『僕の手は、夢を捨てる・夢を拾う 完結編』ヒスイの鍛錬・100本ノック㊴
パトカーの赤いランプが点滅している。ユキさんが、警察を呼んだからだ。
警察官ふたりは三十代サラリーマンをパトカーに乗せた。
「彼を正式に訴えますか?」
「はい、それから――」
ユキさんはぐいっと、こっちの肘をつかんで、
「このひとも傷害で訴えます。ケガしているんだから」
「え、いや、僕は――」
まずいよ、だっていまこの瞬間、僕は拾った夢ゴミを持っているんだから。こっちこそ、窃盗罪で訴えられる。
でもユキさんはがっちりと肘を握っている。夢ゴミの入った袋を後ろに隠し