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神真都Q崩壊 何が変わり何が変わらないのか──面白おかしい話はひとつとしてない

加藤文 (Kヒロ)

 陰謀論集団神真都Qの崩壊が確実になった。これまで神真都Q構成員の実態を証言などから伝えてきた責任の一貫として、いま何が起こりつつあり、これからどうなるのか手短に伝えることにする。


 神真都Qは、彼らが会員制団体となったときからくすぶり続けていた金銭管理の杜撰さへの疑惑を端緒として崩壊しようとしている。この問題を理解するうえで頭に入れておきたいのは二点。神真都Qはイチベイ(倉岡宏行容疑者)と甲兄(村井大介)との共同代表制をとっていることと、発足当初から村井大介が実務面のボスだったことだ。

 神真都Q発足時の熱狂はすさまじかった。このとき会員情報をデータベース化する作業など雑務を倉岡宏行が一人で担っていて、有志たちが事務作業を肩代わりしたいと名乗りを挙げた。この名乗りを上げた首都圏の面々が神真都Qを底ささえすることになる実務作業の担当者となった。その後、村井大介が実務面のトップに位置付けられたが彼の秘密主義、作業の丸投げ、恫喝体質によって雑務を担い内情を知る者との間に確執が生じた。

 それでも神真都Qの勢いが盛りあがるいっぽうだった本年のゴールデンウィーク直前まではトラブルは抑え込まれていたが、団体から逮捕者が出るにおよぶと結束のタガがゆるみはじめた。首都圏を中心に離脱や地区団体の解散が相次ぎ、先鋭的だった関東の地区リーダーさえ神真都Qを辞めている。決定打となったのは一般社団法人神真都Q会の株式会社化だった。

 村井大介以外に株式会社化の意図を知る者がなかったため、実務作業を担ってきた首都圏の面々から疑問が呈されると同時に、これまで一度たりとも行われなかった収支報告を求める声があがった。団体発足時から入会金などの振込先は村井の個人口座で、のちに現金書留で村井宅宛に送付するように変更されると収支はますます不透明になっていた。

 神真都Qは1万3千人の構成員がいるとされ、入会金900円と年会費3600円だけでも6千万円近い収入があるはずだった。しかも構成員移住計画を実現させようと土地の購入費用名目で寄付も募っていたのである。ある構成員の家族は、父親が50万円程度を寄付したのはまちがいなく、へたをすると寄付の総額は100万円を超えているかもしれないと証言している。

 7月12日、村井大介は疑惑を晴らすとしてライブ配信を行ったがのらりくらりとするばかりで、多数の逮捕者を出している関東勢は危機感と失望感を強めて結束のタガが完全に外れてしまった。いっぽう関西の構成員は村井を疑っているのは工作員であり裏切り者であると発言する者もいて、今後は陰謀論に酔ってデモを行うだけだった関西勢などが神真都Qに残るのではないかと思われる。

 では神真都Qを見限った人々はどうなるのだろうか。

 寄付金について証言した前述の家族は、なにひとつ状況は変わっていないと言う。この父親は娘と息子が神真都Qを批判するとサタニストと叫び暴力を振るい、家に入れないようにと玄関ドアのロックを交換してしまった。彼が参加していた地区団体は解散済みだが、親族とは音信不通で合鍵がないため実家に立ち入れない日々が続いている。

 他の例も紹介しよう。

 神真都Q構成員の母親と同居している人によれば、地区団体が解散してから村井大介への批判を捲し立てているものの相変わらず「DS(ディープステート/闇の政府)」などと陰謀論を語っているという。また神真都Qの発足を倉岡宏行に動機付けしたとされるJOSTARを名乗る陰謀論YouTuberが行っているセミナーに入り浸っている元構成員もいる。

 このように村井大介の不正が明らかになって神真都Qへの忠誠心が消えても、元構成員たちは陰謀論から目覚めることはないのである。

 以上、簡単に神真都Qの現状を説明した。彼らを自業自得の馬鹿ものと揶揄して溜飲を下げたい人々が多いのは知っている。だが揶揄するだけでは、いつの日か社会は再び混乱に直面するだろう。神真都Qが残したものを後片付けする術がないなら、せめて残された課題を真剣に考えたい。

 課題の多さと問題の根深さについて下記のマガジン内にある記事で説明している。神真都Qが崩壊しても続く事態の深刻さを理解していただきたい。


 


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加藤文宏
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