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鉄筋老人コンクリート?第4話



1.同級生は疾風のごとく

2.bibiriオンパレード

3.刺青の偏見

4.鉄筋老人
  ※1〜3は、全編を見てくださいね

  「あんたがうちの息子を極道にした園長かい」
  「お、おふくろ!何言ってんだ」
  「ほんとのことじゃろうが」

一週間前
仕事を終え、帰ろうとしているところに一本の電話
「いつもお世話になっております。そちらでお世話になっている邦の妹ですが、兄いますか?」
「こちらこそお世話になっております。申し訳ありません、邦さんは帰りましたが、どうかされましたか?」
「じ、実は母が危篤で、携帯番号教えてもらってないんです」
「わかりました。たぶんみんなで飲んでると思うので、園長から連絡させますのでお待ちください。」
園長から邦さんへ連絡し無事邦さんは、青森へ向かったらしい。
翌日、石井くんたちの話が聞こえてきた。
「やっぱり組長はすごいよな」
「ばかやろ、園長だろ園長。あの邦さんが気をつけして電話でてたもんな」
「そうそう、電話を切ったら走り出したもんな」
そんな状況だったのか。
数日後、邦さんがホームに帰ってきた。

「皆さん突然申し訳ありませんでした。おふくろが危篤とのことで国に帰ったのですが、台風で家が倒れその下敷きになってただけで、擦り傷だけで元気です。ご心配をおかけし申し訳ありませんでした。」

「邦ほんとよかったなおふくろさん。それでみんな、今聞いた通り、台風で邦のおふくろさんの家がなくなったので当面はホームの一室を貸すからよろしくな」
「皆さんおふくろが迷惑をおかけするかもしれませんがよろしくお願いします」

 邦さんのおふくろさんが妹さんに連れられホームに来たのはそれから半月後だった。
 園長たちは邦さんのおふくろさんを出迎えた。
車から降りてきたおふくろさんの開口一番には驚いた。
「あんたがうちの息子を極道にした園長かい」
「お、おふくろ!何言ってんだ」
「ほんとのことじゃろうが」
「すんません。おふくろさん。ほんと申し訳ない。邦の一生を潰してしまって」
同級生は、本音で言ってるように思えた。
「まぁよいわ。喜朗が決めた道だが。それより園長話があるから後で時間とってくれ」

昼前、園長室に集合となった。なぜか私も同席してほしいと同級生から頼まれた。
「では、本題に、冴子」
おふくろさんは妹さんに合図し、新聞紙に包んだ塊がでてきた。
札束である。
「園長さんよ。喜朗が極道の時にわしに送ってきた汚い金じゃ。これをすべてこのホームに預ける。600万あるからばばぁやじじぃに使うがいい。」
「ありがとうございます。でもこの金は」
「いいんです園長、おふくろは頑固者ですから言いだしたら鉄筋ですから。園長使ってください」
「ん?まさか返そうてんじゃないだろうね園長」
「いや、ありがたく使わせていただきます。とみちゃん管理してくれるかな。」
おぉ、おふくろさん。ひかぬどころか同級生を手玉にとってる。
これは、迫力あるわぁ。
「じゃこれは預ける。しっかり使えよ兄ちゃん」
「わかりました」
鉄筋おふくろさんは、園長室から出て行った。
「園長すいませんでした。」
「いや、ありがたいことや。」
「緊張したぁ。さすが邦さんの母親ですね」
「言い出したらガチガチ鉄筋ですわ」
「鉄筋コンクリートですね」
「あはははは、まじでそれですわ。鉄筋コンクリート。すべてがカッチカチ。それがおふくろですわ」
今日も鉄筋老人コンクリートのおふくろさんは、大音量でNHKの朝の連ドラを見ている。
※なお実在するおふくろさんは、青森弁なのでわかりやすいように変えてます 笑




 






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