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NAMIMONOGATARI 2021。可視化された闘うべき相手。

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ

皆が望んでいること邪魔されていること

千葉の女の子

画像は渋谷接種会場に抽選にきた千葉県の大学生。遠距離恋愛中の彼女は彼氏に会いたいがため一日も早いワクチン接種を望んで抽選会場に足を運んだ。

ワクチンを接種するのは日常を取り戻すためであり、コロナ禍を終わらせなければならないのも2019年までのあたりまえに帰るためだ。幸せを邪魔をする最大の敵は新型コロナ肺炎ウイルスだが、いまより少しだけましな日々の到来さえ誰かに邪魔されていると感じることがある。

2020年8月29日愛知県常滑市で開催されたNAMIMONOGATARI 2021は自治体からの要請と取り決めを反故にして観客数を増したうえに感染対策を取らず、禁じられている酒類の販売も行い、あたりまえだが惨憺たる状況に陥った。

明日をすこしでもましな日にしようと願う人は希望を汚され、いままでの努力が打ち砕かれたできごとだった。クラスター発生の危険性は医療関係者だけでなく一般市民も、しかも他の地域の人々まで絶望させた。

第1波から第5波までさまざまなできごとがあり感染を拡大させる原因が指摘され続けた。こうして私たちは知識はアップデートさせ続けたが、対策を無視する人々がいて蔓延抑制の願いは幾度となく邪魔されてきた。邪魔をしているのはどのような人々か可視化されたのがNAMIMONOGATARIだったと言ってよいだろう。

当記事は彼らについて考察し、私たちが闘い続けなくてはならない理由を明らかにする。

なみX



いつまでも認識が甘いまま変わらない

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感染拡大を防ぐための努力をせず自粛をしない最初期の事例が、2020年のゴールデンウィークに多摩川河川敷で催されたバーベキューパーティーだった。上掲のキャプチャでインタビューに答えているのは主催者のC.Kで、彼は横浜市から多摩川(川崎市多摩区登戸)に遠征して大規模なバーベキューパーティーを開催した。参加者募集の案内によれば、5月2日時点で48名の参加が決まっているので50名程度で行われたのは間違いない。

バーベキューパーティーが行われたのは第1波中のゴールデンウィークで緊急事態宣言に入って1ヶ月めだった。品薄になっていてもマスク着用の意識がとても高かった時期にあたるが参加者はことごとくマスクをつけていない。志村けん氏の死の衝撃も、そこから学んだこと既に主催者と参加者から消え去っていたことなる。

C.Kは[横浜・東京社会人サークル交流]を掲げてパーティーを催して参加者を募るほか、他の主催者の催しを紹介する活動を以前から行っていた。その一環で行われたのがこのバーベキューパーティーなので、“知り合いが1ヶ月に12人死亡する”などして開催されたわけではない。彼自身の婚活、趣味、寂しさを紛らわすためのものだった。

そしてC.Kはバーベキューパーティーを正当化するのみで現在に至るまでパーティーを催したり、他の主催者の催しを紹介し続けた。(以下のキャプチャは2021年の言動)

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C.Kはかなり特殊にみえるが、彼と参加者に限らず同様の行動をしている人々は多数いる。昨年から現在まで、こうした認識が甘い人々が感染蔓延の温床をつくり出していることは何度も指摘されてきたが改まることはなく、ますます奔放に、ますます堂々と行動している。こうして行き着いた先がNAMIMONOGATARI 2021だった。

バーベキューパーティー当日C.Kが語った言い分を列記すると反自粛の正当化や理由づけが最初期から漏れなく出揃っているのがわかる。
・逮捕されないなら自粛しない。
・いくらでも理由をつけて、ときには嘘をついてまで活動する。
・コロナ禍を実感できないか、それとも敢えて目を逸らしているのか、いずれにしても現実逃避する。
彼らは認識が甘いまま何も変わっていないのだ。とうぜんNAMIMONOGATARI 202の主催者、出演者、オーディエンスもそうだった。


現実から目を逸らし続け話が通じない人たち


可視化の過程

私たちの社会は多様な人々が混在している。相容れない考えの人や、常識がまったく通用しない人がいることはわかっていたが、その程度の差があまりに激しく思っていたより人数が多いと気付かされたのがコロナ禍だった。

2020年、第1波の緊急事態宣言下で新型コロナウイルスの脅威を前に[新しい生活様式}からの自粛を選択する人が大多数だったか、自粛を[コロナ脳と揶揄]して以前の生活を欲望のままに送る人々が現れた。後者は「経済を回す」=経済活動を支えないと社会を維持できなくなるともっともらしい理由を挙げたが、その内容はコロナ禍以前の生活をしたいだけだった。

自粛しないで「経済を回す」行動は、社会の安全より利益を優先したい、あるいは今まで通り楽しみたいという甘い考えに基づいていた。コロナ禍を実感できないか、それとも敢えて目を逸らした結果が「経済を回す」ための行動には濃縮されている。

2021年になると路上飲み、闇営業の飲食店などが悪目立ちした。また、自粛疲れ、オリンピックが開催されるのだから我慢をする必要はない、政治が悪い、医療関係者が悪いなど欲望のままふるまう言い訳が数多く現れた。「オリンピックは地獄だが音楽フェスに観客を入れるのは正当である。文句は政府に言うべき」とミュージシャンが意見表明をしたのも、彼らの業界の「経済を回す」ためコロナ禍の現実から目を逸らしていたと言える。アジカンの後藤正文もまた自粛を“コロナ脳”と揶揄をした人々の末裔だったのだ。

路上飲みなどの現象は、理解不能な人々を顕在化させて可視化するフィルターだったと言える。フィルターの目を細かくして行った末により分けられたのがNAMIMONOGATARI 2021の主催者、出演者、オーディエンスだ。現実を理解していない(理解できない)彼らの反論や釈明を読めば、理解しがたいだけでなく理屈が通じないのは当然と思わされる。

明日をすこしでもましな日にしようと願う人は幸せを邪魔され続けてきたが、誰が邪魔をしたか感染を拡大させてきたかはっきりした。現実を理解していない人や都合よく解釈する人は、陰謀論信奉者やデマゴーグと比較にならないほど人数が多くコロナ禍収束の巨大な障害になっているのである。


それでも否定し続けなければならない理由

日常生活で感染すると思うか

常識がまったく通用しない人の多さに気づいていても、「日常生活で新型コロナウイルスに感染しない」と考えている人が40〜50%もいることに驚くのではないだろうか。彼らはコロナ禍を目の当たりにしても現実感が希薄で、いくら説明されても想像力が欠如しているため危機感を抱けない人たちだ。そして、このなかには話が通じない人も多数含まれていると言ってよい。

もちろん「日常生活で新型コロナウイルスに感染しない」と考えている人のすべてが自粛を“コロナ脳”と言っていたり陰謀論を信じ切っているのでもない。だが彼らは、何らかのきっかけで陰謀論にはまるか、ますます欲望のまま行動しはじめる可能性がある。

X国民の楽しみごと

上掲の人物に限らず、理性のタガを自らはずしたり、欲望の氾濫を堰き止めていた堤防を自ら壊すきっかけは、このコロナ禍のどこにでも転がっている。


こうした欲望のままに振る舞う人々の行動が、明日をすこしでもましな日にしようと願う人の生命までを脅かしている事実を繰り返し問い続けなくてはならない。

問いかけはNAMIMONOGATARI 2021に集まった8,000人とも10,000人とも言われる群衆を止められなくても、彼らと同類を包囲することができた。また愛知県や常滑市が毅然とした態度で臨んだだけでなく、人々が抗議の声をあげた結果は見ての通りだ。なお内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長名で留意事項が連絡文書が各県知事、各府省庁担当課室あてに出されている。

私たちは2019年までの日々を取り戻すため、自分はもちろん大切な人のため努力し続けてきた。もちろん、これらからも淡々と続けるのみだ。冒頭で紹介した女性の望みは、私たちとともにある。

千葉の女の子

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加藤文宏
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