
マイナーカード診療所 ④魅魔アリス

自身の攻撃スペルは、代償として相手の表向き札を攻撃できない代わりに、相手の守護札を撃破したときに効果で相手の守護札を一枚捨て札に送り、相手の捨て札の数値の一番小さい札を相手に強制的に裏向きで蘇生させるというものだ。
自身の代償と④という数値の低さも相まって相手を撃破できずに効果を使えない可能性が高いという魔界札特有の発動条件の難しさを持っているため、単体で効果を発動するのは現実的ではない。

しかし、そういった弱点は自身が魔界の攻撃スペルというのもあって⑫神綺と組み合わせることで代償を無視して効果を発動でき、さらに自身が高数値なのもあってほぼ確定で撃破できるためあってないようなものと考えていいだろう。
ただ、この札を使いこなすことにおいて最も難解な点はまさにその効果だ。
④魅魔アリスの効果は、相手の守護札一枚と相手の捨て札の数値が最小の札との交換、つまり相手の守護札一枚の弱体化をする効果であり、相手のリソースを削る効果ではないということだ。
単純に⑫神綺と組み合わせるだけでは明確にアドを稼げるわけではないのに加え、蘇生させる相手の札の位置は相手が決める都合上、高数値の札と合わせて弾幕攻撃でワンショットなどに繋げるのは相手依存であり難しく、終盤に効果を使っても相手は手札さえあれば中央に蘇生して殴るだけで容易く延命されるので、その効果単品で使うメリットはかなり薄い。
そもそも、⑫神綺を使った強力なコンボがしたいのであれば④神子と⑤青娥&芳香を使った従来のワンショット構築が既に存在しており、わざわざ④魅魔アリスを使うメリットをあまり感じられないのもこの札が使われない原因となっているだろう。
しかし、この札の真の強みはそうしたロマンのあるフィニッシュコンボの核としての運用などではない。
それは「他の札をより有効的に使える最高の起点役」になりうるということだ。


画像のように辺にいる⑫神綺で相手の辺を殴ったときに④魅魔アリス効果で相手の中央の札を捨て札に送った場合、相手は低数値の札を神綺に殴られた辺と中央のどちらかにしか蘇生できない。
この時点で相手は蘇生された低数値でしか元々⑫神綺がいた場所に伏せた自分の攻撃スペルを攻撃できず、どうしても撃破できない可能性が非常に高い。

そうした点からも、⑧魔理沙を公開することで⑫神綺を再び回収できる⑤魔理沙や効果が通りさえすればハンデス+確定撃破で実質リーサルの⑦饕餮+①饕餮といった、通しづらいが効果を発動できればかなり優秀な攻撃スペルを撃破されないことを前提とした運用を可能にするというわけだ。

例え相手が低数値回避スペル持ちを辺に蘇生して放置しておいたとしても、⑩妹紅&慧音(通称もこけーね)を辺に伏せておくことで、相手は⑩もこけーねの前にある低数値で殴るか中央の高数値で⑩もこけーねを撃破しなければ無限に殴り続けられるという相手からすればたまったものではない盤面を作ることもできる。
それだけではなく、相手の厄介な蟲札に対しても④魅魔アリスは非常に強力であり、相手の適当な札を撃破するだけで蟲札を撃破を伴わずに捨て札送りにしたりと様々な盤面に対して柔軟な動きも可能だ。
今回は④魅魔アリスを起点にして⑤魔理沙で⑫神綺を使いまわし、中盤以降で⑩もこけーねの無限攻撃を狙う構築を組んできた。
「④魅魔アリスコントロール」自機⑦早苗(⑦旧作霊夢と同じ効果)

中盤以降に⑫神綺で④魅魔アリスの効果をコピーして起点を作り、⑤魔理沙と⑧魔理沙で⑫神綺を手札に戻したりタイミングを見計らって⑩もこけーねを起動してリソースを保ちながら戦うことができる。 また、その間に中央を攻撃されて表向きのままになってしまわないように回避成功時に自身を捨て札に送ることで相手の守護札を捨て札に送ることができる⑥魅須丸や自身の数値を①にして相手のハンデスができる⑪村紗などを採用している。
しかし、これだけでは現環境のデッキと対面した際にリソース勝負で負けかねないので①、⑨飯綱丸龍を採用してリソース面をカバーしている。
終盤は自機で巫女札の⑦早苗(⑦旧作霊夢)や攻撃スペルで自身と自機を入れ替えてその攻撃スペルを使える②慧音、中盤以降に使う⑩もこけーね、そして⑤魔理沙で回収した⑫神綺で③サラ&ルイズをコピーして移動しながら攻撃できるのでフィニッシュする手段は豊富にある。
単純なデッキパワーでは他に劣るものの、④魅魔アリスで相手のテンポを崩してこちらの動きを押し付ける初見殺し性能によってその差を補うことができる構築となっている。
補足
④魅魔アリスの弱点としては、相手が①夢美&ちゆりや①メディスン、②理香子などの低数値で優秀な攻撃スペルをもつ札を採用している場合に使うメリットが薄い点だ。
また自分の捨て札に④魅魔アリス自体が見えている以上、相手が捨て札を裏向きにするギミックを活用して④魅魔アリスの効果を対策してくる場合もあるので、そうした場合にはあえて効果を使わずに殴ることも選択肢として頭に入れておきたい。
逆に、相手の捨て札で効果が誘発する②文や④慧音、捨て札から戻って来る回避スペルを持つ相手の①飯綱丸龍、②上海人形、自身の特殊能力で自己蘇生ができる①むしみこを強制的に蘇生することで効果を不発にさせることもできる。 うまく利用すれば相手のギミックを封殺できる効果なので、効果を使う際には相手の捨て札に注目することを心がけよう。
また、蘇生する効果が強制であることを生かしてあえて終盤に使って擬似的に相手が中央の低数値で殴らなきいけない場面を作り、次のターンに中央に②慧音を置くことで自機の⑦早苗(⑦旧作霊夢)でほぼ確実にゲームエンドまで持っていくこともできたりと、この札ならではの詰め方もできるので覚えておこう。
また、似たような効果で新弾「怪物オリエンタル」に登場する②こいしがある。

④魅魔アリスの効果は撃破さえすれば相手の守護札の弱体化を狙えるのに対し、②こいしは相手の捨て札を一枚選んで回収させてから手札一枚を強制的に守護エリアに配置させる効果となっている。
前述の通り、④魅魔アリスは他の攻撃スペルなどを確実に発動させるサポート効果としての運用が強力だが、②こいしは他のスペルと同じタイミングで併用できる特殊能力札であり、④魅魔アリスとは違って数値が最小の札以外の札も捨て札から強制的に回収させることができるので、④魅魔アリスよりも捨て札で発動する特殊能力札に対するメタとして機能しやすい。
とはいえ他の札とのシナジーという観点において、相手の守護エリアに空きがなければ相手が自分の札を自由な場所に配置できてしまうのに加えて、相手の守護エリアの空きがあると逆に相手のリソースを増やしてしまう②こいしよりも、相手の捨て札だけでなく盤面もコントロールをすることができ、小回りも効く④魅魔アリスのほうが他のスペルとの相性の良さは全体的に高いといった印象がある。
あくまで②こいしは他のスペルの「自分の手札を捨てる」代償などをほぼなくす⑦レミリアのような運用がメインであり、相手にサルベージと配置をさせる効果は時にはデメリットともとれる効果である。
相手の捨て札と盤面の両方に関与できるという共通の特徴がある効果を持つ②こいしと④魅魔アリスであるが、②こいしは「手札を捨てる」スペルの代償などをほぼなくしつつ相手の捨札のメタをこなす役割を、④魅魔アリスは相手の守護札を弱体化しつつ他のスペルをより活かしやすくする役割を持つため、それぞれの運用方法は似て非なるものと言っていいだろう。
どちらとも強力な効果を持っているので、今後の動向に注目していきたい。
まとめ
自身の効果の発動条件の厳しさに加えて発動してもいまいちメリットが薄い効果がために強みが分かりづらかった④魅魔アリスであったが、⑫神綺によってその難しい発動条件を難なくクリアし、その効果で他のスペルをより活かしやすくするサポートとしての役割を見出したことで相手の盤面をコントロールしながら自分の戦術を押し付ける優秀な起点役となった。
また、これから登場する新規の札によってはより強力なシナジーを見いだせる可能性を秘めているので、今後の活躍にも期待が持てる一枚である。
評価3.5/5.0 単体で完結してはいないものの、十分強力な効果を持つ。