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[2]料理がしやすいアウトドアナイフを作る【DIYマガジン】

さて、日曜日時間が取れたので引き続きナイフ作りを行う。

前回考えたものの、作り始める前にこれでいいのかもう一度考え直す。アウトドアで使える菜切り包丁というコンセプトで固まったのでそのようなナイフになるように考える。

ハンドルの形状も削ってしまう前に段ボールで作ってみて、小さすぎないか?持ちやすいか?など確認しておく。

イメージはかたまった。
気温がグッと下がり、作業しやすい環境になったのでこういうことがすすむ。

金ノコギリやサンダーなど工具を使いながらハンドルの形状を大体出した。

刃先の研磨を始めているところ。

通常は刃の中心をケガキしてからその位置を変えないように刃を峰側に広げていくのが一般的。というかそうしないと刃の芯が出ない。

のだけれどそんな手順すっかり忘れて完全にフリーハンドで削り始めていた。   

本来は刃の角度を保ちながら削るための治具などを使用すると思うけれど治具を考えたり作るのがすごく面倒だった。

それに早く結果がほしくてたまらなかったので、子どもの頃に角材を削って剣を作った時のように見た目と感覚だけで進めてしまうことにした。

こんな感じで刃を削っていく。

ここで一つフリーハンド作業や職人の、感覚というものについて。

今回は刃の角度は適当に、素手の感覚で維持してベルトサンダーで削り出している。
こんなんで上手くいくのかと思いながら。。。

ただ、昔の人の仕事を見ると想像を絶する手技というものを思い知る。刃物つながりで行くと日本刀に関わる職人は気が遠くなる作業とと繊細な加工を行なっているのを思い出す。

鉄を熱して鍛える過程はもちろん研ぎから研磨、刃に樋や彫刻のあるものもある。また刀装具の漆塗りや彫金、螺鈿に蒔絵など職人は“これを人の手でやってるのか?”と驚くことばかりだ。

僕たちが思っている以上に人間の感覚とはかなり優れていて、まっすぐなものが曲がっているのは目で見ればわかるし、微細な段差や波も指先で感じ取る事ができる。

半世紀以上続く製造系の職場で仕事をしているが、昔の職人と呼べる人たちの仕事を時代を超えて見る機会がたまにあるが、それもやはり人の手でここまでできるのかと驚くことがある。

実際のところ手作業でどこまでできるかは本人がどこまでできると思っているかでかなり変わるような気がする。

手作業でやるという考えがそもそもないうちはそれができると想像もできない。

でも実際に目の前で当たり前のように作業をこなしているのを見ると「あ、手でやるんだ。できるんだ?しかもこんな綺麗に?」

そうしてひとつの思い込みと能力のブレーキが解除される。

実際にやってみると難しい。とてつもなく難しい。そもそも作業するにあたって品物を持つのも難しい。どうやって持つんだ?どの角度で当てるんだ?なんであんなに早くできるんだ??

そんな事を繰り返すうちに手が慣れる。頭が慣れる。どうやればいいかわかってくる。そうやって当たり前の動作を増やしていってはより精密な作業に体が答えてくれるようになる。

さて、やり方を盛大に間違いつつ、自分の手先を信じて研磨を続けた。

いやぁ難しいね。
削れた部分は錆止めの塗料が剥がれて金属の銀色が見える。そのさかい目が波打っているのがわかる。これは真っ直ぐ削れていないということ。

この稜線をいかに綺麗に立てたまま研ぎ上げられるかは日本刀や刺身包丁みたいな包丁を扱う料理人などはかなり気を使っている。

ここがいかに綺麗かで包丁からの食材の離れ方が違うという話を昔どこかで読んだ。味も変わるくらいの話もあったかもしれない...まぁとても大事な線なのだ。僕は今できる限り綺麗に作るしかない。

難しい。フリーハンドはとてつもなく難しい。それはわかっているがこれがヨタヨタせずにスッとした線になっているのが当たり前で基本なのだ。

こうすると刃先に残る面が見える。本来の削り方ならこの面はもうすでにそこそこ細いのでこんなには見えないはず。

ただ今回は“両側を均等にフリーハンドで削る”という無茶をしているのでこの幅が均等であればまぁそこそこ均等に削れているといえる。ただ鋼材の芯にはがあるかはわからない。

そういえば刃の稜線もまともに左右に転写しなかった。まぁ最初はナタのように片刃にしようかと思っていたくらいなのでそのせいにしておこう。

この作業、水をつけてはベルトサンダーで削ってを2、3時間やっていただろうか。だんだん形になってきた。稜線もまぁまぁといったところ。今の僕の技術ではこんなものなのかもしれない。

荒削りが終わり、大体形になったので全体の塗料をはいだ。

また、背側は刀の庵棟のように形づけた。陰影のつくこのアングルから見るのが好き。

https://www.touken-collection-nagoya.jp/touken-introduction/parts-name/

なかなかに操作しやすいナイフになりそうだ。
後々木製ハンドルをつける予定。

ただ、フリーハンドはやはり無茶だったようで..

先端側から見た様子

左右の刃の角度というか刃の芯がズレている。
もう少し手間と時間をかけてやれば避けられたミスだ。始める前は削り出しさえ上手く行くか不安があったけどやってるうちになれた。この感覚なら丁寧にやれば狙った位置に刃を持ってくる事はそう難しくなかったと思われる。

甘かった。まぁ次はがあれば失敗しないな。

ただ人間というのはこんな芯ズレを感じ取る事もできるし、同時に慣れて全く気にならなく使える機能がある。

両刃のナタと片刃のナタを使う事があるが使いはじめは少し違和感があってもすぐに慣れる。そう出来ている。素晴らしい。

今回はここまで。

この先ハンドルとファスニングボルト、接着剤を、揃えてハンドルに穴を開けたら本体の加工の最難関の焼き入れを行う。

焼き入れは頼めば数千円でやってくれるところがあるが、これも自分でやりたいと思っている。

というのもここが1番楽しいというか刃物造りという感じがするのでやらなきゃもったいないと思っている。

それにたった3000円で鋼材が手に入ってお気に入りのナイフが作れるのに焼き入れという一大イベントをやならないなら買ってしまったほうがいいような気もしてしまう。何がともあれ焼き入れはやりたい。

ただ、お金を使う用事があるので色々買い出しに行くのは今月は避けるつもりなので完成は11月か12月になるだろう。

あ、ナイフができたらシースも作ろう。革も必要になるな....

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