どこまでも「オルタナティブ」なスプラトゥーン音楽史その1
こんにちは、もそししです。
今日はSplatoonシリーズを彩る数々のBGM、その中でもとりわけバトルを盛り上げるBGMについて、その歴史と変遷を皆さんに紹介したいと思います。
オルタナティブとは?
まず紹介の前に、タイトルにもある「オルタナティブ」という単語についてですが
音楽ジャンルにおける「オルタナティブ」は流行りを表す「メインストリーム」の対義語的な位置付けで、現状の主流に対する形で新たなジャンルや要素を付加した音楽の事を指します。
これがどのようにスプラトゥーンのBGM、そして音楽史と関わってくるのか?
スプラトゥーン3の開発者インタビューに興味深い内容がありました。
カウンターカルチャー
このインタビューのタイトルにもある、「カウンターカルチャー」という言葉。
流行や、商業主義的な「メインストリーム」に反抗する文化、反体制的な要素を表す言葉です。
では、スプラトゥーンシリーズ1~3を通してゲームBGMはどのように「カウンター」されて来たのでしょうか?
スプラトゥーンの衝撃
※ここから少しの間、筆者の思い出語りが入ります。
9年前、私はあるゲームのPVに完全に心を奪われ、そして全身の細胞がぐつぐつと煮えたぎるような興奮を覚えました。
大袈裟かもしれませんが、当時の興奮を表そうとすると過剰なワードを選んでしまうほどの興奮でした。
それがこちらです。
皆さんご存知のシリーズ初期作品、「Splatoon」のE3出展映像です。
もちろんゲームの内容が、今まで見たことのない新鮮なもので、その活きの良さに心が踊ったものですが、それ以上に印象に残ったのは独特のテイストながらもストレートな初期衝動を感じるロックなBGM
スプラトゥーン内のバンド「Squid Squad」の楽曲「Splattack!」です。
イカ界の音楽史
印象的なリフ(繰り返される印象的なフレーズ)にドラム、ギター、ベース、シンセサイザーのシンプルな構成と荒削りなサウンド、そして愚直ながらも半音転調を駆使した怪しげな魅力。
今に至るまでシリーズを代表するBGMですが、彼らのロックなナンバーはスプラトゥーンの世界で最初から流行りの中心に居たのか?
スプラトゥーンベースの「Squid Squad」説明によると、どうやら彼らが登場するまでの間はアイドルソングや歌謡曲がスプラトゥーン界の音楽の中心だったとの事。
スプラトゥーンを代表するアイドル「シオカラーズ」の原点がイカ達の魂に刻み込まれたシオカラ節のメロディーだと考えると「Squid Squad」がもたらした新たな音楽の確立は「カウンター」そして「オルタナティブ」であったと言えます。
ここ現実の日本でも、1960年代歌謡曲が主流であった時代にバンド編成のグループが作曲家ではなく自身で作り上げた楽曲で世間を騒がした「GSブーム」というものが起こりました。
ひょっとしたら、このあたりにもなぞらえているのかもしれませんね。
もちろん、スプラトゥーン内で活躍していたバンドは彼らだけではありません。
上でも紹介した「シオカラーズ」のシオカラ節や、「Hightide Era」のHookedなど、数々のBGMがゲームを彩っています。
初期スプラトゥーンの音楽の特徴
初期スプラトゥーンの彼らのBGMはそれぞれ個性の引き立つ仕上がりになっていますが、シリーズ全体を通してみると一定の共通点が浮かび上がります。
チープさ。
まずはそのチープさ、シンプルさです。
チープと言うとマイナスなイメージを受けますがここでは褒め言葉として考えてください。
Splattack!では繰り返し流れるリフはフレーズの音数の少なく口ずさみやすいシンプルなものに仕上がっています。
ボーカルパートに入ってからはギターは控えめになり、ベースを際立たせる。
2つ以上のメロディが同時には鳴らさずメロディ+リズムや伴奏という形を取ることでシンプルなリフが寄り際立つ作風です。
シオカラ節を初めとしてシオカラーズの楽曲の電子音はかわいさの際出つチープでレトロフューチャーなサウンドが特徴的です。
すべての音は波形で表すことができますが、機械によって波形を生み出し音を鳴らすシンセサイザーは技術の進歩とともに再現できる波形の種類やエフェクトが増え、複雑になっていくのですが、シオカラーズではあえてシンプルな波形を取り入れることで初めて聞くプレイヤーでもどこか懐かしさを覚える仕上がりに。
Hightide EraのHookedはピアノ、ギター、ドラムのシンプルで最小限のバンド編成からピアノを殴りつけるような荒々しいサウンドと勢いのある楽曲が特徴的です。
低音のベースラインは楽曲の土台のようなもので、リズムと共に楽曲の方向性を定めるものですが、ピアノがベースラインを担う事でより一層、無骨で漢らしい楽曲へと昇華させています。
王道を征く。
そして、もう一つの特徴は"王道"であることです。
もちろん、凡庸にならないための工夫は各所に施されてゲームのBGMとしてクオリティの高い仕上がりになっているのは間違い無いですが、ロックバンドとしてロックさを追求した形であったり、アイドルとしての可愛さやキャッチーさを追求したりと、それぞれのグループが目指す方向性は愚直なほどに王道一直線です。
まとめ
アイドル、歌謡曲が中心であったイカ世界の音楽は「Squid Squad」によって塗り替えられて新たなシーンへと突入しました。
それはスプラトゥーン以前に対しての「オルタナティブさ」であり、シンプルに突き詰められたカッコよさ、可愛さがイカ達の流行の最先端であったと考えられます。
プレイヤーにとってもまったく新しいゲームコンセプト、まだまだ未開拓なゲーム性の中でもったワクワクはストレートな楽曲によってより加速していた事でしょう。
このイカ達そして我々の流行がこの先どう変わっていくのか?
次はスプラトゥーン2の発表から記事を書き進めていきたいと思います。