さいはてにあめがふる―道北旅行記②
6/16(日)
お昼から雨の予報ですが、朝起きてみるとまだ晴れています。
ちょっと安心して、誰もいない朝の留萌の繁華街をひとり駐車場まで歩いていきました。
鰊番屋
今日はひたすらに北を目指します。
国道239号―通称オロロンラインという道があり、これを日本海に沿って最果てを目指すのです。
道中にいくつも道の駅があり(おそらくは一つの自治体につき一つ)、留萌から北上して最初に現れるのが小平町の「おびら鰊番屋」でした。
この辺りは昔鰊がたくさん捕れたところで、道の駅横にも在りし日の鰊番屋が復元されてあります。たいそう立派な建物ですが、鰊の来なくなった今、ここで寝泊まりする人はもはやいないのです。
……綺麗に磨かれた木の床が光っていました。
原生花園
北海道の海沿いには原生花園とよばれる天然のお花畑が点在しています。有名なところでは網走から西へ行ったところにある小清水原生花園でしょうか。ここにはその名も原生花園という駅があり、列車から降りてすぐに散策ができます。
今回訪れたのは金浦原生花園というところで、遠別という街の南に位置しています。
もともと訪問の予定はなかったのですが、エゾカンゾウの綺麗に咲く様子が車から見えたので思わず立ち寄りました。
他にも何人かお客さんはいましたが、そのうちのほとんどは愛鳥家の方々だったようです。「花にとまるところを撮りたいんだ」と、望遠カメラを構えたおじいさんがにこやかに言いました。
どこまでも続く平原に、黄色いエゾカンゾウが咲いています。草むらの間を小鳥が飛びます。
空を四角く切りとる建売の家も無機質なビルも、ここには存在しないのでした。
さいはての水族館
さて、原生花園を発った頃から雲行きはいよいよ怪しくなり、次第にぽつぽつと雨が降り出しました。
予報通りといえばそれまでですが、せっかくの旅なのに悲しいことです。もくもくと車を北へと走らせます。
天塩川を渡ると、右手には巨大な風車が連なっていました。いくつあるのかもわかりません。等間隔に、これまたどこまでも続いているかのように見えます。
そうして夕方16時前、やっと最果てのまち稚内へと到着です。
雨はザーザーと強く降っており、とても散策なんてできません。なので前から来たかった最北端の小さな水族館へお邪魔しました。
受付を過ぎてすぐ、ペンギンたちが雨に打たれています。
所在なさげな彼らは私に関心を示してくれるのですが、お互いに柵の向こうへはゆけません。だから彼らは所在ないまま、雨に打たれつつ、プールのふちをもたもたと歩くばかりでした。
規模こそ小さいですが、独特な雰囲気の魅力的な水族館でした。