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[4]料理がしやすいアウトドアナイフを作る【DIYマガジン】

前回はこちら

今回はいよいよ焼き入れを行う。

焼き入れは特定の温度に熱した金属を油や水に入れて冷やすことで金属の内部構造を変化させて硬くする処理のことを言う。

通常は電気炉でやるか焼き入れを頼める業者がいる。ただ今回は自分でやったら愛着湧くんじゃね?くらいでやってみることにした。

田舎の家の庭にはは大体レンガが転がっているのでそれで炉を組む。

それと熱した後冷やすために容器を探した。
いい感じの容器が見つからないので空になったパーツクリーナーの缶を容器にすることにした。

ここに油を入れておく。
焼き入れ油なるものが存在するけど今回はサラダ油。多分いける。

いけるとどっかで読んだ。


焼き網で空気の通り道を作ってブロワで空気を送り込む。普通の炭火だと火力が足りない。
正しい温度にならないと焼きが入らなくてナマクラな刃になってしまう....

こんな感じでぼんぼん燃やして炭に火をつける。
焼き入れしたい長さ分くらいの炭がみんな赤くなっていい感じになったらナイフを入れる。

この先しばらく火加減と空気の調整をしつつ作業をしていたんだけどなかなか火が安定しない。

始める前にちょっと嫌な予感がしていたが、焼き網が溶けおちてしまった。

ボロボロになることは予想していたけどまぁバーベキュー用の焼き網なんて細いんだから仕方ないよね....

レンガとレンガの間にあった焼き網がどっかいってしまった。
これだと空気が送り込めなくて奥の火力が足りない。ムラになってしまう。

ここは臨機応変に奥から風を送り込めるようにする。
モタモタ作業して火の入り方にムラができると曲がりなどの原因になってしまうのでかなり急ぐ。

後ろの壁を少しずらしてブロワを移動した。風の強さを調整するといい感じの火力で安定した。

作業中炭を足さなければいけない。でも中心の温度を下げてはいけない...気を遣いながら炭を足す。

これは途中、確認のために一瞬引き出したタイミング。
手前の部分の色が濃く、温度が低いのがわかる。
先端からこの部分まで均一に熱が入り、かつ適切な温度にしないと焼き入れは成立しない。

“適切な温度”とはいうものの、電気炉のように温度は設定できないし庭で炭火でやっている。

温度管理はどうするかというと色を見るしかない。

写真では奥の方も赤みの強いオレンジに見えるが、実際はもう少し黄色く白っぽく発光している。

熱が入った色で判断できる。
狙いは1050度あたり。
ただこんな画像は見る環境でも作る環境でも差が生まれて例え目が良くて完璧に合わせたとしても誤差が出るので参考程度にしか出来ない。

白くなり過ぎず、赤黒くないいい感じの色.....

正直経験がないと難しい。幸い似たような焼き入れの経験があって、失敗も成功も一応はわかるので今回はこれに踏み切った。

すごい熱気を感じながら必死に色をみては空気の量を調整し、いい!と思った時にパーツクリーナー缶に満たした油につけ入れる。

これも均一に冷えないとうまくいかなかったり曲がったりする。でも適当に気にしないでどぶ漬け。



ひと段落.....
あとは焼き入れがうまく行っているかどうか....

製品ではないので正確な硬度は測らなくていいけど刃物として使えるかは確かめたい。

一般的にHRCという硬度の指標がある。試験するための機械なんかもあるけど、簡易的な指標として鉄ヤスリを当ててみると言うのがある。

鉄と同程度の柔らかさであればヤスリがグッと引っかかって削れる。硬ければすべる。
一般的に鉄ヤスリの高度がHRC60前後なのでこれですって削なければそれ以上の硬度に仕上がっていると言う事だ。

440Cの焼き入れがうまくいくとHRC61程度まで硬くなるようなのでまぁ大体わかりそうだ。

こちらは焼き入れをしていないハンドル部
傷がつきグッと抵抗がある。

こちら焼き入れ部

人差し指の第二関節あたりに擦った跡があると思う。感触が全く違う。スッと滑る。

これは成功と言っていいのではないか!!???


なんかいい感じに焼き入れができたらしい。
ただ、まだ終わりではない。

このあと、焼き戻しと言う処理を行う。
これは硬過ぎて欠けてしまったり折れてしまったりを防ぐために“靱性”を取り戻すために行う。

また焼き入れでかかっている金属のストレスを取る目的もあったりする。

焼き戻し温度は180度とか200度あたりでいいみたいなのでオーブンにつっこんだ。
190度くらいで40分。

終わったら空冷。ゆっくり冷やす。


今回はここまで。
次回はハンドルの取り付けと研磨かな?

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