見出し画像

【静止画MAD】赤裸々【ブルーピリオド】の話


はじめに


えっと、まあ、何というか、私ごとですが、先日に結婚しました。
先日といっても1年ほど前で、ずっと一人暮らしだった生活もガラリと変わり、妻との同棲生活が始まったのです。

その結婚を期に仕事も変わりました。
実は前職では映像制作会社に勤めてたのですが、びっくりするほどの薄給で
流石にこれじゃあ生活もままならないぞ、ってことで全くの別業種へと転職しました。

前回のMADを作って以来、動画を作らなくなっていたので、
映像制作(MADを映像制作と言っていいのか問題)から遠のいていたわけです。

新しい職場、新しい仕事に翻弄する毎日。
家に帰ると、誰かがいる毎日。
テレビを見て、動画を見て、見るだけで、何も生み出さない毎日。
きっと多分、幸せな毎日。

しかし、前職の仕事の夢ばかり見るのです。
薄給でしたが、番組やCMの編集などし、ロケなどにも出ていた前職。
嫌なことしかなく、叱咤は当たり前。尊厳も否定される。
挙げ句の果てに鎮痛剤とお酒を一緒に飲んじゃったりもした前職の夢ばかり見るのです。(翌日に嘔吐しまくりました)

なぜ、そんな夢を見るのか。
少なからず、前職に誇りみたいなものを自分は持っていたのだと思います。
仕事は何をされてますか、と問われ、「映像制作会社に勤めてます」と言えた自分が少しだけ好きだったんだと思います。
で、現状の何も生み出さない自分を嫌に思っていた、だからそんな夢ばかり見ていたのだと思うのです。
何かを作る、って行為は自分にとってなくてはならないものなのだと気付きました。
しかし、前職に戻るのは嫌でした。
だって、薄給な上にストレスが半端ないですもの。
なので、MADを作ることにしました。

「MAD作りたくはない。でも、MADしか作れるものがない」

そんな感じの気持ち。
妻に事情を説明し、MacBook Proを購入。
Adobeの契約にも了承をもらい、作ることになりました。

原作:ブルーピリオド
楽曲:For Freedom

原作使用意図

今回やりたかったのは「MADで自分を表現する」ということです。
これまで動画を作っていく中で、原作の良さをいかに表現するのか、を常に意識していた自分にとって、そのテーマはかなり抵抗があるものでした。
と同時に、抵抗を感じてもやり遂げたいことでもありました。
「自分を表現する」をできる唯一のソースがブルーピリオドでした。

何者でもない透明な主人公の八虎が、美大受験を通して、自身の色を手にいれる話がブルーピリオドです。作中では自分と相対する場面が何度も出てきます。
さらに、メタ的に言えば、ブルーピリオドは多くの静止画MADがあります。
すでにやり尽くされたソース、比較対象が多いぶん、自分という存在をより強調できるように感じました。

楽曲使用意図

For Freedomは多分、宣戦布告の曲だと思うのです。ほとんど英語で何言ってるのかわからないですけど。何もせずにしていた人間が自分のすべきことを思い出し、全世界へと宣戦布告するような楽曲だと私は捉えました。

歌詞の筋がブルーピリオドっぽくもあり、自分がMADに込めたい意志にもそぐわっていました。全体的なヒリついた感じも非常に良い。

全体の構成

イントロ.        掴み NIVE2とAviutlを使用
Aメロ.             りんごが青く見えればうんぬんかんぬん
Bメロ              天才登場、自分は凡人
サビ.               絵を描くのって辛いよね
間奏.                願いを込めて絵を描く、願いは上手くなれば自分を誇りたい
ラスサビ.        動画内の答え「怖いけど絵で殺したいよね」
アウトロ.        勢いを殺さずに終わるにはタイムラプスしかねぇ

動画のテーマ:動画作るの辛いけど作らなくちゃ前に進めないよね。

小さい目標
 ・他のブルーピリオドMADとの差別化
 ・視聴者に「自分」を認識してもらうこと
 ・ヒリつくような摩擦熱のような質感

イントロ(0.00~0.14)
イントロではNIve2とAviutlを使用し、これまで作ってきたフリーソフトを使用しています。イントロ作った当初、完成させる気はありませんでした。
ちょっと静止画MAD作りたいなぁ、とストレス発散目的で何となく作り始めたのが、このMADを作るきっかけでした。
なので、イントロ制作時にはMacBookを購入する気もAdobeを導入する気もなかったです。

ただ、この「ブルーピリオド」と「For Freedom」の組み合わせは、
以前から頭の中にあった組み合わせで、何となくの構成は出来上がってました。なので思い付きで作り始めたMADではありますが、全体の構成はその以前からあった構想を元に作ってあります。

テーマを提示

最初の部分でこれは自画像だよぉ、とテーマを提示。

「好きなことをやるってことは、楽しいだけじゃない」
マジでそうだよなぁ、と思います。むしろ辛いだけですよねぇ。

Aメロ(0.14~0.37)

ここからAdobe導入してます。
premierは前職で使用していたので使用できたのですが、
AEは全く触ったことがなかったので、右も左もわからない状態でした。
しかし、だからこそ以前からやりたかった表現ができました。
その表現とは「動画を通して動画自体が成長していく動画」です。
尺が進めば進むほど、動画の質が上がっていく表現。
その成長過程が動画内の八虎とリンクできていれば狙い通りで嬉しいです。

ブルーピリオドMAD名物、青いりんごがうんぬんかんぬん。

もう腐るほど見た流れですね。
でも、ここを通らないと前提ができず、それ以降が表現できないので、やらざるを得なかったです。既存のブルーピリオドMADとほとんど同じことやっているので、特に語ることがないです。

他との差別化を図るため「正直今 揺らいでて」を入れました。何というか、心の葛藤が生まれるかな、と思ってこのワンカットを入れました。

Bメロ(0.38~1.01)

ここから映像的に力を入れてます。
ある程度AEに慣れてきて、今までできなかった表現、やってなかった表現をやろうとしている部分です。

構成的な意味合いとしては、比較対象の登場。
天才がいて、自分は凡人だと八虎が自認する部分ですね。
凡人だと認め、じゃあどうするの?ってところです。

これはモーショングラフィックスを頑張ろうとした部分です。
あまりにも引き出しがないので、⚫︎しか使えてないですね。残念ですね。

天才登場

ここは記号やカメラの動きなどを
「負けヒロインが多すぎる」のOPを意識したのですが
あまりにも記号の数が少なすぎてまるでクオリテイが届いていない。
悲しいですね。



凡人であることを自認

ブルーピリオドって背中がかっこいいんですよね

天才に狙いを定める
「高みで待ってるぜ」(言ってない)

自分は凡人である
じゃあ、どうするの?

「天才と見分けがつかなくなるまでやればいい」

あっちぃ台詞ですね。
八虎を象徴する台詞だと思います。
本当はこの部分で「悔しいならまだ戦えるね」も使い違ったのですが、
いまいち台詞単体では伝わりづらかったので割愛しました。

考えて……
ノートに考えをまとめて……
筆を握り……
白いキャンパスに向き合う

サビ前に一瞬の静寂を作るため、暗転してテキストをポンと置く
という手法をよくやっていたのですが、白いキャンパスで無を表現したのは
我ながら良いサビ前だなぁ、と思いました。
……実際見た人がどう感じたのかは不安で不安で仕方がないですが

サビ(1.01~1.26)

サビ。本来は勢いある感じでめっちゃくちゃ描いてるぜ!!
ってのをやりたかったのですが、ブルーピリオド、意外と描くシーン少ないんですよね。素材足りねぇ!!
自分がもっと良い感じな映像を作れれば、こんなにも困らないのでは……
と自己嫌悪に陥っていたところ、もうそれをまんま動画に落とし込めば良いのでは?ということでずっと四苦八苦している感じのサビになりました。
かっこいいサビ、作りてぇよ俺だって……

ここまでは良いんですよ。
結構カッコいい感じになってると思います。
でもこの後がいい感じに思いつかなくて、

ウルトラセブンのOPみたい

マジで全然ダメで、メンタルもこんなぐちゃぐちゃな感じでした。
今更ですが、ずっとモノクロですねここまで。
理由としては、昔自分が作ったあしたのジョーみたいなギリギリな感じを出したかった、というのもあります。

没頭している時って色づいているよりはモノクロに近いと思うのです。
絵を本格的に始める前は彩っていた世界が、のめり込むことでモノクロになる、といった塩梅です。

あと、ひゃくえむのMADがカッコよかったので、
これに影響されたのもでかいと思います。


話を今回のMADに戻します。


頭にある「俺の絵」は最高にカッコいい
俺が「俺の絵」をダメにする

本当にこれ!!!これすぎて首がもげるまで頷いてしまう。
MADって既存の作品を混ぜ合わせてるはずなのに、自分があまりにもダメすぎて結局ダメになっちゃうんですよね。
頭の中にある超絶最強MADを出力できるようになりてえ〜〜〜〜!!!!

もうここら辺は感情で作ってますね。
思考を省いて感情が手を動かしている感じ、
当然心はもげそうになってます。きつい。しんどい!!


描くのが怖い 描けば己の無力を知るから

原作にこんな文言はない。完全に自分の言葉ですね。
一番好きな一人称は「己」なので自分を表現するために「己」にしてます。
いやぁ、自己陶酔気味でキモいっすねぇ〜〜〜

でもさ、絵を描かなくちゃ、前に進めないだろ?

これも自分の文言です。キモいっすねぇ〜〜(二回目
でも、それほど原作無視ってことではないです。
絵を描く理由として、
「前に進む」という表現が一番しっくりきたので、
こういう言葉にしました。

言葉の元ネタとしては聖の青春から引用してます(48秒あたりの部分)


間奏(1.26~1.50)

もうこの時点で結構燃え尽きちゃってます。
限界を迎えてます。助けて〜〜って救いを求めてます。
でも、尺、まだ全然残ってる。
ようやく半分です。嘘だろおい……
自分としても救いの部分が欲しいところ
動画内の八虎も疲弊している感じがしたので、救いの部分を作ります。

この顔可愛い

絵の起源は祈り。なんか素敵ですねぇ。
ほっこりすると同時に共感もします。
何か形をするからには、思いを込めるものです。
その思いを「祈り」というならば言い得て妙だと思います。

ちなみにここは救いの部分なので色がついてます。

ぽす……

救いの思い出に浸るような表現。
過去に受けた言葉?経験?を疲弊した心にもう一度蓄え、回復しているようなイメージです。

なんか挑むイメージ

最初のシーンをリメイク。
狙いとしては、最初からここまで成長しましたよ、って感じ。
成長しているのか?これ?

私。
私、というものを強調することで
自分、動画を作ってる私を強調してます。

動画編集している様子にモノローグを重ねていることで
八虎の言葉でもあり、自分の言葉でもあるように表現していきます。
何というか、モキュメンタリーみたいに現実と空想の境界が
曖昧に感じてもらえれば嬉しいです。

結局俺は自信のない俺にしか慣れないんだ。
自信のない俺だからこそ、ここまで描けるようになったんだって思いたいな。

先輩の言葉「祈り」のアンサーです。
どういう気持ちを絵にこめているのか、の説明ですね。


ラスサビ(1.50~2.30)

ラスサビ、ぶっちゃけやることをやり尽くしてしまっちゃってる感
もう手札ねぇ〜〜やれることねぇ〜〜〜
と、体力が切れた状態で走り切った感じです。
ぶっちゃけここら辺、めちゃくちゃ微妙……引き出しのなさを痛感。

他のブルーピリオドのMAD、なぜかこのセルフヌードのシーンあまり使われてない印象なので、他との差別化としてこのシーンを使いました。
それと、タイトルの「赤裸々」の意味をより感じさせるようにしました。
曝け出した本音、それがこの動画なんだなぁ、と受け取ってもらえ得ると嬉しいです。


ここら辺はとにかく動かそう、としました。
何せ動かさないと、画面が保たないので……
モーション頑張ったけどさ、なんか微妙なんですよねぇ……
場数が足りないのか、何なのか……
俺はあまりにも弱すぎる……


俺は特別じゃない
俺より上手い人なんかいくらでもいる
でも、俺の絵は誰も描けない
どう描いたって俺の絵だ

ぶっちゃけ、こう思うしかないんですよね。
上手い人なんかいくらでもいるわけで、
究極を言えば、金でも注ぎ込んでその天才的に上手い人に頼んだ方が
絶対間違いなく、自分が作るよりも素晴らしいMADは出来上がるんですよね
でも、じゃあなぜ作るのってなると、
自分のMADは自分しか作れないからなんですよね。
クオリティは置いといて……


この炎の部分、最初、あまりにもブルーピリオドの某MADに出てくる炎になって
作り直してこんな感じになりました。


殺したい

とやかく弱音を吐いたけど、結局、殺してぇんだよなぁ〜〜〜!!!
顔がぐっちゃぐちゃになるまで踏み潰しテェんだよなぁ〜〜〜〜!!

……ちょっと感情で文章を書きすぎてるので、一旦落ち着きます。
ここも他のブルーピリオドMADと差別化してます。
いわゆる「俺の絵に期待している問題」です。
別に自分は自分のMADに期待していないので、
どちらかと言えば殺したいので、こういう結末にしました。

アウトロ(2.30~3.10)

……もうここまでくると全部の手札を使い切って、やれることがないです。
鼻くそをほじる力も残ってない状態でした。
しかもこの曲、アウトロで盛り上がりやがるのです。
なんでそんなことするんですか!?
何とか曲を繋いでアウトロを短くしようとしたのですが、うまくいかず
じゃあ、どうしようかと頭を悩ませました。
そこで思い至ったのがタイムラプスの表現です。
これなら自分がMADで言いたいことも強化できるのです。

もしかして、俺って、天才?
いや、天才だったらこんな邪道なことしなくていいんだよなぁ……

この自室、この撮影のために作ってます。
寝室の空いている部分に自室っぽい感じに物を配置してます。
MAD作るために付箋なんか貼らないし、スタンドライトも使用しないです。
でもレッドブルとカフェオレはは死ぬほど飲みます。
後部屋は、これよりももっと汚いです。

最後に

MADは原作を面白く、魅力的に見せるもの
という長年の信念を折ったのが今回のMADです。
でも、折ったからには唯一無二のものができたかなぁ、と自負しています。
唯一無二だからとて、それが良いかは別ですが。
というか、改めて振り返ると、この動画モノクロすぎますねぇ。
なんか色鮮やかな表現をしたい。
天才になりてぇ〜〜〜〜〜〜!!!
まあ、動画でも言ったように天才と見分けがつかないくらいやるしか
ないんですよねぇ〜〜〜〜〜!!!面倒くせぇ〜〜〜!!!!

あとこの記事、技術的なこと皆無すぎますね。
誰も凡人の技術なんか興味ないよねぇ〜〜〜〜!!
だから書きませんでしたぁ〜〜〜!!
天才になりてぇ〜〜〜〜〜!!!!
ダメだ、弱音しか出てこないので、終わらせます。

MADも赤裸々であればnoteも赤裸々な感じにしました。
まぁ別に減るもんでもないし、こういった際にしか言えないので、
結構長い感じになったので流石に締めます。
最後に、動画を見てくださり、こんな駄文を全部読んで下さったあなたに感謝いたします。

いいなと思ったら応援しよう!