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さぁたんは女装男子(ふりかけ☆スペイシー感想)

はじめに

はじめまして、中野ひとしです。
1994年生まれ南関東郊外出身、文系学部卒、会社員のふつうのおたくです。浪人・留年したことないです。
この記事を読んでもらうに当たって最低限必要な前提の自己紹介だと思ったのでしておきます。

本記事を読む際の推奨BGMは「地獄でなぜ悪い」なので出来る限り流しながら読んでください。

ふりかけ☆スペイシーとは

2023年3月1日発売のPC向けビジュアルノベルゲーム。
PCで遊べます。定価1500円。なおこの記事はプレイ済みの人を想定しているため、購入判断材料には恐らくなりませんのであしからず。

紹介記事はこちらなどが良いかと思います

令和の東方見文録「ふりかけ☆スペイシー」をクリアしたよ
http://tanisiame.blog.fc2.com/blog-entry-1646.html


公式Steamページ

Steamストアページ

プレイ記録

実況しました。プレイした経緯はPart1冒頭で語っているので省略します。

なんだったんだこれ?

一言で言うと、ジャンルは「パロディ系コメディ」だった。

このあたりの宣伝動画を見て、何を思ったのかというと「サスペンスSFにコメディをふりかけたシリアスな物語」だと勝手に思っていた。
プレイ後に冷静に見ると全然そんなことはなくて、相変わらず私は絵面から情報を得るスキルに問題があると感じる。ていうか書いてて気づいたけど、これ明らかにタイトルの文字情報に頼っている。そうじゃなきゃこんな誤解は普通しないでしょ。
どちらにしても本記事は勝手にシリアスなストーリーと深いテーマを期待した私に依る感想ですので、改めてよろしくお願いいたします。

※レビューはこちらの内容がオススメです

ジャンルとターゲット

「ターゲティング」とかいうマーケッティング言葉を敢えて使ってやるよ。お前も年齢と性別でセグメンテーションしてやろうか!!

読後感

前述の通り、まず「パロディ系コメディ」だったことに対しての驚きがすごかった。
「コメディ」って書いたけど厳密に言うならば「ギャグ」なのでしょう、きっと。
私はギャグに関してはコロコロコミックが苦手だし、「ボボボーボ・ボーボボ」で一切笑えないという存在なので、その辺りの素養がありません。ご了承ください。

今まで見聞きした作品の中で一番読後感が近かったのは「スナックバス江」です。
でもふりスペの場合本質は現代美術であってエンタメ寄りではないので方向性は違うと思う。

誰向けなのか

敢えて雑に言えば、まず間違いなくメインターゲットは2~30代の男性オタク向けになるんではないでしょうか。もうちょい上もいけるかな…
もう少し正確に言うならば「タクと自称する…いや「していたい」男性オタク」か。
とにかく「すごい一体感を感じる」だけの力がある。

サブターゲットとしては実況したいVtuberあたりでしょうか。
「オタクが語りたくなるネタ満載」「スクショ映えする」この2点が大きいと思う。
画面作りに対するこだわりは非常に細部に神が宿っていて、場面転換の映像に代表される映像美として見た時のふりかけスペイシーには「ちゃんと」コラージュ系の現代美術としての見応えがあった。
ネコの動画のシーンはあれ、旧エヴァのパロみたいなもんだと勝手に思ってる。

肯定的なレビュー紹介

「ターゲット」に「刺さっている」例

それぞれの肯定的な意見については全面的に同意する。「ネタのニッチさ」「丁寧な詰め込みとゴリ押し」に「愛(ネタ元への誠実さ)がある」。それがこの作品の美点であることは間違いないし、実況中に拾いきれなかったネタが沢山あるのは素直に申し訳ない。
そして悔しいのでちゃんと認めておくこととして、「オタク(≒文化人)として」「負けた」と思った。オタクの交流って基本的に知識と行動のマウント合戦のプロレスだと思ってる所があるので、その勝負で負けたなと。これまでの人生で如何にコンテンツ摂取サボってたかを思い知らされた。

構造の違和感

しかし…違和感がある。このハチャメチャなアナーキーな話が、何故こんな繊細な作り込みの完成度で出来上がっているのか。
「普通」は、どちらかなのだ。
「アナーキーで雑(という体)」か「綺麗で丁寧」か。
「なぜ丁寧にハチャメチャをしたのか」という問いに対して、ふりかけ☆スペイシーの作中に答えがない。作中からはなんかやたらと嫌儲の匂いもするし、儲け目当てじゃないなら尚更意味が分からない。
※私は普通に資本主義の住民なので「おでんつう」のネーミングに込められた悪意にプレイ3ヶ月後くらいに気づきました。

私は電通や広告代理店そのものについては必要な仕事だと思っていて、ただパワハラ(的な環境)で過労自殺を起こしているについては批判されるべきだと思っている…んだが、ふりスペの中ではあんまりそういう批判でもなくただ「悪の大手広告代理店」だった気がした。

しかしこの話罰金たったの50万だったのか…

閑話休題。構造の話ですね。
まだAC部の紙芝居はわかるんですよ、あれはちゃんと生身でやるところも含めて、「フリップ芸」を丁寧にやってるエンタメパフォーマンスだから。

さぁたんの性別について

「さぁたんが女性だという言及は一切ない」

元々この記事は「何故さぁたんは女性なのか?」ってタイトルで書いていたんですけど、調べながら書いている内に結論出てしまったので改題した。
なのでこれは考察的な感想として書いておきます。さぁたんって女性とは一回も明言されていないから、さぁたんはきっと女装男子なんですよ。
いやゴスガールとは言われているけどゴスガールが女性とは一言も言っていないぞ(屁理屈)

そう思う根拠は色々あるんですが、大きいのは「現代ド田舎日本」での悪口描写として「ニート」「いい歳して身だしなみが整っていない」と言われながら「それじゃ結婚できない」と言われないところです。
これはやっぱりさぁたんが女性ではないことを示唆していると思うんですよ。
いや前提として「現代ド田舎日本ではない」という説もあるが。

ところで、一応これ言わないとフェアじゃない気がするので言いますと、私は檜山バターンさんのnoteを読んでいます。
こういう記事書くからには責任としてnoteを5時間くらいかけて一気読みしました。ネトスト気質なだけとも言うが。キモいのは自覚してますが、私にとってふりスペを「履修」する意味はこれだったので仕方がありません。はなからエンタメを見ようとしてふりスペを見ていなかったのは不誠実と言われればその通りだから言葉もない。本当に申し訳がございません。

で、正直この記事はもう

これと

これ読んで結論出ちゃった。本当はもっと、新潟県と東京都の比較で進学率や浪人の男女比とか統計データとか持ち出してクソミソに「学費を楯に医学部とか国立強制されてない限り「普通の」二浪の女子なんかいねーよ!!欺瞞だ!!」とか、「さぁたんがオタサーの姫になってないのはおかしい」とかって言いたかったんですけど、言えなくなっちゃった。実際どこにもいなかったからね。
「性器にたよらなくたって人は自我を持てる!!」
私はさぁたんの口からこれが聞きたかった。それだけだった。

けどまあこれはふりスペの感想記事なので、ふりスペ単体で見た時の感想として書いておきますと、さぁたんを見て「誰しもが素朴に(皮肉と自虐ですよ、念為)」抱く疑問に対して、この漫画digらなきゃ回答が得られないのは、エンタメとしては余りにも難解過ぎるでしょう。前提としてウテナとプリパラとさらざんまい全部見とけってのはあまりにも難しい。

あとこれ↑も、結構私が抱いた「ぽぽんちゃんが結構まともにウザかったな」の違和感に答えてくれていた。

これとかもうほんとそのまんま答えなので。

これらを読んで私は、柳田の下半身が曲線的でエロいのは必然だったという納得の仕方をしました。


なお、この記事をここまで書いてから約半年放置していた。それはシナリオ担当のもうおひと方であるタナカハルカさんの文章を殆ど読んでいなかったからである。

いったん上記にあった記事と[かいわい]を読ませていただいたのと、別途檜山さんご本人から「ぜひ感想記事公開してください!」と後押しをいただいたので公開に至りました。

「腹をくくれ」

これは「要求」ではない…と書こうとしたんですけど、ここまで書いておいてそれは無理があるし紛れもない欺瞞なので、要求であることは認めます。ほぼ生まれたてのキャラクターにこういうことをインターネット上の、しかもnoteという公共の場で言うのはどうかとも思うところはなくもないのですが、敢えて言いましょう。

それでもさぁたんは、糸井重里よりも先に両親と戦うべきだ。
そして願わくば、その後にもっと強大な敵と戦ってほしい。

そんなこんなでよんとんトマチンさんの次回作に期待しつつ、終わります。