1人きりじゃ見えなかった空 | エッセイ
寂しくて。
不安で。
息苦しいほどの孤独感に包まれる夜。
そんな夜は、世界がどこまでも自分を置き去りにしているようで、耳に響くのは時計の針の音だけ。
お月様も、星空も、助けてはくれない。
ただの闇が視界を覆い、心の中の孤独がさらに濃くなる。
布団にくるまって目を閉じてみても、全然眠れない。気分転換に窓の外をそっと覗いてみるけれど、広がる暗闇に思わずカーテンを引いてしまう。
だけど、その闇に一筋の光が差し込む瞬間がある。
誰かも同じ時間に、同じ空を見上げているとしたら?
その景色は一瞬で変わる。
同じ空、同じ星。
それを「一緒に見ている」という事実が、心をそっと支えてくれる。
それと、例えば、電話越しの「今、月が綺麗だよ」という声。たったその一言だけで、不安だった夜が静かにやわらぎ始める。
そして、いつの間にか気づくのだ。心を飲み込むように広がっていた深い闇が、ただの「暗いだけ」ではないことに。
目を凝らしてみれば、きらきらと星が瞬いている。その瞬きに気づけるようになったのは、きっと誰かがその空を一緒に見ていてくれたからだ。
そして、そんな一緒の瞬間が、空の広さを初めて教えてくれる。
孤独な夜には決して見えなかった広大な景色、無数に輝く星たち。それを見上げていると、自分の小ささを思い知り、逆に不思議と安心する。
自分の抱える悩みや痛みも、この大きな世界の中ではほんの一粒なのかもしれない。
そんな気持ちが、胸の奥にそっと降りてくる。
新曲『End of Tears』のこの一節に込めたのは、そんな思い。孤独な夜を抜け出し、誰かと繋がることで初めて見える空の広さと美しさ。それを、歌に紡ぎました。
そして、もうひとつの歌詞のフレーズ。
この言葉にあるのは、不安と孤独をそっと包み込んでくれる、大切な人の存在。誰もが持つ「夜の孤独」は、誰かと心を通わせることで少しずつ癒されていくかもしれない。
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