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フェア・トレードへの新たな挑戦 ー 「MOTA不動産査定」サービス開発秘話

「世界中に、もっとフェア・トレードを。」をミッションに掲げるMOTA。車の一括査定サービス「MOTA車買取」では、車を売却したい人には短時間で上位20社の査定額がWeb上で分かり、連絡が来るのは上位3社だけというストレスの少ない透明なプロセスを提供。買取店にはDXで過度な中間マージンを削減するなど、これまでの業界慣習を打ち破る仕組みを構築し、各方面から高い支持をいただいています。
そして2024年10月29日、今度は不動産業界という新たなフィールドに「フェア‧トレード」の世界を広げるべく、不動産一括査定サービス「MOTA不動産査定」をリリースしました。

「MOTA不動産査定」カスタマー向けの公式ウェブサイト

このサービス展開構想が立ち上がったのは2023年10月。当初、アサインされたのはわずか2人でした。事業構想を固める中で、どんな苦労や課題があったのか。2人はどのようにしてそれらを解決していったのか。事業開発室の沖田章さんと藤本真育さんに話を聞きました。


-Interviewee-

沖田 章(おきた あきら)|マーケティングDiv 第二マーケティンググループ マネージャー
2022年6月入社。前職でのデジタルマーケティングの経験を活かして、入社後はマーケティングDivでマネージャーを務めつつ、新規事業のプロダクトマネージャーを兼任。趣味は料理、海外ドラマ鑑賞など。

藤本真育(ふじもと まいく)|事業開発室
2023年2月入社。新卒で自動車の輸出企業に就職したのち、中古車業を営む家業に従事し、「車業界の知識をさらに深めたい」とMOTAに入社。オークション事業部へ配属後、事業開発室へ異動し、新規事業開発に携わる。趣味は、映画、スケートボード、サーフィンなど。

不動産事業の中心を担った藤本(左)と、沖田(右)

想像以上に根深かった不動産業界の「不」

── 沖田さんはカーリース事業部、藤本さんはオークション事業部でそれぞれ仕事をされていたと伺いましたが、この新規プロジェクトはどんな風にスタートしたのですか?

沖田 2023年10月「自動車に続き新たな領域で我々の強みが活かせるかどうか検証してみよう」と代表から話がありました。自動車の近接領域でもMOTAの車買取一括査定スキームが活かせそうか、私が事業検証を担当することになり、競合や市場の状況を調べ、3ヵ年計画などを作成しました。それらを元に検討を進めた結果、最終的に代表から、もっと市場規模が大きく、課題も根深い領域に挑みたいとの提案がありました。それが12月のことです。それならば、次は不動産業界で事業検証をしてみようという話になりました。

藤本 同じタイミングで、僕も代表から「不動産事業を立ち上げたいから事業計画書を作ってほしい」と言われました。僕は不動産業界に関する知見はほとんどなかったので、渡された資料を年末年始に読み込み、年明けから事業計画の作成に取り掛かりました。その後、沖田さんと合流して事業開発を進めていくこととなりました。

事業計画書の作成から、プロダクトの設計や営業を担った藤本。

── 自動車業界と不動産業界の共通点、相違点について、どのように感じましたか?

沖田 自動車業界と同じで不動産業界もやはり「不」── 不便、不安、不満が存在していました。我々は家を売るお客様をカスタマー、買い取る側のお客様をクライアントと呼んでいますが、双方とも「不」を抱えていました。
カスタマーは、持ち物件を一括査定に出すと多数の不動産会社からの電話営業に悩まされ、売却までに多くの手間やストレスが発生します。一方のクライアントも成約率が低く、売却意欲がそれほど高くないリード(見込み客)に対しても一律課金されるといった不満がありました。また、最終的に物件価格がどう形成されるか分かりにくいという問題も、自動車業界と共通でした。

沖田は、主にプロダクトの設計から開発までを担った。

藤本 カスタマーからすると、相場が分かりづらいことも問題だと感じました。特に戸建て物件などは土地の価格も絡んできますし、築年数、面積、建築材料、部屋数など、さまざまな細かい要素が絡んで客観的な価格が出しにくい。だから相場が分からないカスタマーは、営業マンに促されるがままに割安な価格で手放してしまうケースもあるようでした。さらに、不動産業界を調べていて、いちばん驚いたのは「高値預かり」という商習慣でした。

── 高値預かりとは?

藤本 クライアントが、実際には売れる見込みのない高額の査定価格を提示して、カスタマーと専属専任媒介契約(取引を1社のみに任せ、期間中に他の不動産会社や自分で見つけた買取主とは取引できない契約)を結ぶことです。
誰だって5,000万円より1億円を提示してくれたほうに心が動きます。ですが、実際に1億円で売れることはほぼなく、何カ月か後に「4,500万円でしか買い手は見つかりませんでした」などと告げられます。そうなると、次の家の購入や引っ越し予定があるカスタマーは時間的猶予がなくなり、その金額で手放すしかなくなります。このように、物件を適切とはいえない価格で買い取るケースが一部で横行しているのです。
この業界には思っていた以上に不透明な部分があり、ここに公正で安心できる仕組みを提供できれば、とても意義があると感じました。

業界人にも評価されたMOTAの上位3社選出サービス

── 新たなサービスモデルを検討するにあたって、不動産業界とMOTAの一括査定システムとの相性はどう感じましたか? 

沖田 業界課題の洗い出しをして、サービスモデルを考えていくなかで、MOTAの上位3社選出サービスというスキームは、不動産業界の「不」の解消にも応用できると感じました。カスタマーとクライアント、両方に役立つと。

藤本 実際、不動産業界の方に、上位3社選出という仕組みをどう思うかと質問を投げ掛けたところ、「こうしたオークション形式は今まで不動産業界になかった面白い試みだ」と、ポジティブな声をいくつもいただきました。

── 「MOTA不動産査定」サービスの概略を教えてください。

沖田 Web上で自分の持つ不動産の査定額がわかり、査定額上位3社のみとやり取りできる不動産査定サービスです。まず不動産を売りたいカスタマーがサイト上で情報を入力します。サービス側でその情報を個人情報と物件情報に分け、クライアントには物件情報のみを渡します。クライアントは欲しい地域や条件に合う物件を選び、査定額を提示します。カスタマーは複数社の査定額を確認でき、クライアントは査定額の上位3社のみがカスタマーの個人情報を得られます。
この仕組みにより、カスタマーは複数の不動産会社からの営業を受ける煩わしさ、ストレスから解放されます。また、クライアントは上位3社に入るために、オークションのように競り合って高い価格を提示することになりますが、上位3社に入れば商談成立確度の高いカスタマー情報を得ることができます。

公式ウェブサイトには、カスタマー向けの3つのポイントが記載されている。

── クライアントにとっては、査定額上位に入ることが重要ということでしょうか。

藤本 それはもちろん重要なのですが、カスタマーが家の売り先を選ぶ際のポイントは売却額だけではありません。例えば、地元の不動産会社が良い、営業マンが信頼できる、大手の会社が安心など、実際はさまざまな要素があります。そのため、2位や3位の不動産会社が選ばれることもあれば、極端に言えば7位や8位の会社でも選ばれる可能性があるのです。カスタマーは入札した不動産会社が提示する査定額をすべて確認できるので、どの不動産会社を選ぶかの選択肢が広がるし、クライアントにとってもフェアな仕組みになっています。

調査の結果をプロダクトに適宜反映
走りながら修正して、つくりあげていく

── ここからはプロジェクトの進行を時系列で追っていきたいと思います。具体的にはどんな作業を進めていきましたか?

藤本 2024年に入ってから、事業計画書の作成にあたり、競合調査や、不動産SaaS(賃貸仲介、売買仲介など不動産市場に特化したサービスをクラウドで提供するIT会社)、地場の不動産会社、大手不動産会社などに詳しいスペシャリストにヒアリングをかけました。ヒアリングを通して、改めて「高値預かり」などの業界課題や既存サービスが抱える「不」を理解することができました。

沖田 そこからPL(損益計算書)の策定、ワイヤーフレーム(Webサイトの設計図)の検討に入ったのが3月くらいです。当初、設計まわりは私が、営業まわりは藤本くんが主に担当していました。4月からは開発やデザインのメンバーをアサインして事業説明を行い、本格的なサイト構築に着手し始めました。
社内のデザイナーは、みなプロ意識が高いので、当然ながら最良のデザインにしたいという思いがあります。それが時としてこちらの意図と沿わないこともあって、意思疎通、すなわちお互いに腹落ちするまで話し合うことの重要性を学びました。

藤本 事業開発室ができたのが4月です。僕はワイヤーフレームの作成にも加わりつつ、利用規約や契約書など運用面において必要な項目を整理しました。また、他社サイトと差別化を図るための市場調査も行いました。

沖田 多角的な調査の結果をサービスに反映するため、ワイヤーフレームを都度修正して組み上げていきました。そのため、本格的なプロダクト開発は6月から始まりました。この事業は全国展開を目指しており、データベースに住所データを流し込んだり、急ピッチで準備を進めました。

藤本 沖田さん側で開発やデザインを進めるのと並行して、僕は不動産一括査定サービスのリリースに向けて、参入障壁や勝ち筋を考えながら、改善や機能追加などを詰めていきました。
難しかったのは、入札形式のサービスのため、クライアントの入札をどのタイミングで締め切り、カスタマーにいつ査定額を開示するかという問題でした。クライアントが査定できる時間帯や、カスタマーがホットな気持ちで査定結果を待てる時間はどれくらいかなどを勘案して策定していきました。

── サービスは、10月29日にリリースされました。

沖田 そこに向けては、7、8月からピッチが上がりました。申し込みまでのサービスフローが機能するかなどの検証と同時に、クライアントへの営業に使用する資料作りなどの細々とした業務を並行して進めました。営業がスタートしてからは、クライアントにいただいた要望を精査し、初期リリースに向けて開発やデザインとディスカッションしながら作り上げていきました。

藤本 僕のほうでは、サービス案内にまつわる業務を整理していきました。利用規約や営業ツール、料金案内や契約書など、地道な作業ではありますが、カスタマー・クライアント双方にとって重要な情報がきちんと届けられる状態に仕上げていきました。この時期にカスタマーへのヒアリングも開始して、既存の他社サービスを利用して感じたことや意思決定の仕方などさまざまな要素を伺い、カスタマーがより使いやすくメリットのある仕組みにブラッシュアップしていきました。実際にリリースしてからも、カスタマーへのヒアリングは続けていく予定です。

いい意味で若手に「丸投げ」してくれる会社だから、自分の裁量でのびのびと仕事ができる

── 2024年は年初からずっとてんてこ舞いの忙しさでしたね。

沖田 最初は社内のメンバーだけで、ミニマムでサービスリリースしたいと考えていたため、QA(品質保証)も基本的には2人で行いました。事前に申し込みのシナリオを作りテストを行います。スマホの場合はAndroidやiPhone、ブラウザではSafariやChromeなど、さまざまな操作環境でフォームに打ち込んで、バグや不具合が発生していないかをチェックしていきました。フォームに、あえて間違った文章を入力して、エラーメッセージが適切に表示されるかどうかなども確かめました。

藤本 今(2024年9月)は、リリースに向けてラストスパートです。QAは1カ月ほどかかりますし、クライアントの加盟が増えるにしたがい問題も出てくると思うので、それらも解決していかなければなりません。さらに、リリース後はカスタマーからもクライアントからも質問や問い合わせが入るので、それに対応できる人材を育成する必要もあります。

沖田 今(2024年9月)はプロダクトとマーケと、2人で両方を受け持ち並走していますが、これからは私たちと一緒になって、このプロジェクトを成功に導ける人材が絶対に必要です。マーケティング担当も自分しかいないので、今後の集客拡大を任せられる人に巡り合いたいですね。

藤本 MOTAは若い人でも裁量権を持って仕事ができるし、「人」がいい会社なので、困った時は助けてくれる人もいっぱいいます。のびのび仕事ができるいい会社だと思いますよ。

多様な業界の「不」を解消して、
日本の社会課題を解決していきたい

── 不動産一括査定サービスのリリース後、さらに先の展開としては、どんなことを考えていますか?

藤本 ブランドの認知力を高めたいですね。「家を売るならMOTA」と第一想起されるサービスに磨き上げたい。あとは、カスタマーからの「適正な価格で売ることができた!」「予想より高く売れた!」という声が積み重なって、世の中の信頼を得ていくことです。それから、AIの活用は大きなレバレッジポイントになると感じています。「高値預かり」防止のためにも、AI査定の導入を検討しています。

沖田 車の一括買取査定の仕組みは他の業界へも広げられそうだという声は、社内で多く上がっていました。そんな中、他業界への先駆けとなるのがこの不動産事業です。ここでの成功が証明されれば、会社全体がさらに勢いづき、社員のモチベーションも一層高まるのではないかと期待しています。

藤本 MOTAの上位3社選出モデルは、不動産、転職、結婚などの重要なライフイベントが関係する領域に横展開していける有力な手法だということは間違いありません。ゆくゆくは、この上位3社選出モデルに匹敵するような新しい革新を、自分自身でも生み出して、ユーザーの悔いのない決断を支えていきたいと思います。

── さまざまな業界におけるユーザーの「不」を解消していこう、車の次は不動産、その次はまた別の業界、という発想は、MOTAでは当たり前なのでしょうか?

沖田 毎月初めにMonthly Meet Upという社内イベントがあり、そこで経営陣が、『この業界には多くの “不” が存在しており、私たちはそれを改善するために日々取り組んでいる』と、自身の経験談を交えながら常に語ってくれます。さまざまな業界を改革していきたいという意識が、自然と社内に根付いているのではないかと思います。

藤本 僕は前職で、自動車業界の「不」を嫌というほど目にしてきて、MOTAに入社しました。MOTAが自動車業界で革命を起こせたように、これからもさまざまな業界の不便、不満、不公平を解決していきたいです。業界の「不」を解決できる会社だけがカスタマーに選ばれ、勝ち残っていくのだと信じています。

(24年9月17日取材/11月6日初出)


最後に:
一緒にチャレンジしてくれる仲間を募集しています!

最後までご覧いただき、ありがとうございました。読んで下さったみなさんの中にMOTAで新たなチャレンジをしたいと思ってくださる方がいらっしゃると嬉しいです。
カジュアル面談・ご相談はいつでもウェルカムです!リクエストいただければ、今日登場したメンバーと気軽にカジュアル面談することも可能です。

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