
幽霊デッキのすゝめ
今回は、新弾「萃夢想Remake」で強化されて環境での活躍が期待されている②幽々子妖夢を自機に据えた幽霊デッキについて解説していきます。
幽霊デッキとは

1:特徴
自機札の数値が相手よりも小さいときに発動するスペルを保持する幽霊札を中心としたデッキとなっており、数値上昇やハンデスが可能な回避スペルなどで盤面をコントロールする動きが強力です。
26弾「幽夢の胡蝶」でデッキ内に幽霊札を多く入れた種族デッキとして組むメリットが生まれました。
2:自機 ②幽々子&妖夢

それがこの②幽々子妖夢です。
自身が自機札であるときに攻撃を行うときに捨て札の幽霊札を4枚裏向きにすることで以下の効果を発動します。
①:回避判定開始時に攻撃した対象を手札に戻す
②:攻撃した自身は捨て札に送られなず、好きな自機エリアに再配置する
①の効果は通称「バウンス」と呼ばれている効果で、本来如何月で札が攻撃したときに行われる数値の大小の計算を無視して攻撃した札を相手の手札に一方的に戻させるものとなっています。
一見相手にリソースを渡しているだけに聞こえるように思えるかもしれませんが、終盤にこの効果を使うことで相手の手札に札が残って自機による攻撃ができなくなり、自分の自機に攻撃を通させないといった自機の延命などに使える効果です。
②は自機が攻撃を行ったあとに捨て札に送られて負けるのを阻止し、他の自機エリアに自由に移動できるようになるため、自機を自分の守護札の後ろに隠して身を守ったりなどこちらも延命に使える効果となっています。
これらの効果を駆使して相手からの攻撃を避けきる終盤の耐久力の高さを売りにしたデッキ、それが幽霊デッキです。
3:「幽夢の胡蝶」が出た当初のデッキレシピ

このように守護札に使う幽霊札を8枚以上入れることで、自機の効果をゲーム中に二回発動することができます。
また、自機が相手からの自機狙い弾幕を喰らって負けるリスクを補うために回避スペルで数値を⑩に上昇させる⑧妖夢や手札から公開することで自機の数値を相手自機より①小さい数値にして擬似的な数値上昇ができる⑫魅魔をいれることで安定性を高めた構築が流行っていました。
なぜ幽霊デッキが今まで勝率が低かったのか
「幽夢の胡蝶」発売当初の幽霊デッキは、種族デッキの種類が少なく、デッキパワーがまだ抑え気味だった当時の環境の一角として活躍していました。
しかし、日が立つにつれて様々な新弾が登場したことによる環境の変化についていけなくなり、大会でも勝ちきれるデッキではなくなってしまいました。
なぜ、幽霊デッキは現環境で勝ちきれなくなってしまったのか。
その原因を幽霊デッキが抱えていた具体的な弱点とともに説明していきましょう。
1:自機としての数値の低さ

東方如何月において、自機の数値はそのデッキの安定性の高さを表すと言っても過言ではありません。 なぜなら、自機の数値が小さければ相手に常に自機狙い弾幕による勝ち筋を与えているようなものだからです。
現環境では自機で様々な効果を発動できる特殊能力札がかなり多くなりましたが、それらの多くは元々の数値が高かったり③霊夢や④バカルテットように自己防衛能力に長けたものがほとんどです。
それに対して②幽々子妖夢は、②というかなり低い数値にも関わらず相手の自機狙い弾幕に対して一切の自己防衛能力がありません。
相手の⑫札の弾幕攻撃からこの自機札を守るには最低でも⑪以上の数値の守護札を射線上に置く必要があります。 つまり、数値上昇系の回避スペルをわざわざ入れないと終盤までもたないのです。
2:デッキがどうしてもパワー不足になる

幽霊デッキは、基本的に守護札として使う種族の枚数が
幽霊:自由枠=9~10:1~2 です。
このデッキ作りの段階でネックとなってくるのが②という自機の数値の小ささです。 このデッキの安定性を高めるには、この極低数値自機を守るための数値上昇系の札を入れなければなりません。
そこで⑫魅魔のような特殊能力で自機の数値を上昇させるのはいいのですが、この効果自体が相手の自機の数値依存であり、相手が低数値自機を使っていると魅魔の効果による恩恵が小さくなってしまいます。 また、自身はフィールドでは何も能力を持たないスペルなしとほぼ同様の性能なために他のデッキの⑫札と比べて明らかにカードパワーで差がついています。
また、幽霊という種族の中でそれぞれの数値に強力な札がいるかと言われるとそうではなく、①、④、⑥などの数値はどれも単体では実用性の低い効果を持つ札ばかりです。
他の種族の札を入れようにも、自機の数値の低さが原因で下手な数値の回避スペルをデッキに入れて運用しようにも上手く発動するのが難しかったです。
結果として、デッキの総合力で他の種族デッキやGS(グッドスタッフ)に劣ってしまっているのです。
3:対策されやすい

「幽夢の胡蝶」発売当初にくらべてカードプールが一段と大きくなったことで様々なデッキが終盤において強力な効果を発動するようになりました。
バウンスや蘇生、札の配置変更不可、捨て札を裏向きにする効果、⑦旧作霊夢や⑨幽香などのフィニッシャーによりそもそもまともに自機を運用することさえさせてくれなくなってしまいました。
それだけでなく、このデッキは手札がなく守護札がすべて埋まっている状態で自機狙い弾幕を喰らうと、たとえ生き残ったとしても自機が攻撃できないため返しのターンでほぼ負けます。
こうして相手が容易に対策できるようになってから、このデッキは環境から徐々に姿を消していきました。
最強格の捨て札誘発 ③妖夢登場
インフレの荒波に飲まれ、環境から姿を消した幽霊デッキ。
そこに新弾「萃夢想Remake」でとある一枚の札が幽霊デッキを環境へ再起させる―――

この札が捨て札に存在するときに、自分のターン開始時にいずれかの効果を発動できます。
①:自分の幽霊の守護札を捨て札に送る→守護フェーズ開始時に捨て札の④以下の幽霊札を手札に加えることができる。
②:自分の幽霊の自機札を捨て札に送り、捨て札から④以下の幽霊札を空き自機エリアに配置することができる。
①の効果は攻撃フェーズに入る前に一度守護札の幽霊札を捨て札に送ることができるため、手札がないのに守護エリアに空きがなくて自機が攻撃できなのを防ぐことができます。 また、捨て札の④以下の幽霊札を回収することで相手の⑦旧作霊夢のようなフィニッシャーをケアしたり、中央にバウンスを当てられても守護札で殴るだけで自機を延命させることもできます。
また、守護札を捨て札に送るタイミングが攻撃スペルを使うタイミングより早いのもあって⑨神子の攻撃スペルで配置変更不可を発動したあとも捨て札から幽霊札を回収して確実に延命できるようになるなど、今まで以上に様々な種族の札との組み合わせができるようになりました。

②の効果は自機札の数値の低さを補う効果となっており、序盤〜中盤までは数値上昇の回避スペルを持つ④妖夢を自機にすることで⑫魅魔を使わなくても高数値の守護札を終盤まで温存できる安定した立ち回りができるようになるだけでなく、⑫魅魔以外の札を採用できるようになったことで強力な回避スペルを持つ幽霊札の⑫村沙を採用して相手とのリソース差をなくして終盤に持ち込める新たな強みも生まれたのです。
最新版のデッキレシピ

初手の自機を④妖夢にしておくことで相手の自機狙い弾幕による敗北のリスクを抑えつつ、終盤に入る前に③妖夢の効果で捨て札の②幽々子妖夢と自機入れ替えすることで終盤に自機の効果が発動できるようになっています。
そして中盤に⑫村沙の回避スペルをうまく誘発させて相手のリソースをゴリゴリ削り、終盤の自機のバウンス効果を利用して相手の射線を回避し続けましょう。
この構築では自由枠に相手の捨て札を裏向きにできる⑤紫苑が採用されており、この②自機の効果の発動を封じる⑪霊夢&文の配置変更不可の特殊能力を相手の捨て札のスペルなしを裏向きにすることで封じたり、妹紅リザレクションや魔界ワンショット、天狗デッキの②文などの捨て札を利用した強力なギミックを無力化するのに役に立つので序盤〜中盤に積極的に効果の発動を狙いましょう。
この構築は様々な対面に対して勝ち筋が見いだせるように作られているので、幽霊デッキで大会に出たい方はぜひこの構築を使ってみてください。
まとめ
数値上昇やハンデスなどのスペルを巧みに利用し、終盤はバウンスを駆使して耐久勝負に持ち込む幽霊デッキ。
東方如何月では珍しいコントロールタイプの構築であり使用難易度こそ高いものの、うまく立ち回って勝利を掴んだときの快感はたまりません。
盤面を巧みにコントロールして相手を自分の土俵に持ち込む戦い方、ぜひ一度手にとって遊んでみてください。