過ぎ、売られ過ぎが分かるグラフだったな。次は移動平均線だ。これは今日の値動きではなく、今日から何日か前までの値動きの平均をグラフにしたものだ。

世の中便利になったもので、これぐらいであればYahooファイナンスで事足りてしまう。詳しい分析には専門ツールがあった方が良いが、ざっと市場の雰囲気を見るだけなら、これでも対応可能だ。

Yahooファイナンスの画面キャプチャーを貼ってみたぞ。日経平均のチャートを出して、画面のボタンをクリックすれば、この状態には誰でもできる。初めての向きは、この絵を見ながら真似して欲しい。
注:今の時点でYahooファイナンスの6か月チャートの最新は先週金曜日の終値のようだ。残念ながら今週はもっと下げているから、そこは意識しておいてくれ。

6か月の日経平均チャート(Yahooファイナンス)

移動平均は5日(ピンク)と25日(グリーン)だ。この2つを出してくれ。もう一つは長期(75日)があるが、とりあえず今日は簡単に5日と25日線を表示して欲しい。

移動平均線の5日線は今日を含めた過去5日の終値の平均値、昨日の値は昨日から5日分の平均、一昨日は。。。と言った具合に計算してつなげた線だ。25日線はもうわかるな?平均線だから毎日の値動きであるローソク線よりはなめらかになっていることだわかるだろう。

そして、この5日線より上にローソク線や当日の株価があれば、少なくとも過去5日よりは強気相場ということが言える。過去5日の平均よりも今の株価の方が高いんだから、そう考えるのが自然だな。

25日線はもっとなめらかになっているわけだが、こちらは単体でローソク線と比較するというよりも5日線との交わりや上下で見ることが多い。つまり、25日線より5日線の方が上にあればここ5日間は過去25日間よりは強気だし(短期的には強気相場)、逆も真なり(短期的には弱気相場)と言うことだ。そして、この5日線と25日線が交わるところがそのトレンド(強気か弱気か)の切り替わりポイントなのだ。

Yahooファイナンスで確認すると、7月23日に25日線(中期)と5日線(短期)が交差し、25日線が上になっている。つまり、7月最終週より前に弱気相場へのシグナルは出ていたことになる。そして今の時点で5日線は大きく下げているが、この5日線よりもさらに下にローソク線がある。ということで、しばらくは弱気相場が続くとみて良いだろう。

もう一つの見方としてRSIがある。チャートの下にある波線のグラフだ。このグラフの説明は省くが、要は70%を超えると買われ過ぎ、30%を切ると売られ過ぎということを確認するチャートだ。今日の終値時点での値は28%なので、売られ過ぎゾーンではある。ただ、気を付けて欲しいのは売られ過ぎるとこの値は10%台や1桁の時もあので、単純に30%を切ったから買いとはならない。しかも、30%以下から上昇し始めたら、そのまま70%以上に伸び続けるわけではなく、勢いがなくなれば45%ぐらいまで伸びて、また30%を切るなんてことも全く珍しくない。あくまでも今の状態が売られ過ぎなのか買われ過ぎなのかを見るための指標に過ぎないから注意してくれ。

ということで、今日の取引が終わった時点で、移動平均線的にも弱気相場、RSI的にもまだ下がる余地はあるということで、今が底値とは言い切れない、と言うことになる。

いろんなポジションや考え方はあるんだろうが、一般的な副業投資家にとっては、もう少し様子を見た方が良さそうだな。

逆にいつ頃買うべきかは難しい話なのだが、今日は長くなってきたのでこの辺りにして、次回そのあたりの話をしてみよう。

ではまた次回会おう!

注意:この記事および連載は諸君に具体的な投資銘柄を勧めるものでは
   ないし、将来的な投資パフォーマンスを約束するものでもない。
   投資はあくまでも自己責任で行ってくれ。

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