オタク喪女が会社の女先輩にマウントをとられた話
他の記事でも紹介の通り、私は28歳まで彼氏いない歴=年齢のオタク喪女だった。
最近は一般人を装えるオタク女性もいるが、私は見た目からもオタク喪女が伝わるような有様だった。
私は院卒なので24歳でとあるメーカーに新入社員として入社した。
配属部署には男性と女性が半々程度で、男性は40歳以降のおじさま方が、女性は20.30歳代の若い女性が多かった。
そんな配属先の新入社員歓迎会の時のこと。
「ねぇ、もすこさんて彼氏いるん?」
同じ部署の2歳上の女性の先輩が、なんだかニヤニヤとした笑いを浮かべながら聞いてきた。
それまで全く話していなかった先輩だ。(初対面でその質問?)と思いながらも、素直に「いたことないです」と答えた。
「えーそうなん?私もおらんで」
なんだかずっとニヤニヤしている。微笑むというよりもバカにしたようなニヤついた笑顔に、正直に(うわっ感じ悪い人だ)と思ったが、「アッそうなんですか」とだけ返した。
後日聞いた話だが、その先輩にはちゃんと彼氏がいた。ちゃっかり同棲もしているらしい。
なぜ嘘をつかれたのかは分からないが、なんとなくバカにされていたのだろうなと気づいた。
(関西ってこんな感じなの?帰りたい・・・)と、引っ越し早々に関西のおじいさんに絡まれて「おめぇ嘘つきだなぁ!?殴るぞ!!!」と言われた私は、愛媛に帰りたくなった。
その女の先輩(ニヤ先輩とする)は、どうやら誰にでも「彼氏いるん?」と聞いて回っているようだった。
そしてかなりお喋りで事務所内でも「昨日彼氏が~」「元カレがぁ~」とやたら、異性の話を出す不思議な人だった。
新入社員歓迎会で絡まれた後は、あまり話すことはなかったが、たま~に帰り道や外出先が一緒になったときに話さなければならなかった。これがまた非常に面倒くさい。
やっぱり男性絡みの話をされるからだ。
「もすこさんて彼氏作らんの???」
「私は先週、別の部署のおじさんにランチ誘われてさぁ」
「そんなに男に困ってるように見えるんかなぁ?困ってないっつーの」
陰キャ界隈で生きてきた私にとって、こんなパリピのようなセリフは漫画の世界だけだと思っていた。
ニヤ先輩がどういう意図でこんなことを私に話したのかは不明だが、おじさんに誘われても「羨ましい」とは思わないし、自慢話のように話すニヤ先輩に(自慢にならないから止めた方が・・・)と思ったのは内緒である。
挙句次のセリフである。
「30歳になっても結婚してない人ってやばいよね。人間として問題あるでしょw」
う、うわーーーーーーーやばい人だあああああ!!!
二人きりとはいえ、部署内に30歳代の独身女性なんてわんさかいるというのに、なんて恐ろしいことを言うんだか。
そして20歳後半になっても彼氏ができたことのない私の前でよく言えたものだ。
どうやらニヤ先輩にとって、「彼氏がいる」「結婚している」というのは、かなり重要なステータスらしい。
今時結婚しない人も、一人を満喫している人も多いというのに時代錯誤な人だなぁと思いながらも、面倒くさいことにならないよう、適当に愛想笑いをして凌いだ。
おそらくニヤ先輩がやたらと異性の話をしていたのは、彼女自身そこにコンプレックスがあったのかもしれないし、「彼氏がいる」自分に酔っていたのではないかと思う。
そしてそんな彼女の前に「彼氏いない歴=年齢」という恰好のマウンティング・カモが現れたのだから、絡むほかない。
まぁ最も、ニヤ先輩のマウンティングで不快に感じたのは初回のみで、その後は全く気にならないし、ネタにしていたのでよいのだが。
そして現在、私は昨年12月に30歳となり、交際1年ちょっとの彼と今年3月には入籍予定である。
一方のニヤ先輩は32歳。当時から付き合っている彼と同棲10年目に突入したとのことだった。結婚の話はまだ聞かない。
結局彼女は自分自身が『30歳超えても結婚していない、やばい人』になってしまった。
今までのマウンティングの仕返しに「ニヤ先輩はまだ結婚しないんですか?」という一撃必殺のセリフを使える場面だが、そんなことはしない。
「結婚しているかどうか」で人の価値は決まらないし、「結婚」という形ではなくとも幸せに暮らしているカップルが世の中にはたくさんいると思うから。
マウンティングというのは、つくづく取らない方がいいものだと思う。