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個人輸入の関税と消費税について

今回、個人輸入で税金を支払った経験から関税と消費税についてお伝えします。何かの参考になれば幸いです。思っていたより税金が高かったので疑問に思って調べた記録です。

ここではあくまで「個人輸入」のことについて書いています。購入代金総額20万円以下のお話ですし、酒、タバコなど特殊な商品ではない前提です。
税金を理解してから払いたいので勉強した成果発表であり、税金がかからないようにする話ではありません。たまたま税金が課せられなかったとか、いかに安くするかの知恵袋ではないので悪しからず。
また私はタイと中国からの輸入しかしておらず、ブランドの高級品には興味がないので、場合によってはこの記事が役に立たないかもしれません。

簡単にまとめると…
・¥16,666以内なら関税・消費税はかからない。
(例外あり)
・¥16,667以上なら品目によっては関税はかからないが消費税はかかる(と覚悟したほうがいい)
・香港には自由貿易港の特権がある
・税額が¥10,000を超えると場合によっては郵便局へ受け取りに行かなければならない

詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
素人なので間違いがあるかもしれません。その時はコメント欄でご指摘をお願いします。

個人輸入の流れ
海外のショップで購入した商品はインボイス(送り状)と税関告知書を添付され日本に送られます。商品名、種類、数量、価格などが書かれた明細書とEMSのラベルがこれにあたります。

関西に配達する場合

日本に到着した荷物はいったん保税地域に運ばれます。「保税地域」とは税関を通る前の貨物を保管しておく場所です。外国から送られてきた荷物(信書を除く)は日本に到着したときに関税、消費税を課せられますが実際には関税検査を行う税関外郵出張所(郵便局)までは課税保留状態で運送されます。配達状況をチェックすると外郵出張所到着までは「保税運送中」と表示されます。

東京税関東京外郵出張所は東京国際郵便局の中にあります。羽田空港からは30キロくらい離れた場所にあります。青梅の東京税関とは離れた場所にありますが、国際郵便物の通関はここで行います。
上の例では羽田空港に到着した荷物は東京国際郵便局に運ばれ、そこでは通関せずに保税運送で大阪国際郵便局に運ばれています。

大阪税関大阪外郵出張所は大阪国際郵便局の中にあります。東京と違い、税関も含めてすべて関西国際空港の敷地内にあります。関西が荷物の宛先の場合こちらで通関するようです。

税関の手続きが終わったら税金は郵便局が建て替えて購入者の自宅に配達され、購入者は配達員に税金を支払います。

課税対象額が10,000円以下で関税も消費税も課税されない場合はここから自宅に配達されます。
関税・消費税が課税され、税額が10,000円以下の場合は税金の徴収を配達員が行うので、荷物は国際郵便物課税通知書を添付され配達されます。配達員に税金と手数料を支払うと納付書・領収書が渡され納税は完了します。課税についてや税額に疑義がある時は配達員に支払いを断ります。税金を支払ってからも再調査や不服申し立てもできますが、返金手続きが多少面倒になります。
税額10,000円超、30万円以下で受取人が配達時の納税を希望しない場合、または税額が30万円超の場合は国際郵便物課税通知書のみが送付されるので、指定郵便局に通知書を持参して郵便の窓口で納付書をもらい、貯金の窓口で税金と手数料を支払って荷物を受け取ります。

個人輸入にかかる税金
海外で購入した一般的な商品を個人輸入した場合にかかる可能性のある税金は2種類。関税と消費税です。

課税対象額とは
一般的には「一度の注文で購入した金額(一回のポチ)」ではなく、個人輸入の場合それに0.6掛けた数字になります。さらにその数字が10,000円以上の場合のみ課税されます。つまり商品購入代金合計が16,666円までは消費税も関税もかかりません。
海外発送代行サービスは複数の注文行為の荷物をまとめますので、日本への発送依頼をかけたすべての商品代金の総額に0.6をかけたものになります。ひとつひとつなら課税されない注文でも合計額が16,666円を超えると税金がかかる可能性があります。

【関税とは】
商品が国境を越えるときに課せられる税金です。日本では海外のものを輸入したときに課せられます。国内産業を守るために日本が輸入に対して課すものです。相手国がWTOに加盟している場合、税率は一定範囲内になるように取り決められています。さらに相手国とEPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)を締結していると、より税率は低くなります。タイはEPA対象国ですが中国はそうではありません。つまり原産国がどこであるかによって日本が課す関税率は変わってきます。

課税価格の合計額が20万円以下の場合には、簡易税率が適用されます。
例:ガラス製品3%、服:10%
各商品の税率は税関のHPで調べてください。 
(CD、DVD、カセットテープ、書籍、雑誌、楽譜、アクリルスタンディなどオタクが欲しがるアイテムはだいたい無税です。陶磁器は無税でガラスだと課税、衣服は10%でニットは簡易税率適用除外で16,666円以下でも課税対象になるなど注意が必要です)

香港について
海外発送代行サービスには香港に事務所がある会社があります。ではなぜ香港なのか。それは香港が自由貿易港だからです。輸出入どちらにも、どんな商品にも関税はかかりません。(酒類やタバコ、炭化水素油、メチルアルコールに対しては物品税がかかります)
香港はASEANとFTAを締結しており、対中国、対ASEANとの輸出入は関税がかかりません。加えて個人輸入の場合、輸入申告が免除されているので通関申告が不要になります。(手続き日数の節約)
つまり各国から香港に国境をまたいで商品が届いてもその間の関税はかからないのです。
香港の倉庫に集められた商品は、ひとまとめにされ海外発送代行サービスの通関申告により、香港からの荷物として日本に届きます。香港から日本に輸入する際にも関税はかかりません。(購入代金総額が16,666円を超えている場合消費税はかかります。)
香港の代行業者が発送した荷物に添付されていた国際郵便物課税通知書には品名が「CUSTOM DUTY FREE GOODS」(関税免税品)と書いてありました。
 ただし、海外発送代行サービスの注意書きには必ずしも課税されないとは限らないと書いてあります。税関は提出された申告書で判断しますが、何らかのきっかけで抜き打ちチェックがあるようです。「関税を免除しない物品」として特に定められた物品(革製のバック、パンスト、タイツ、手袋、履物、スキー靴、ニット製衣類等)は課税対象額が10,000円未満のときでも税関でチェックを受けると「個人的使用に供すると認められる贈与品を除き、課税価格の合計額が1万円以下であっても、その関税及び消費税等は免税されません。」と税関のHPに書いてあります。

海外発送代行サービスの仕組み

海外発送代行B社のイメージ

各国で倉庫住所を宛先にして購入した物品は、各国倉庫から順次香港に送られひとまとめで保管されます。同梱予定の商品が揃ったら依頼者が日本に転送を依頼します。その時点で(図では2/21)海外発送代行サービスは購入額の総計をしますが、B社の場合、各通貨を一度USDに換算して書類を作成します。日本に発送された荷物は税関に到着した時点(同2/26)で、税関によって決められたレートで日本円に換算され関税・消費税が計算されます。課税通知書が作成され、荷物に添付され郵便局が配達します。自宅で配達員に関税・消費税と通関手数料を現金で支払って納税は完了します。

【消費税】
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。(国税庁HPより)
これは海外から輸入した物品にも課せられ、個人輸入、すなわち個人が使用目的で輸入する(商売の仕入れではない)場合、内国消費税と地方消費税が、課税対象額に対して課せられます。


消費税課税の対象
関税と違い品目は関係ありません。一度の注文で購入した商品、サービスの代金が1,6666円超の場合課せられます。

【為替レート】
外貨で支払った代金は日本円に換算して関税、消費税を計算します。荷物および申告書が税関に到着した日(通知書の「法令適用日」)の前々週の為替レート平均値が適用されるので、税関のHPで公表されているレートをチェックしてください。法令適用日(税関到着日)の日付をクリックして表示されるレートが適用されます。

【計算手順】
購入代金総額(外貨)×納税申告日に適用される為替レート≒A
(1,000円未満は切り捨て)
A×0.6=B(課税対象額)
関税
B×関税率=C
100円未満切り捨て→C’(これが関税)

消費税
内国消費税=(B+C)×7.8%≒D
(100円未満は切り捨て)
地方消費税=D×22÷78≒E
(100円未満は切り捨て)
消費税= D+E

ではいっさい代行業者を通さない場合はどうなるのか。
商品の種別ごとに関税の適用率は決まっています。ここでは20万円以下の場合の話をします。

出荷された荷物にはインボイス(送り状)と税関告知書を輸出者(販売者)が添付しなければなりません。先方から発送の連絡があったら、追跡サービスを観察しながらひたすら日本到着を待ちます。ステータスが「保税運送中」になるともうすぐ税関です。
税関に到着した日(通知書の「法令適用日」)に適用されるレートは税関のHPで公表されています。(前述)
購入単位(イチポチ)ごとの合計額×適用レート=日本円に換算した購入金額
 個人輸入の場合この金額に0.6をかけたものが課税対象額となります。(100円未満は切り捨て)
もし海外通販の買い物をイチポチ16,666円を超えないように一つ一つ日本に直接送っていたら、前述の除外品目ではなかったら、関税も消費税もかからないことになります。(莫大な送料がかかりますが)

イチポチで16,666円を超えている中国のアクスタセットです。

この注文日、2022.2.14に適用される為替レート
中国元18.08
税務上の購入金額合計は
中国946元×18.08=17,103.68
1,000円未満切り捨てで17,000円
個人輸入なのでこの数字に0.6を掛けた金額が課税対象額です。
 17,000×0.6=10,200円
「課税対象額10,000円」を超えているので消費税・関税が課税されるパターンになります。
ただしアクリルスタンディは関税は課税されない商品なので関税は0円です。
消費税は7.8%
10,200×7.8%=795.6
100円未満切り捨てで700円
地方消費税は22/78なので
700×22÷78=197.435..
100円未満切り捨てで100円
700+100=800円が納税すべき消費税になります。さらに手数料も必要です。通関手数料は一律200円なので800+200=1,000円が配達員に支払う消費税と手数料になります。

例えばタイでガラス製品を฿5,000購入した場合
฿5,000×3.57=17,850→17,850
17,850×0.6=10,710→10,700円
ガラス製品の関税率は3%なので
10,700×3%=321→300円(関税)
消費税
(10,700+321)×7.8%=859.638
100円未満切り捨てで800円
地方消費税
800×22÷78=225 
100円未満切り捨てで200円
となります。
300+800+200+200(通関手数料)=1,500円が配達員に支払う金額になります。


参考にしたサイト
JETRO 日本貿易振興機構
https://www.jetro.go.jp
税関
https://www.customs.go.jp/index.htm
東京税関
https://www.customs.go.jp/tokyo/
Digima〜出島〜
https://www.digima-japan.com/knowhow/hong-kong/17946.php
トリセド
https://torisedo.com/38686.html
郵便局
https://www.post.japanpost.jp/int/use/receive.html

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