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【論文(感想文)】『エアリアルエイリアン』-アルバム「Dr.Izzy」の楽曲構成の可視化と楽曲分布の評価-[Dr.Izzy Report]

お読みになる前に
普段からこんな分析じみた曲の聞き方は「一切」しておりません
(なんなら、僕はリズム先行なので、歌詞も耳コピ多めですw)
あくまでも、「この世で一番好きなアルバムを分析した論文を書いたら」といったユニークフィクション作品くらいにお楽しみください

本記事はナツさん主催のDr.Izzy Reportの企画文章です。

筆者からのお願い



1.序文

UNISON SQUARE GARDENの6枚目メジャーアルバム『Dr.Izzy』は、私が思うに最高傑作に最も近いアルバムである。

アーティスト自身が公言している『最高傑作』と比較すると、確かに本アルバムは少々粗々しさがあるようにも感じる。

それでも、私が本アルバムを最高傑作だと感じる理由は、

今や彼らの代表楽曲と言っても過言ではない『シュガーソングとビターステップ

初のFCライブで先行披露し、円盤化を長らく待ち侘びられていた『オトノバ中間試験
(『パンデミックサドンデス』も一部通ずるところがあるだろうか)

出囃子に使用している「絵の具」(または、絵の具(r-r ver.))のイズミカワソラさんが、ピアノとコーラスで参加している『mix juiceのいうとおり

いつものユニゾンらしい疾走感に、圧倒的エッジを効かせた歌詞が特徴の『cheap cheap endroll』

これら楽曲がアルバムを構成しているから、というのは「1つの側面」でしかないだろう。

アルバム全体を通して感じる、「歪(いびつ)さ」や「POPさ」、そして「攻撃性」それらが混在している本アルバムをあらゆる角度から「解剖」することで、最高傑作と感じる理由を探ろうと思う。


2.目的

序文にも記載の通りだが、

アルバム『Dr.Izzy』を最高傑作と感じる理由について

本論文(記事)では、探ろうと思う。

本目的に際して、アルバムを代表する歪さを兼ね備えた『エアリアルエイリアン』の魅力と本楽曲の特性に注目して、深掘りしていきたいと思う。


3.方法

3.1.本楽曲の要約

本楽曲『エアリアルエイリアン』は、本アルバムの楽曲中もしくは、UNISON SQUARE GARDEN のどの楽曲の中でも、飛び抜けて歪に感じる楽曲であるだろう。

それは「歌詞」はもちろん「リズム」にも、その歪さを感じさせる仕組みがある。

そちらを簡単にだが要約したものを、前提として記載する。


3.2.感情曲線を活用した楽曲構成の可視化

本楽曲及び本アルバムは、極めて多種多様な側面を持つ。

そのため、楽曲の構成をわかりやすく理解するために、『感情曲線』といわれる分析手法を用いて、楽曲が与える感情の起伏を可視化したいと思う。

本分析は、「君の名は」などの作品でおなじみの新海誠監督が作品作りの際に、取り入れていることで話題になった手法でもある。


3.3.二次元分類図を用いたアルバムでの分布と他楽曲との対比

本楽曲は目的でも記載した通り、極めて歪な楽曲である。

アルバムに収録された、他の楽曲達もそうかと言われると、異なる顔を見せるのが本アルバムを構成する楽曲たちであり、それが本アルバムの特徴とも言えるだろう。

そこで、「歪さ」と「明瞭さ」、「攻撃性」と「平和性」をそれぞれのX軸,Y軸としたマトリックス(二次元分類図)を作成し、本楽曲の立ち位置と他楽曲との立ち位置の違いを可視化する。



以降、かなり文章量が多く、さらにキモめの文章になりますw
簡単に読みたい方は、「太文字と図」を中心にお読みくださいm(_ _)m



4.結果

4.1.本楽曲の要約

アルバム全体を理解する前に、1曲目である本楽曲について、理解を深めようと思う。

まずは、本楽曲の歌詞について考える。

歌詞は著作物である都合上、記載出来ないが以下に私の方で意訳したものを記載する。

あくまで筆者の意訳であり、作詞家の思いを汲み取ったものではない。

本楽曲の主人公は、地球に興味を持った人間と見た目は一緒のエイリアンという設定である。

彼は、地球侵略を目論み、人間の生活や文化について観察するために、人間に紛れ込んで生活をしていた

そんなある日、彼がエイリアンであることがマスコミなどを通じて、世間に公表され、研究対象として捉えられそうになっていた。

そんな最中でも、彼は人間に紛れ生活を続ける中で、「表面だけの優しさを演じる人」や「一人になりたがる弱者」、「偽ってでも団結する人々」など人間の関係構築の仕方について否定的に捉えている。

特に、彼は「永遠」という概念について人間が簡単に「誓いを立てる」ことを疑問に感じており、多少の物事で約束を立てるのは馬鹿らしいと考えている。

そんな、彼は未だに人間とは異なる生命体(エイリアン)である。

意訳『エアリアルエイリアン』


意訳した内容から考えられる考察は、次章にて記載するが、ロックバンドのアルバム1曲目として歌われているとは、考えづらい特殊な歌詞であることは間違いないだろう。


次に、本楽曲の「リズム」についても記載する。

歌詞が独特故にそこから感じられる「いびつさ」が全面に出がちだが、本楽曲は「リズム」にも、その特徴がある。


それは、以下の記事にも記載があるように「変拍子」を用いた楽曲であるという点である。

プログレ的な変拍子も登場する複雑怪奇な曲展開と、《少々野暮ったいけど 粛々とナイフを尖らせてたいね》とロックバンドとしての決意を滲ませる歌詞越しに、途方もない高揚感を描き出す“エアリアルエイリアン”で幕を開ける今作。

引用元:【コラム】UNISON SQUARE GARDEN、「ふたつの情熱」を極め、『Dr.Izzy』はこうして最強のアルバムになった


さて、変拍子とは何か

1小節または数小節ごとに拍子が変化する場合を変拍子といい,五線譜上では拍子の変化ごとに各小節に拍子記号が記される

引用元:百科事典マイペディア 「拍子」


すなわち、「常に一定の拍数で楽曲が構成されていない」ということである。

同じく変拍子で有名なある楽曲を聞くことで、その性質を理解できるかもしれない。

ぜひ、拍数を数えながら聞いてほしい。


当楽曲を聞くことからからもわかる通り、4拍と3拍のリズムが入り混じりながらながら構成されている。

このような、変則的なリズムで本楽曲『エアリアルエイリアン』も構成されているというわけである。

では、実際にどういった構成なのか、セクションごとに記載する。


きっと想像より、複雑を極める



Aメロ:13/8拍子(3,3,3,4)
Bメロ:13/8拍子(3,3,3,4)
サビ:8/8拍子または4/4拍子(4,4)
Cメロ:3/4拍子または6/8拍子(3,3)

拍子『エアリアルエイリアン』

2パターンの拍子ではなく、3パターンの拍子で構成されていると今回は仮定した。

それも、3/4拍子や4/4拍子といったシンプルな拍子で構成されているわけではない。


そんな中でもやはり、注目したいのはAメロ/Bメロになる。

通常のリズムとは異なる、常に1拍多く感じる違和感はまさにこの変拍子ならではと言える

今回の記載では、13/8拍子としているが、6/8拍子と7/8拍子の混合とも考えられる。
(3/4拍子と4/4拍子の混合と考えるのは少々強引かもしれない。)

3,3,3,4の合計13個のリズムで打たれているように表記したが、上記はあくまでドラムやベースのメロディを基準にしたリズムになる。


ボーカルによる歌詞のメロディは、以下のようにしたほうがしっくりくる。


宇宙遊泳は[2]/ミステリアス[2]/知的生命体、[2]/来る[1]
地球侵略[2]/目論んで[2]/小手し[2]/らべ[1]

[]が拍数

2,2,2,1のリズム

聞く人間はもちろん、その時の調子によって同一人物であっても、リズムの取り方が時々で変化するような楽曲のように思える。


そんなAメロ/Bメロとは打って変わって、サビは至ってシンプルな拍子で構成されている。

今回は、サビ全体に感じる2拍のノリを考慮して8/8拍子と記載しているが、リズム隊のリズムを採用すると4/4拍子とも考えられるだろう。


サビを終えて実質ラストになるCメロでは3/4拍子になっている。

3/4拍子はいわゆるワルツと言われるリズムになる。

歌詞のインパクトが3拍子ごとに来るため、今回はこういった記載にしている。

これについても上記と同様に、リズムの取り方や周りとの統一感を考えると6/8拍子と考えることもできると思う。


最後に、BPMについても考えようと思う。

本楽曲は、上記記載の通り刻一刻と曲調が変化しているので、BPMについても常に変化が起きているように感じる

しかし、16ビートでリズムをキープすることで一定のテンポで曲が構成されていることを感じ取りやすくなるだろう。

その時(16ビート)のBPMがおよそ200BPM前後になる

よって全体的なBPM数は100BPMと少々くらいになると考えられる。


上記で補足的に音の捉え方についても記載したので、以下にセクションごとのリズムの特徴をまとめる。

全体:
BPMは拍数が変化しても大きくブレることなく100BPMと少しで構成

Aメロ/Bメロ:
13/8拍子(計13打) /歌詞のリズムは7拍のノリで構成

サビ:
8/8拍子(計8打)/全体的に2拍のノリで構成

Cメロ:
3/4拍子(計6打)/歌詞のインパクトが3拍でワルツの拍数

リズムの要約『エアリアルエイリアン』

拍子やリズム、BPMについてはあくまでも筆者による計測と考え方である

また、今回のリズムや拍子の考え方は、以下を参考に判断した。

参考1.【混同に注意!】8分の6拍子と4分の3拍子の違いは?
参考2.【変拍子】5/4拍子の変態楽曲を紹介していく!~5拍子リズムの取り方、ビート特徴など~
参考3.【変拍子】7/4拍子の変態楽曲を紹介していく!~7拍子リズムの取り方、ビート特徴など~
参考4.bpm and key for エアリアルエイリアン


4.2.感情曲線を活用した楽曲構成の可視化

本項番では、アルバム全体の楽曲構成を意識するために感情曲線と言われる手法を用いて解釈を深めようと思う。

今回の計測方法を以下に記載する。

・アルバムを連続で視聴し、計測を行う
 あくまでもアルバム楽曲であり、ライブ音源等の評価はしない
・全楽曲のセクション(Aメロ/Bメロ/サビなど)ごとに主観で点数をつける
・点数は"基本"10点満点として評価する
・点数の基準は、前セクションと比較して行う
・点数が上げる場合は、気分が上がる場合
 すなわち、サビや間奏、Cメロなどが多い
・点数が下がる場合は、気分が下がる(または、落ち着く)場合
 すなわち、バラード曲や静かなBメロなどが多い
・計測者の状態によって、ばらつきが出るため、"複数回"計測を行う

感情曲線作成のための計測手法

2点ほど、結果の発表の前に謝罪がございます。
まず、評価点の最高点ですが数箇所で10点を超えてしまいました。
(抑えられませんでした)
また、複数回の計測が時間的に難しく、
2回の計測で終了してしまいました。
誠に申し訳ありません。引き続き本編をお楽しみください。



上記計測方法より、以下の結果が得られた。
(※計測結果のExcelは9.付録に掲載する)


アルバム楽曲と視聴による感情の評価によるグラフ
※平均値は、「Aメロ/Bメロ/サビ」などをひとまとめとした場合の値になる。


本グラフから考えられるアルバム構造も次章にて考察する。


4.3.二次元分類図を用いたアルバムでの分布と他楽曲との対比

続いて、アルバム楽曲の分布を把握するために、以下の条件で歌詞を評価した結果を記載する。

・歌詞を基本歌詞カードの1行ごとに評価を行う
・1つ目に、「歪(いびつ)さ」と「明瞭さ」を合計10点満点で評価をする
・判断基準としては、1行の歌詞から意味合いを読み取ることができるかで判定する
 この時、楽曲全体の背景や作詞家のバックボーンや当時の心情などは考慮しない
 ただし、前文から読み取れる意味合いは、可能な限り考慮に含むことする
 (計測者による解釈の違いを排除するため)
・2つ目に、「攻撃性」と「平和性」については単語または1節単位で考え、「攻撃性/ネガティブ/泥臭い/否定」や「平和性/ポジティブ/おしゃれ/肯定」のニュアンスが感じられる場合それぞれ1点加算する
・X軸の左側に行くほど「明瞭」であり、右側に行くほど「いびつ」である
・Y軸の上側に行くほど「攻撃的」であり、下側に行くほど「平和的」である

二次元分類図作成のための評価方法

以上の条件をもとに評価を行った。

次に、評価した値を図に起こすために、以下の基準で点数を再評価した。

・X軸,Y軸ともに最大値を100、最小値を-100とする
・歪さと明瞭さについては、以下のような式に値を入れて、再評価した
再評価値=([歪さ]-5)x20 または、 再評価値=(5-[明瞭さ])x20
上記式にて、いびつだとプラスに、明瞭だとマイナス方向に値を取る

・攻撃性と平和性については、以下のような式に値を入れて、再評価した
再評価値=[攻撃的]/([攻撃的]+[平和的])x100-50 または
再評価値=50-[平和的]/([攻撃的]+[平和的])x100
上記式にて、攻撃的だとプラスに、平和的だとマイナス方向に値を取る

上記操作を行い、図に起こしたものが以下になる。
(※計測結果のExcelは9.付録に掲載する)


歌詞から考える「いびつさと明瞭さ/攻撃性と平和性」で二次元的分類した際のアルバム楽曲構成図
※図の表示の最小値/最大値は-50/50


以上が、二次元分類した際の本アルバムの楽曲構成(または分布)になる。



5.考察

5.1. 本楽曲の要約

まずは、「4.1.本楽曲の要約」に記載した、意訳文より考えられる考察を述べる。

本楽曲の歌詞は、エイリアンという視点から見た地球、特に人間(日本)社会の風刺を謳っているものと捉える。

エイリアンが「自分自身の存在」と「人間」との間で、どう生きていくべきかを模索している姿を描いているようにも見受けられる。

そんな中で、「誓いを立てる行為」については、かなり理解に苦しむような描写があり、私達人間が容易に、約束行う様子を疑問視しているように書かれている。

その他にも、人間関係の面倒さなども謳っているように考えている。

・優しく振る舞っているようで、他社を攻撃している人
・何故か、孤独になりたがる弱った人
・偽ってでも団結して、大きい存在になろうとする人

以上の内容から、

作詞家自身が思う、人間社会の問題を第三者目線で語り、他の人々と自分はどこか違っているということを比喩するために「エイリアン」を主人公に語ったものと考える。

さらには、メディアについても「彼らに面白がられたら危険である」と書かれていることから、あの時期のあのヒット曲の異様な持ち上げられ方を皮肉っているようにも感じる。


では、ここまでの考察より曲名の『エアリアル』についても考える。

エアリアルとは?

aerial:空気の、大気の、空中の、中空の

引用元:英辞郎 on the web

上記のような意味から考えると、エアリアルエイリアンは

「大気(空気)の異星人」となり

大気から来た異星人  認識できない異星人

といった意訳ができるだろうか。


上記の単語から考えられることとして、アルバム楽曲の『8月、昼中の流れ星と飛行機雲』との関連性を考えるのも面白いかもしれない。


しかし、私が推したい曲名についての考察は別にある。

それは、


洒落から題名を作った説である


他の楽曲名なども洒落から作られているものが、あることからも一理ある説ではないだろうか。


エアリアルの元の言葉は、


『えらいリアル』

えらいリアル→えらリアル→エアリアル
なら、無理な洒落ではないだろ。

この場合の「えらい」は、一般的な「とても」を意味する場合も考えられるが、

私が思うに

関西圏の「大変」や「異常」を意味する「えらい」の可能性が高いと考える。

以上より、


異常な現実を生きる異星人


といった、楽曲名で歌詞との意味合いも一致するかと思う。



5.2.感情曲線グラフについて

次に、「4.2.感情曲線を活用した楽曲構成の可視化」のグラフから考察を行う。

こちらについては、3つの曲線郡がある。


アルバム楽曲と視聴による感情の評価によるグラフ
3つの曲線郡について

まず1つめの起伏だが、『エアリアルエイリアン』による不穏な導入と『アトラクションがはじまる (they call it "NO. 6")』のユニゾンらしいトップギアなPOPソングのコントラストによって曲線が山をなしていることがわかる。

感情曲線的には、常に最高点近い値を出しつつ、しっかり1曲内で起伏が作られているところを見ると、アトラクションがはじまるの曲としての完成度が高いことが伺える。

その後、人気曲である『シュガーソングとビターステップ』によって、前曲に劣らないパフォーマンスを魅せつつ、1つめの山を成している。


2つめは、中盤ゾーンで5曲構成になっている。

見てわかる通りだが、特筆して大きな山があるわけでもなく平行線的な緩やかな曲線になっている。

基本POPなサウンドではなく、ダークな雰囲気のROCKミュージックが多くを占めているように感じる。

『マイノリティ・リポート (darling, I love you)』『BUSTER DICE MISERY』『パンデミックサドンデス』

そんな楽曲が多い中でも注目すべきは、『マジョリティ・リポート (darling, I love you)』になるだろうか。

唯一曲線の動きがダイナミックで、曲始まりが極端に低く、曲終わりが極端に高いグラフになっている。

更に、当該楽曲については『BUSTER DICE MISERY』のつなぎ部分が一致したテンションで始まっている。

アルバム楽曲と視聴による感情の評価によるグラフ-3つの曲線郡について-
『マジョリティ・リポート (darling, I love you)』と『BUSTER DICE MISERY』のつなぎ


マジョリティ・リポートのロートーンな雰囲気で始まったにもかかわらず、最後は楽しいPOPサウンドな終わり方をする当楽曲の勢いを殺すように、BUSTER DICE MISERYのROCKサウンドに切り替わる瞬間は圧巻だろう。

その起伏が感情曲線にも反映されたのが、本結果に記載したものになるだろう。


最後に3つ目の曲線群についてだが、説明不要な結果が得られた。

アルバム楽曲と視聴による感情の評価によるグラフ-3つの曲線郡について-
ラスト4曲の推移

ここまできれいな右肩上がりのグラフになるとは当初想定していなかった。

唯一、下がっている『Cheap Cheap Endroll』の頭の部分もイントロからの評価であるためである。

それぞれの楽曲の特性上、当然後半の楽曲ほうがテンションが上がる曲であるのは確かだが、

あくまでも曲全体からの印象であって、セクションレベルで分解して評価をした際に常に上昇するようになっているとは想像しえなかった。

そして、奇しくもアルバムとして、大団円な終わり方にするためには、これ以上ないアルバム構成順序だと言える。

何よりも、『Cheap Cheap Endroll』は本アルバムの要であることを再認識させられる結果となった。


最後に、近似曲線を加えた全体グラフを提示する。

アルバム楽曲と視聴による感情の評価によるグラフ
平均値と近似曲線について


本アルバムの最初に感じる、異様さの直後に現れる幸福感や満足感の後、感情としては一度ニュートラルに戻ったのち、最後クライマックスまで感情曲線が常に上昇している。

以下の記事参考をもとに今回のグラフの評価を行った場合、

参考5.感情曲線6パターンと物語の類型12パターン。どう活用したらいいの?活用方法も伝えます。


Dr. Izzyは「感動型」の作品に分類される



5.3.二次元分類図を用いたアルバムでの分布と他楽曲との対比

歌詞から考える「いびつさと明瞭さ/攻撃性と平和性」で二次元的分類した際のアルバム楽曲構成図

今回の結果を見て意外だったことは、想定していた当初の「歪さ」や「攻撃性」を備えた楽曲は全体の半分以下であり、多くの曲が「明瞭な平和的楽曲」であるということだ。

多幸感あふれる楽曲が確かに多いが、オトノバ中間試験についてはもっと攻撃的な位置に来ると想定していたし、シュガーソングとビターステップはもっといびつな方に分類されると考えていた。

さらに、本楽曲『エアリアルエアリアル』が「最もいびつ」であると当初位置づけていたが、

僅差ではあるものの『BUSTER DICE MISERY』が一番いびつな楽曲という位置づけになった。

ただし、今回は歌詞だけを評価したマトリックスであり、楽曲としてリズムやメロディーは本結果に反映されていない。

もしも、メロディやリズムも評価軸を設けて計測を行うことが出来たら、「4.1.本楽曲の要約」にも記載した変拍子を用いた楽曲構成などから『エアリアルエイリアン』が最もいびつな曲と評価されそうではあるが、今回の分析ではそこの立証までには至らなかった。


また、本マトリックスから読み取れる面白い点としては『マイノリティ・リポート (darling, I love you)』と『マジョリティ・リポート (darling, I love you)』が原点にて対称で位置していることである。

姉妹曲がこうもキレイに対称になっていることが大変興味深い。

さらに、その原点付近には2つの楽曲の間に位置する『オトノバ中間試験』も居ることから何かしらの因果関係があるのではないかと思いを巡らせてしまう。

また、2つの楽曲は面白いことにマイノリティーなのに、サビが多く多用されて楽曲を構成されており、マジョリティなのにサビが少なく構成されている点である。

この気づきを得たグラフは、9.付録に記載する。


そして、本図を作成して一番の驚きはなんといっても『パンデミックサドンデス』の異常なまでの尖りようである。

(こちらについても、9.付録にその異様なまでの攻撃性を示すグラフをつけているので確認して欲しい。)

ここまで、わかりやすく飛び抜けている楽曲とは想定していなかった。

確かに、歌詞の意味は攻撃的でとてもわかりやすい言葉で構成されている。

想定では、『Cheap Cheap Endroll』が本アルバムを代表した攻撃性を備えた曲だと考えていたが、

もしかしたら、パンデミックサドンデスがユニゾンの楽曲の中で最も尖った楽曲の1つであり、

Dr. Izzyを「攻撃的なアルバム」と”感じる”要因の多くを占めているのかもしれない。


6.結論

Dr.Izzyは多数の平和的な印象を与える楽曲で構成されている

その中に、少数の印象的で攻撃的な楽曲たちが

聴く者のアルバムに対する印象を歪に変化させているように感じる


そんなアルバムは、

未知との遭遇とも言える始まりをしたかと思えば、

最後はなんとも投げやりなエンドロールを迎える


さながら、アトラクションのように


そんな、感動型のアルバム作品



そんな中でも、『エアリアルエイリアン』は特徴的なリズムとメロディで構成され

さらに、歌詞も変わっていている


そんな尖った本楽曲を自分達のメジャーアルバムの1曲目に配置している


あえて、ポピュラーな,メジャーな,一般受けするアルバムから外れようとしているように感じる


それは、


ただただロックバンドとして、自分達の音楽を続けたい、作り続けたいという意思の現れなのかもしれない。(参考記事より)

参考6.UNISON SQUARE GARDEN「MODE MOOD MODE」インタビュー
参考7.<インタビュー> UNISON SQUARE GARDEN「10年後も自分たちが楽しむためのバンド論」


それこそが、

僕がこのアルバムを「最高傑作」と感じる理由なのかもしれない



最後に、

本論文(感想文)はどこまでいっても僕の主張です

僕は「アーティスト本人の心情や楽曲」をわかった風に語るのは好きではありません。
(それに、彼らも別にそんなの望んでいないと思う)


でも、今回だけはこういった文章になってしまったことを許して欲しい


好きすぎるが故の愚行だと思って






7.謝辞

最後まで読んでくださった皆様

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

だいぶ硬い文章で、決めつけが多い言い方できっと「何だこいつ?キモ」と思った箇所もあるでしょう。
自分も書いてて、キモと思っていますw
ただ、ここまでバラバラにして図解するアホもなかなかいないと思うので好きな箇所を好きなように楽しんでいただけたら幸いです。


一緒に企画に参加した皆様

本文を執筆中はまだ見れておりませんので、投稿後ゆっくり読ませて頂きます。

きっと面白いことでしょう。ありがたい。楽しみです。


本企画立案者のナツさん

お忙しい中での、企画の運営本当にお疲れさまです。

2回目の参加ということもあり、前回以上にのびのびとやらせていただきました。

ぜひ、記事でも読みながらお酒でも飲みに行きましょうw


そして、UNISON SQUARE GARDEN

本当に、最高のアルバムをありがとうございます。

Dr. Izzy 7歳の誕生日おめでとう。

そして、実はPopulus Populusも12歳の誕生日


8.感想

Dr.Izzyって、本当にいいアルバムだ。

どんだけ聞いても飽きる気配がない。

こいつだけは、自信を持って「一番好きだ」と言えるアルバムだったので、今回こんな大解剖に挑んだ次第ですw

結果、データ整理に時間が割かれて、考察が少々適当に。。。

あまり納得のいく考察が書けてないので、「Dr. Izzy 再レポート」(Re: Reportのがかっこいいか?)を後日、個人的に別記事で出すかもしれません。。。
やっぱ、やらないかもしれません。。。

まさか、大学生以来に「もうちょっとレポート提出期間を延ばしてくれ!」と思う時が来るとはw

9.付録まで楽しんでいってください

では、


9.付録

Dr.Izzy Report解析結果Excel(スプレッドシート)
googleのスプレッドシートで開くと一部形が変形している恐れがあります。
ダウンロードが可能なので、Excel等で開くことをおすすめします。
また、歌詞については著作権の兼ね合いで一部しか記載していません。


#攻撃性と平和性を評価した後の蓄積型の線グラフ






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