【月刊noo】梅雨のまったり通信【2024.6月号】
《月刊noo 2024.6月号 目次》
・ごあいさつ ~はじめに~
・BLOG:もてない人(2021/03/31のブログ再掲)
・BLOG:空と私の間には、今日も冷たい雨が降る話。(2013/04/27のブログ再掲)
・ごあいさつ ~おわりに~
ごあいさつ 〜はじめに〜
6月は憂鬱な梅雨の時期…と思っていたら、今年は梅雨入りが遅く、梅雨入りしたと思ったら6月が終わろうとしています。
でもしっかり風邪もひき気圧にやられ、ついでにうっかり頭をぶつけたりもしてるので、梅雨時の私は今年も安心と信頼の低空飛行です。
気圧に全然影響うけない、という人もいますが、おそらく大抵の人はなんとなく調子があがらなかったり怠かったりしてるであろうこの時期。
無理にアゲても疲れてしまうので、月間nooも今月号は「梅雨のまったり通信」と名付けて、過去に好評だったりしたエッセイの再掲を中心に、ゆるゆる更新しております。
気持ちもついついジメッとしがちですが、カビず腐らず、濡れてもすぐ乾く麻のようなサラリ感をこの胸に、という気持ちで夏を迎えていきたいです。
梅雨を好きになる努力
梅雨。日本に住む限り逃れられない自然の洗礼。
気圧も天気も乱れがちで、低気圧に弱い民としては毎年毎年しんどいのですが、ぼやいてばかりいてもあれかなーと思って、梅雨を好きになる努力をしてみよう!と思い立ち、私にとっての梅雨のいいところを書き出してみました。
私にとっての梅雨のいいところ
・紫陽花がきれい。
・雨に濡れた緑が鮮やか
・水不足の解消
・雨上がりが嬉しい
・湿度で肌がもちもちになる
・辛い物を食べたくなる。食べるとおいしい。
私にとっての梅雨のしんどいところ。
・頭痛がする
・体がだるい
・体がむくむ
・昔怪我したところが痛む
・やる気がおきない
・気分が落ち込む
・外に出ると濡れる
・湿気でジメジメする
・なんかいろいろカビる
・いつも以上に服が選べない
・髪の毛がうねうねする
・6月は休日がない
…だめだ。気づいたら梅雨のしんどいところばかり書き出してしまう…。
やっぱりネックは雨が多く、気圧が乱高下するにともなう身体症状と、それに引っ張られて弱ってしまうメンタルですね…。私はわりと晴れ女だという自負があるのですが、さすがに梅雨をまるまる晴れさせるには至らず。
雨と気圧をどうしようもできないのなら、頭痛とかむくみとか痛む古傷にも根本的な解決をのぞめないわけで…。そうなるともう、いかに耐えるか、いかに気分の落ち込みを阻止するか、といった工夫の話になってくる。
梅雨に無理せず気分をあげられること。私にとってそのうちの一つが「辛いものを食べる」ということなのですが、さすがに連日は胃腸が荒れてしまうので、それ以外のなにか…なんて考えていたら、ちょっとよさげなことを発見。それは…ペディキュア。
普段仕事柄もあり派手なネイルは全然つけないのですが、某漫画で主人公が「梅雨でどんより…そんな時はちょっと鮮やかなペディキュアをして気分を上げる!」をしているのを読んで、確かに足の爪なら派手な色をのせれるな…!ということに気づき。
雨といえばブルーというわけで、彩度の高い鮮やかなブルーや、あえて南国風のパッションなゴールドなんかをのせてみたら、足元がキラキラしているの、たしかにちょっといい感じです。
梅雨を好きになる…という境地には到達できませんが、ペディキュアとか、自宅で自分好みの辛さでつくるカレーとかを日々の生活にしこんで、せめてなるべく気持ちのジメジメは晴らしていきたい。
今年は梅雨入りが遅く、7月まで雨が続きそうなので、梅雨を好きになる方法とか、梅雨ならではのいいこと、随時募集中です。
もてない人(2021/03/31のブログ再掲)
吾輩は、傘を持てない人である。
純文学っぽく始めてみたけれど、なんのことはない。
あまりに傘を失くしすぎるので、「これ、いいな!」という傘を買ってもすぐにどこかにやってしまい、気に入りの傘を長く持てない人だという、なんとも小さなことだ。
私は今まで、あらゆる傘をどっかにやってきた。
ローラアシュレイの水色に赤い花柄の傘は、お気に入りだった1本目を失くして、諦めきれず同じものをもう一回買ったのにまた失くしたし、雨の日に電車に傘を置き忘れたりするし、行きは雨だったのに帰りは晴れていたりすると、もういけない。傘は私の手から気づけば忽然と消えている。たぶん異世界転生とかしてるんじゃないかと思う。
よく揶揄される「何もしていないのにパソコンが壊れた」的な言いぐさがあるけれど、私はそういう気持ちがよくわかる。
私に言わせれば、まさに「何もしていないのに傘が手元から消える」のである。
多分、傘を持って家を出たことを、出先で忘れてしまうせいだ。
雨の日になくてはならないものなのに、財布や携帯のはいった鞄ほど重要ではなく、しかもさしていなければ視界から消えてしまう、そんな奥ゆかしい存在、それが傘…。
しかし自分、「視界にはいらないもの=ないもの」にしてしまう特性のせいで、そんな奥ゆかしい存在をないがしろにしがち。
なので最近はもう諦めて、可愛いと思う傘を買ったりしないし、お気に入りの傘もつくらない。
失くすことを前提で、コンビニのビニール傘を買って使っている。
一見コスパが悪いようだし、実際ビニール傘もしょっちゅう失くしたり忘れたりで買い直すので実際コスパが悪いのであるが、1本1000円も2000円もする傘を失くすよりは損害が少ない。根本的な解決には至らないまでも、「傘を失くすまい」を無駄にあがいては失くしていた頃と比べたら心は穏やかだし、お金と物を無駄にする機会を削減できた、と思う。いや、ビニール傘もなくすなよ、という話ではありますが。
これも、ちょっとありえないレベルでの物忘れ特性のある、発達障碍者のライフハックの1つだ。
しかし、しかしである。
本当は私は、お気に入りの傘を手元において、ながい間大事に使うということをやってみたい。
自分はものに執着しがちで、気に入ったもので周囲を固めて安心したい気持ちが強いので、とみにそう思う。
本当は、海月を模した傘や、青い水玉に薔薇を散らした可愛い傘や、柄のところが木製で骨の多い丈夫なコウモリ傘をさして、雨の日を颯爽と過ごしたいのだ。
でも多分、私はそれらを失くしてしまう。
「本当に大事に思っているならなくさない」そんな風に思っている時期が私にもありました。
失くしものが多すぎる自分は、物を大切にできない、大切に思えない人間なんじゃないかとずっと悩んでいたし、自己嫌悪もあった。が、大事に思っていても、なんなら高価なものでも、失くしやすい条件や環境にハマると私は失くしてしまう。根性論や精神論でどうにかなるものじゃない。
だから、そういう特性とうまくやっていったり、困ってしまう特性がでずらい環境を自分で選んでいく必要がある。
傘にとっても自分にとっても、それが一番いい。可愛かったり素敵だったりする傘と自分との距離感は、憧れのままのほうがお互いを傷つけなくてすむ。
だけど、諦めきれない気持ちが心のどこかにまだあって、街中で素敵な傘をさしている人を見かけると「いいな」と思う。
あの人は、なくしてしまう心配なんてなしに、自分の気に入った傘を持てるんだろうか。
ハッと気が付くと、大事にしていたモノが手元から消えている、という経験を何度もして、大事なモノを持つことを諦めたりすることはないんだろうか。
私は自分のお気に入りの、柄が木製だったりする、風で簡単に裏返ったりしない傘を持って、大事に長く使いたい。
その憧れも、それが叶わないことも、小さな小さなことだ。
そういう小さな小さなことが、私の日常にはたくさん散らばっている。
BLOG:空と私の間には、今日も冷たい雨が降る話。(再掲)
空が・・・私のかわりに泣いている・・・・。
そんなことを言って、様になる。そんな大人になってみたいと常々思っていました、モスクワカヌ(29)です。
※書いた当時の年齢です
さる雨模様の朝。
いつも通り、東武練馬のサティ・ブランドのレインブーツに身というか、足をつつんだ私。
そのレインブーツ、高校生くらいの時に妹とお揃いで買ってもらって以来、雨の日の私の足元をガードしてくれる10年選手。
その包み込みっぷりと雨のいやらしい染み込みを許さない鉄壁の守りは、さながら聖母マリア。
そんな、そんなレインブーツさんが、
いつもと変わらないその日の朝。
よりによって戸外で崩壊あそばした
マリアー!!
新宿の地下歩道を急いでいた私がタイルの境目につまずいた刹那、右足の靴底が全はがれ。
あまりに潔ぎのよい剥がれっぷりに、
え?なんなの?これが正義なの?
と、うっかり錯覚しそうなほど。
甘栗むいちゃいました、的な靴底のむけっぷり。
靴底、むけちゃいました。
…。
むいちゃなんねえ…
そこ、むいちゃなんねえよ…
だって今は朝の8時よ?
そして今日は一日雨なのよ?
そしてもうすぐ、地下歩道終了のため地上へでなきゃなんないのよ?
出番、これからだよね?
むしろここからが見せ場っていうか、本番だよね?
それなのに、
ゴムの靴底がはがれたレインブーツ。いやらしい雨水に対し鉄の貞節をほこった私の聖母が、いきなり雨水ウェルカムなビッチに堕天。
私の右足を濡らしすぎ。
私の右足と濡れたアスファルトとの間を遮るものは、もうシマシマ柄靴下の、しましま先輩だけだ!
しかし所詮は綿。
雨に対する靴下(しましま先輩)の防御力は、控えめにいっても、FFとかの初期装備、ミスリルシード…
会社につく頃には、右足だけびしょ濡れという、たいへん気持ちのよくない事態に。
生物として、この、足が濡れてるという事態は大変にテンションが下がります。
仕方なく、休憩時間を待ってトイレへこもる私。
そう、トイレの個室にはトイレの神様がいます。
全能の神、ならぬ紙、トイレットペーパーさんがいらっしゃるのです。
突然の鼻風邪にティッシュを忘れた日。
デスクでコーヒーをかぶった日。
そして足をふくタオルを持たない今日。
いつだってトイレットペーパーさんは私を助けてくれます。
ポケットティッシュとハンカチを持ち歩けって話ですが。
濡れた靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、足を拭いてさっぱりした後は、少しでも早く乾かすべく靴下をしぼる。
ミスリルシードとはいえ、本日の私の右足を守護する唯一の装備であり、穴のあいてない数少ない靴下であるしましま先輩。
考えてみれば、洗濯などが全て全自動となった昨今。
こんな風に自分の手で衣類をしぼったりなんかそうそうしません。
いつもいつも、私の足を包んでくれるしましま先輩。当たり前だったその存在の大切さが、レインブーツを失った今、初めてわかります。
ごめんね先輩。
いつも当たり前に受け止めていた、ていうか足蹴にしていたあなたの優しさ。これからはもう少しだけ感謝しながら毎日を送ります。
先輩をしぼりながら、労をねぎらう自分。先輩の不快指数も、何回かペーパーに挟んで絞るうちに、少しはマシな感じになってきました。
休憩時間も終わりに近づき、片手にしましま先輩、片手に濡れたペーパーを持つ私は、まず濡れたペーパーをトイレに流します。
トイレットペーパーのよきところは、後片付けが簡単なところです。
流すだけ~ペーパーのあるべきところにかえすだけ~
そして、まだいくぶん濡れたシマシマ靴下を、私の裸足の右足に装着しようとした。その時。
…あれ?履けない?
ふっと手元を見た。濡れた生地のせいで履きにくいのかなって思った。
そんな私の手もとには、濡れたペーパー。
先ほどトイレにかえしたはずの、トイレットペーパーさん。
…
えーと。
つまり、私がさっきトイレに流したのは…
せんぱぁーいっ!!(泣)
わたしっ、わたしっ、あの人をころすつもりはなかったんですっ!
私の日常が一気に火曜サスペンス劇場。
崖っぷちにたつ犯人なみに、今のこの行状について言い訳したい。
しかし、奪われたシマシマ先輩の命は、もう戻ってこないのであった…
この一件で会社のトイレがつまろうと、絶対に名乗り出るまいと誓って個室をあとにした私。
詰まりませんでしたが。
そしてその雨の一日
私は右足の装備ゼロで、一日を過ごしたのでした。
ええ。
その日だけは本当に様になりました。
空が、私のかわりに泣いている…
ごあいさつ ~おわりに~
梅雨に無理はしない。そんなわけで、「雨」にちなんだ記事の再掲を中心に更新した今月号。
記事を選ぶために過去のあれこれを読み直してみたのですが、ブログを書き始めてから10年、当たり前ですが膨大な数の記事があり、忘れていたエピソードあり、数年前の自分が今の自分とは全然違うテンションでいたし考えをもっていたり…。過去の振り返りは年末とかによくやりがちでしたが、1年が半分すぎたこのタイミングであれこれ見直せたのも、ちょっとよかったかもしれません。
雨の日は、いれる時はおうちにいつつ。いれない時は雨なのに仕事したり用事をすませている自分を讃えつつ。ゆるりとやっていきます。