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2015年8月 シカゴ郊外とうもろこし畑のペルセウス座流星群

 2014年3月から2年間、アメリカで働くことになりました。離陸前の飛行機からは上りたての満月が見え、なんだか勇気づけられました。北米の白い大地を見ながら、飛行時間は11時間半。シカゴはオヘア空港に到着します。NY、LAに次ぐ全米で人口第三位の大都市。と言っても住むのはその郊外です。ダンボール3箱とトランクケースをレンタカーに積み、東へ車を走らせました。

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 しかし、住居契約はこれから。しばらくキッチン付きのホテルに宿泊です。初めての海外生活。知人も友人もいない海外にひとりでいると、それなりに心細くなるものです。シカゴの3月はまだまだ雪が残っていて最低気温も氷点下。郊外とはいえ街明かりの影響は大きく、星もよく見えません。しかし、よーく目を凝らして見るとオリオン座が見えました。日本で見慣れたあのオリオン座が、アメリカでも見える。当たり前のこととはいえ、何となくホッとした瞬間でした。

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 10日間かけて住居契約を終え、無事にアパートメントに入居することができました。間取りは東向き。朝焼けがとてもきれいな部屋でした。渡米に合わせ、カメラはより高性能な機種に、望遠レンズも画質の良いものしておきました。

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Nikon D810 + 70-200mm f4  (200mm)
(f8、露光時間1/60秒、ISO100)

 借りた部屋からは月やオリオン座が上ってくる景色も見られました。ただ、見える星の数は限られています。自宅から本格的に星を撮るのは流石に難しく、そのうち暗い場所に遠征しなければならないな、と感じました。

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Nikon D810 + 24mm f2.8
(f2.8、露光時間1秒、ISO1600)

 渡米してちょうど1ヶ月後、北米でも部分月食が見られるということで撮影にトライしました。現象としては知っていても、見るのも撮るのも初めてです。少しずつ月の形が変わっていくのを不思議な間隔で眺めていると、地球の影に全て覆われる前にあっという間に西の空に沈んでいきました。

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Nikon D810 + 50mm f1.8
(f8、露光時間1/60秒、ISO100)

 それから約4ヶ月後の8月中旬。ペルセウス座流星群の季節がやって来ました。流星群のピークは新月期とほぼ重なり、条件はとても良く期待が高まります。夏の流星群なので季節感を出したいと思い向かったのは、とうもろこし畑のど真ん中。ただ、思ったよりも暗い場所ではなく、天気もいまいち良くありません。しかし、すでに深夜1時。撮影を開始します。

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 Nikon D810 + 10.5mm f2.8
(f2.8、露光時間15秒、ISO3200)
1.5倍クロップ、歪み補正あり

   ペルセウス座流星群は放射点から遠い空ほど長い流星が見られる、という事前情報をもとに、カメラを西の空に向けました。ペルセウス座は東の空にあるからです。空には薄っすらと天の川。こと座(LYRA)、はくちょう座(CYGNUS)、わし座(AQUILA)が見える構図です。インターバル自動撮影機能を使い撮影を開始です。撮影時のタイムラプス動画(20秒)はこちら

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 Nikon D810 + 10.5mm f2.8
(f2.8、露光時間15秒、ISO3200)
1.5倍クロップ、歪み補正あり

 約2時間撮影して、大きく写った流星はわずかに上の3つのみでした。肉眼ではもっと多くの流星が見えたのですが、雲の影響もあり小さいものや暗いものは写りにくかったのだと思います。しかし、事前情報通り放射点から遠い空には長い流星が観測できることを確認できました。

 ひとつ驚いたのは、撮影終了間際に流れた流星に短時間ですが流星痕が見られたことです。大きいものが流れたのかもしれません。

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 Nikon D810 + 10.5mm f2.8
(f2.8、露光時間15秒、ISO3200)
1.5倍クロップ、歪み補正あり

 初めての夏の流星群、そして初の海外での本格的な星の撮影でしたが、虫にも寒さにも悩ませられることなく、トラブルフリーで撮影を終えることができました。シカゴの夏は湿度も低いので、レンズの結露もなかったのだと思います。

 流星は一瞬の天文現象なので、じっくり観察できません。写真に残すことで、その形や色を確認できて(個人的には)新しい発見があるので、これからも続けていきたいな、と思いました。

 渡米後すぐの4月に起こった月食は部分月食でしたが、9月には北米で皆既月食が見られると言います。次回はシカゴで皆既月食の撮影にトライした話です。

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